内田一成 内田一成の概要

内田一成

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/14 01:38 UTC 版)

内田 一成
生誕 (1952-06-19) 1952年6月19日(70歳)
日本北海道釧路市
居住 日本新潟県上越市
市民権 日本
国籍 日本
研究分野 臨床心理学
学校心理学
福祉心理学
心理療法認知行動療法行動療法応用行動分析等)
研究機関 上越教育大学大学院教授
兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科博士後期課程研究指導担当教授
出身校 筑波大学大学院(博士: 心身障害学)
主な業績 自閉症児の常同行動に関する行動病理学的研究(風間書房, 1995) (文部省科学研究費補助金「研究成果公開促進費」による)
主な受賞歴

日本行動療法学会内山記念賞(1987年)

財団法人発達科学研究センター発達科学研究教育奨励賞(1987年)

日本特殊教育学会研究奨励賞(1990年)
プロジェクト:人物伝
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専門は、臨床心理学学校心理学、福祉心理学、心理療法応用行動分析行動療法認知行動療法)。臨床心理士専門行動療法士。2003年より上越教育大学大学院学校教育研究科(臨床心理学コース)教授(2008年改組)、2005年より兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科博士後期課程研究指導担当(臨床心理学)教授(兼任)。2013年上越教育大学名誉教授

児童青年期の心理障害ならびに発達障害知的障害の行動問題の形成メカニズムの解明とそれに即した心理療法技法(応用行動分析行動療法認知行動療法等)の開発研究、強度行動障害に対する行動療法における新たな臨床モデルの開発研究、知的障害・発達障害をもつ人のソーシャルスキルに関する応用行動分析プログラムの開発研究を手がけ、適応行動の学習や発達の妨害要因となる常同行動や儀式的行動を適応行動に変換する技法の開発により3つの学術団体から表彰されている。

特に自閉症の各種行動障害の成立機序に関する基礎研究と臨床研究では、行動症状の発達的経過とその規定要因などの解明とともに、症状相互の因果関係が3経路5水準によって説明されることを明らかにしてきた。そして最も本質的な2大症状を仲介する症状の形成に必要な発達的基礎条件と行動的基礎条件を明らかにし、そのメカニズムに即した新たな臨床技法として拮抗行動の自然分化強化手続き(NDRA:natural differential reinforcement of alternative behavior)を用いることによって、それらの症状を適切な行動に変換させられることを立証するとともに、その新技法の発展可能性や臨床指針の信頼性を検討するなど、新たな臨床技法の確立を図った。それにとどまらず、これらの成果は、現在なお上回ることのできない画期的な臨床成績を示したロヴァース(Lovaas,1987)の就学前3ヵ年間プログラム(正常範囲への改善率:実験群47.4%;対照群:0〜4.8%)の初年度プログラムに本臨床パッケージをに組み込めば、さらに良好な臨床成績を提供できることを示唆するものでもあった。この3ヵ年プログラムは、早期訓練、集中訓練、訓練場面の拡大を柱としているが、このうち比較的実行しやすい集中訓練は、科学的証拠にもとづく心理学実践(EBPP:Evidence-Based Practice in Psychology)の厳密な評価によって、自閉症スペクトラム障害の最良支援に位置づけられている(Chorpita et al., 2011)。

その後になされた、特に「発達障害者の強度行動障害に対する行動分析と環境分析の2方向分析モデル」は、発達障害者を取り巻く施設環境の随伴性に対応した環境変容プログラムとして「正の強化の適正配置」に則ったセルフ・モニタリング法により施設職員の支援行動の質が組織的に高められるとともに、その環境変容プログラムならびに強度行動障害(例:自傷行動、他害行動、破壊行動)の随伴性に対応した個別プログラムによって強度行動障害が激減するなど、「個人を取り巻く周囲の環境が変容すれば、個人の行動の変容確率は増大するし、個人の行動が変容すれば、その個人を取り巻く周囲の環境の変容確率も増大する」という3項強化随伴性に依拠した2方向分析モデルが対応困難な強度行動障害に対する有力な分析枠組みと介入技法になり得ることを検証した。この研究は、国際会議(3rd International Congress on Behaviorism and the Sciences of Behavior)のシンポジウムで発表され、その際の指定討論者は行動分析科学の世界的権威でもあるノーステキサス大学ジグリッド・グレーン教授(Sigrid S. Glenn)であった。

それ以外にも不登校いじめ被害者に対する行動療法や認知行動療法技法の応用・開発研究、集団認知行動療法に立脚した小学生から高校生までの学級規模での抑うつ予防プログラムの開発研究、学校や福祉施設を中心とした難解な行動問題等(いじめ、強度行動障害)を改善する組織的心理臨床アプローチの開発研究、学校臨床や福祉臨床に関する効果的なコンサルテーション・モデルの開発研究を手がけている。このうち,特に集団認知行動療法に立脚した小学生から高校生までの学級規模での抑うつ予防プログラムの基礎研究では小・中・高・大学生の発達段階における肯定的自動思考と否定的自動思考の機能について比較検討するなど 、各年齢段階における抑うつや不安の認知行動モデルの解明を行ってきている。また 、開発研究では小学生 、中学生 、高校生までを対象として 、抑うつ認知過程の修正を中心とした学級規模ないしは学年規模での集団認知行動療法による抑うつ予防プログラムの臨床効果を検討し 、抑うつ 、特性不安 、状態不安 、不登校傾向等が改善されることを明らかにしてきている。

また、アメリカ心理学会理事長も務められたスタンフォード大学教授アーネスト・ヒルガード(Ernest Hilgard)の心理学教育理念の下、1953年の初版から2014年の第16版まで半世紀以上にわたって改訂され続け、アメリカ心理学会公式サイト所収の人名録で「世界中で最も広く、かつ長く使用されている心理学入門書」と評され、これまでフランス語、ドイツ語、ヘブライ語、イタリア語、ポルトガル語、スペイン語、中国語に訳されてきた『ヒルガードの心理学』(“Hilgard's Introduction to Psychology”) の初の日本語版(第13版〜第16版)の監訳者でもある。

『ヒルガードの心理学』第11版(1993年)から臨床心理学と健康心理学の改訂のため執筆陣に加わり、第15版(2009年)から筆頭執筆者となり、第16版でも筆頭執筆者であったが、執筆中の2013年1月に53歳の若さで亡くなったスーザン・ノーレン・ホークセマ(Susan Nolen Hoeksema)イェール大学心理学教授とは親交が深く、彼女の真意に添った日本語版の出版を行っている。




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