リング (鈴木光司の小説)
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あらすじ
「そのビデオを見ると、一週間後に死ぬ」
自分の姪を含む、高校生2人と予備校生2人の友人グループが怪死した事件を調査することになった雑誌記者・浅川和行は、1週間前に4人が『伊豆の貸別荘』に泊まっていたことを突き止める。別荘を訪れた浅川は、そこで奇怪な内容が映ったビデオデープを発見する。そのビデオには、不可解な映像の断片が記録されており、「これを見たお前は7日目のこの時間に死ぬ」という、死の宣告で締めくくられた。
浅川は高校時代の同級生で、現在は論理学が専門の大学哲学科講師・高山竜司に相談する。浅川からコピーしてもらったビデオを見た高山は、これが単なる悪戯ではないことを悟り、二人は死が訪れる前にその呪いの謎を突き止めるため、奔走する事になる。そんな中、浅川の妻・静と娘の陽子までもがビデオを見てしまい、呪いにかかってしまう。
ビデオ映像に散りばめられた断片を解析していくうちに、そこが伊豆大島であると判明する。調査のため伊豆大島に訪れた2人は、千里眼を持っていた「山村志津子」という女性と、志津子の信奉者であり心理学者である伊熊平八郎との間に出来た娘である「山村貞子」の怨念により、ビデオに「念写」されたものであることを突き止める。貞子は念じるだけで人を殺せるほどの、強大な超能力者だったのだ。
呪いのタイムリミットが迫る中、さらなる調査を続けたところ、1965年に上京した貞子は劇団「飛翔」に入団して主演を務めたが、演出家の変死など様々な怪事象が続いて退団。その翌年、結核を罹った父親が入院した南箱根療養所で、父の担当だった医師・長尾城太郎によって強姦されて『古井戸』に突き落とされて殺害されていたことが判明する。そしてその殺害現場の古井戸が、浅川がビデオを見た『伊豆の貸別荘』の床下にあることを突き止める。
「山村貞子の遺体を、古井戸から引き上げて供養すれば、呪いは解ける」 ……そう考えた二人は、貸別荘の床下にある古井戸に潜り、水の底から「貞子の亡骸」を探しだした。その後、浅川はビデオを見てから1週間の期限を迎えたが死に至らず、呪いを免れることに成功したかに見えた……。
ところが、東京へ戻った高山は、彼がビデオを見てからちょうど1週間目の定刻に「謎の死」を遂げてしまう。貞子の呪いは、まだ解けていなかったのだ。では何故、自分は死ななかったのだろうか……。その理由に気づいた浅川は、ビデオを見てしまった静と陽子を助けるため、妻子のもとに車を走らせるのだった。
注釈
- ^ 映画版の山村貞子を題材としたパロディや他作品での言及についての詳細は「山村貞子#評価と大衆文化への影響」を参照。
- ^ 原作『らせん』では、貞子が念写したビデオテープの内容を描写した文章や、復活後の貞子が出演する映画やその他の様々メディアにも、「呪いのビデオ」を見るのと同じ効果があると設定されており、ゲームソフトも同様であると言及されている[62]。
出典
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