ローソクもらい 囃し歌などの地域性と時代性

ローソクもらい

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/07 00:39 UTC 版)

囃し歌などの地域性と時代性

ニシン漁で栄えた漁師町では「今年豊年七夕まつり」という歌詞からはじまることが多く、地域によってはローソクを強要する歌詞も歌われた。かつて北海道経済の中心であった小樽では「商売繁盛」の歌詞が付け加わっている。内陸部の多くの地域では、枕言葉になる部分が省略され、ストレートに「ローソク出せ」と歌う歌詞が多い。時代が新しくなればなるほど、こうした簡略化された直接的な囃し歌が歌われる。

函館での変化

函館において言えば、「ローソクけなきゃ(くれなければ) かっちゃくぞー」は小学校の指導で消滅し、「おー いやいやよ」も意味不明とされ、学校などの指導が元で「大いに祝おう」が普及した。

さらに昭和50年代以降は飴やお菓子に変化し、その理由は

  1. 子ども達が火気を扱うのは危険であることからローソクを配布しなくなった。
  2. 日常でローソクを使うことが少なくなった。
  3. ローソクの代わりにと商店やスーパーが配布用お菓子を販売する「七夕商戦」が盛んになった。

とされる。この変化ついて行事の本来の意義が失われたとの声もある。事情によりロウソクもらいの準備をしていない家庭や商店もあることから、軒先に七夕飾りがないところには訪ねないようにし、現金はもらわないように指導している。小学校では事前に歌や挨拶の練習をしている[1]

「ローソクもらい」と「津軽地方のねぶた」との共通性

ローソクもらいの習俗が北海道に根付いた説のひとつとして、青森県青森ねぶた弘前ねぷたとの関連があげられている。津軽地方では戦前までのねぶた照明はローソクであったため、ローソクをもらって歩くことが習慣となっていた。深浦町の旧岩崎村地区ではねぶたは大正末期になくなってしまったが、「今年豊年 田の神祭り」などと唱え、家々を廻ってローソクをもらって歩き、旧小泊村(現中泊町)では戦前まで各集落でねぶたを出したが、ねぶたをリヤカーに乗せ「ローソク出さねばがっちゃくぞ」などと言いながら各家を廻り歩いていたなど、北海道で現在行われているローソクもらいの原形を見ることができる。また、「出せ」にはローソクだけではなく「寄付」を寄こせという意味も込められており、これによってねぶた行事の経費としていた。現在、各地のねぶたを運行する際に掛け声として聞かれる「ラッセラーラッセラー ラッセラッセラッセラー」は「ろうそく出せ 出せ 出せよー」が、「イッペーラーセー」は「いっぱい出ーせー」が、「ヤーヤドー」は「おー いやいやよー」が語源とされ、それが訛り省略されて現在の形になったといわれており、北海道各地で歌われている歌詞との共通性が見受けられる。なお、江戸時代の「菅江真澄遊覧記」に、ねぶたまつりの囃しとして「おー いやいやよ」が紹介されている。

日本のなかの「ローソクもらい」

日本各地には、お盆のころに子供たちによる万灯や火祭り灯籠流しの習俗がみられる。そこでは、そのための材料や金銭を、子供たち自身が地域の家々を訪ねて貰い集めることも古くから行われてきた。北海道の「ローソクもらい」の習わしも、上述のように津軽のねぶた行事にその淵源を求めることができるし、日本各地で子供たちが行う七夕や地蔵盆などの盆行事の延長上にあるとみなすことができる。

本土各地からの移住地である北海道は、一般に、その故郷の習俗が点在するケースが多いが、この習わしは地域を越えて北海道一円に分布している。今もむかしも、子供の間の遊びや行事の流行は伝播のスピードが速く、この行事は北海道における子供文化の特徴のひとつとなっている。




「ローソクもらい」の続きの解説一覧




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ローソクもらい」の関連用語

ローソクもらいのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ローソクもらいのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのローソクもらい (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS