八尾空港
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/08 02:22 UTC 版)
概要
概説
大阪市の南東約14km[注 1]に位置している空港である。定期便の就航はなく[2]、主として航空宣伝・写真測量・操縦訓練などの事業用や自家用の小型航空機やヘリコプターの発着に利用されているほか[3][4]、陸上自衛隊や消防・警察の航空隊が利用している[1]。また、航空管制官が配置される空港となっている[5]。
1933年(一説には1934年、1938年[1][4]とも)に設置された阪神飛行学校の滑走路が前身[1][4]。大日本帝国陸軍の飛行場などを経て[4]、1956年から八尾飛行場として供用された[6][7]。1961年に空港整備法上の第二種空港に指定され、1967年に八尾空港と改称された[8]。2006年5月11日には、隣接地に航空法の高さ制限を超える違法構造物が建設されたため、「離着陸への危険の恐れがある」として、滑走路1本の閉鎖を余儀なくされたが、翌月12日、建造物の撤去に伴い閉鎖を解除した[9]。なお、大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)谷町線の終着駅である八尾南駅から当空港にかかる広大な空き地は、かつての民間航空機のエプロンで[1]、ここを国・大阪府・大阪市[注 2]・八尾市が共同で再開発を進める計画が持ち上がっている[10][11]。
2008年の空港法で「その他の空港」[注 3]に位置付けられたが、「当分の間は、国土交通大臣が設置・管理する空港で、国際航空輸送網又は国内航空輸送網の拠点となる空港とみなす」との経過措置が設けられた[注 4][12]。
設置者および管理者は国土交通大臣で[1]、大阪航空局八尾空港事務所が管理する[注 5][1]。運用時間は8時から19時30分の11.5時間(必要に応じて延長する場合あり)[1][13]で、空港への進入道路は22時から翌6時の間は閉鎖される[13]。最大離陸重量5.7tを超える航空機の使用は原則認められていない[13]。
八尾VOR / DMEは整備されているものの、管理官所は、大阪空港事務所システム運用管理センターである。
利用状況
約180機の固定翼機やヘリコプターが常駐しており、小型ビジネスジェット機も常駐・飛来する。ただし、概要に記載された騒音規制をクリアした機体に限る。
利用目的は、固定翼機および回転翼機を使用しての宣伝広告・写真測量・遊覧飛行・薬剤散布・操縦訓練等の産業航空、災害援助・海難援助・消火救難・海洋汚染パトロール、報道・ドクターヘリの給油、企業所有のビジネス航空機の運航整備基地などのほか、自家用航空機にも利用されている[4]。
年間着陸回数
- 2014年(平成26年)度:14,060回
- 2015年(平成27年)度:13,757回
- 2016年(平成28年)度:13,104回
- 2017年(平成29年)度:13,168回
- 2018年(平成30年)度:12,747回
- 2019年(平成31年・令和元年)度:9,902回
- 2020年(令和2年)度:9,151回[14]
※ 発着回数は、着陸回数の概ね2倍である ※空港管理状況調書(国土交通省航空局)より(2020年度を除く)。
注釈
- ^ 大阪市役所から空港事務所までの距離。
- ^ 当該敷地の一部が平野区内となるため。
- ^ 空港法施行令(平成20年6月18日政令第197号)において、空港の分類を指定する別表に記載されていない空港。空港法第2条に規定する空港(共用空港以外の空港)のうち拠点空港、地方管理空港及び公共用ヘリポートを除く空港。
- ^ 空港法施行令(平成20年6月18日政令第197号)改正附則「(経過措置) 2 第一条の規定による改正前の空港整備法施行令別表第二に規定する八尾空港は、当分の間、空港整備法及び航空法の一部を改正する法律第一条の規定による改正後の空港法(昭和三十一年法律第八十号。次項において「新空港法」という。)第四条第一項第六号に掲げる空港とみなす。」
- ^ 空港整備事業は近畿地方整備局大阪港湾・空港整備事務所が担当する。
- ^ 1960年(昭和35年)7月[15]に八尾飛行場と改称した[1]との説もある。
- ^ そもそも、空虚重量でも15tほどの自重があるオスプレイは、現在の八尾空港の滑走路面の舗装が耐えうる航空機重量上限の5.7tを大きく上回るため、仮に運用の受け入れを行うならば路面改修の必要がある。
- ^ 当時は南紀白浜空港開設前のため、田辺漁港の近辺で離着水を行っていた。
出典
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y 月刊エアライン 2022, p. 50.
- ^ a b “豊岡駅から但馬飛行場まで歩いたら峠道の苦行…わずか1日2便、羽田便なしのうら寂しさよ”. business journal (2021年2月6日). 2022年6月21日閲覧。
- ^ a b ““痛飛行機”機内初公開&フライトに同行! 「フライトキャラバン 八尾空港」で空撮ミッションに密着した”. トラベルWatch (2017年6月7日). 2022年6月21日閲覧。
- ^ a b c d e “東大阪に空港? 関空&伊丹に続く謎の存在、「八尾空港」へ”. Lmaga.jp (2022年2月13日). 2022年6月21日閲覧。
- ^ 月刊エアライン 2022, p. 84.
- ^ a b 「八尾飛行場 きょう開場式」『交通新聞』交通協力会、1956年3月31日、1面。
- ^ a b 八木圭吾「八尾飛行場の発足をめぐって」『航空』第3巻第5号、航空研究会、1956年5月5日、32-35頁、doi:10.11501/1750244。
- ^ “大阪港湾・空港整備事務所「八尾空港」”. 国土交通省近畿地方整備局. 2017年6月26日閲覧。
- ^ a b “倉庫建築で滑走路閉鎖 航空法の制限超える”. 西日本新聞 (2006年5月28日). 2006年6月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月21日閲覧。
- ^ a b c “大阪メトロ・八尾南駅前の「荒涼とした虚無の風景」変わる!? 土地活用へ調査開始”. 乗りものニュース (2022年2月25日). 2022年6月21日閲覧。
- ^ a b “大阪メトロ終着駅前「謎の空き地」が動き出す”. 産経ニュース. (2022年2月26日) 2022年6月21日閲覧。
- ^ “空港一覧”. 国土交通省. 2017年6月26日閲覧。
- ^ a b c d e “八尾空港供用規程” (PDF). 国土交通省大阪航空局 (2014年3月11日). 2016年8月27日閲覧。
- ^ 月刊エアライン 2022, p. 61.
- ^ “大阪航空局_大阪航空局のご案内_管内空港の現況と出先機関_八尾空港”. ocab.mlit.go.jp. 2020年2月22日閲覧。
- ^ “違法倉庫を撤去、滑走路の閉鎖解除 大阪・八尾空港”. 朝日新聞 (2006年6月12日). 2006年6月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月21日閲覧。
- ^ “【東京・調布小型機墜落】「他人事ではない」7年前に国道で不時着の八尾市消防 伊丹は空港外での墜落想定した訓練は行わず”. 産経ニュース. (2015年7月26日) 2022年6月21日閲覧。
- ^ “オスプレイ訓練、大阪府の八尾空港で受け入れ表明へ 松井府知事”. ハフポスト (2013年6月1日). 2022年6月21日閲覧。
- ^ “オスプレイ 大阪・八尾空港で 橋下氏 受け入れ提案へ”. テレ東BIZ (2013年6月3日). 2022年6月21日閲覧。
- ^ “橋下市長「大阪・八尾空港にオスプレイを」”. 日テレNEWS (2013年6月6日). 2022年6月21日閲覧。
- ^ 田中誠太 (2013年6月17日). “八尾空港へのオスプレイ飛行訓練受入れ反対について”. 八尾市. 2022年6月21日閲覧。
- ^ “オスプレイ構想に反対 大阪・八尾市長が表明”. 日本経済新聞. (2013年6月3日) 2022年6月21日閲覧。
- ^ “大阪・八尾空港で小型機墜落 4人死亡”. 朝日新聞 (2016年3月26日). 2019年6月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月21日閲覧。
- ^ “大阪・八尾空港で小型機墜落、4人死亡 着陸やり直し失敗か”. 日本経済新聞. (2016年3月26日) 2022年6月21日閲覧。
固有名詞の分類
- 八尾空港のページへのリンク