ロココ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/11 03:31 UTC 版)
彫刻
フランス
- ジャン=アントワーヌ・ウードンはディドロ、ルソー、ヴォルテールらの啓蒙思想家たちの肖像彫刻で名をなした。
ロシア
- 「クロトナのミロ」で評判となったフランス人彫刻家エティエンヌ・モーリス・ファルコネはロシア女帝エカチェリーナ2世に招かれた。首都サンクトペテルブルクの元老院広場に設置された「ピョートル大帝像(青銅の騎士)」はファルコネによるものである。
工芸
ロココ様式はインテリアのデザインや装飾として出発し、建築などに波及していっためずらしい例である[1]。
家具
フランス
1715年に幼いルイ15世が即位しオルレアン公フィリップが摂政となった。バロックとロココの過渡期であるこの時期の様式をフランス・オルレアン公様式、またはレジャンス(摂政)様式という[1]。やがて、婦人を中心とした社交生活が華やかになるとともに、女性的・感覚的で、直線を排した軽快で華麗なフランス・ロココ(ルイ15世様式)は完成されていった。
フランス・ロココの家具は、装飾彫刻はバロック様式に比べて浅く掘られ、ライトグレーやクリーム色などの淡い色に金箔を押したものが多く、カブリオール(猫足)と呼ばれる曲線の脚を持ち、陶磁器や金メッキ金物との組み合わせといった特徴がある。オーナメントの主なモチーフはアカンサス・貝殻・渦巻き・婦人像などがあり、アシンメトリーのデザイン手法が用いられた。
イギリス
アン女王の治世にブルジョア家庭に流行した家具はクイーン・アン様式と呼ばれる[1]。クイーン・アン様式は、フランス・バロックのスタイルを残しつつ、貝殻の曲線や角の丸み、猫足などのロココの要素が取り入れられている。大ぶりな安楽椅子であるウイングチェアはこの時代に誕生した。
イギリス家具史上でジョージアン時代と呼ばれる時期に、家具デザイナートーマス・チッペンデールが贅を尽くした宮廷用家具を、美しさと合理性をもった庶民用へと変化させて工場で量産した[1]。チッペンデールの庶民向け家具はチッペンデール様式と呼ばれている。チッペンデール様式はクイーン・アン様式をフランス・ロココ風に変形させたもので、スワンネックや、カブリオールの先端に施されるボールクローと呼ばれる玉を掴んだ爪の飾りに特徴がある。また、ゴシックやシノワズリの要素を取り入れた家具も多い。
イタリア
家具に関しては、後期バロックとイタリア・ロココの区別はあまりない[1]。花づな・花束をモチーフとした豊かな曲線が好まれた。明るい色調の木材が好まれ、シタンやオリーブ・トネリコを素材とした寄せ木細工が作られた。フランス・ロココと比べて金めっきの使用は控えめである。
ドイツ
ドイツ・ロココはバロックが発展したもので、優美さと流線の美しさが強調されている。ドイツ・ロココの宮廷家具はフランス・オルレアン公様式の貝殻模様などの装飾モチーフを借用するなど、フランス・ロココの影響を受けて発展した[1]。また、ブルジョア階級の家具はイギリスやオランダ家具の影響を受けている。
陶磁器
ドイツ
フランス
- セーヴルの陶器が有名。これもポンパドゥール夫人の支援により発達したものである。
イギリス
- 1743年ころ開かれたチェルシー窯は、1751年には国王ジョージ2世の三男カンバーランド公の支援を受けて発展する。それとは別に1744年ころロンドン近郊にボウ窯が開かれ、1748年にトーマス・フライにより釉薬に動物の骨粉を含むボーンチャイナが開発される。
イタリア
デンマーク
- フランツ・ヘンリック・ミュラーが1773年にデンマーク初の硬質磁器の完成させた。この磁器を生んだ窯は、国王クリスチャン7世と王太后ユリアナ・マリアの援助により1775年に「ロイヤルコペンハーゲン」王室御用達として認められた。
音楽
フランスでF.クープラン、ラモーら、イタリア(スペイン)のD.スカルラッティ、オーストリアのモーツァルトらに見られる装飾音符を多用した軽快・優美・繊細な音楽様式を音楽におけるロココ様式と呼ぶ。バロック時代後期から古典派まで様々な形で現れ、別名ギャラント様式ともいう。
- 前3者はチェンバロ(クラヴサン)曲集が多数、モーツァルトはピアノソナタのほか、フルートとハープの協奏曲、初期のピアノ協奏曲、オペラ『コジ・ファン・トゥッテ』などが好例。
ロココと同じ種類の言葉
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