リング (鈴木光司の小説)
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映画
日本映画
本作を原作とした1998年の映画第1作と、その流れを汲むシリーズ作品が製作されている。
リング
1998年1月31日公開。中田秀夫が監督で映画化。続編『らせん』と同時進行で製作され、デュアル・ホラームービーと銘打った同時上映が行われた。同時上映の『らせん』を監督した飯田譲治が原作の意向を尊重することを心がけ、恐怖映画としての要素が薄い作風を意図していたのに対し[52]、本作を監督した中田は原作の主要な要素であったミステリ要素を敢えて省略しつつ、観客を怖がらせることに徹した作風を採っている[53]。
山村貞子は物語の終盤において、長髪を振り乱して井戸から這い出し、クネクネと動きながら高山竜司に襲いかかる異形の化け物としてスクリーンに登場する。この場面は特に恐ろしげに描かれ、映画公開当時には観客席から男性の悲鳴も上がった[54]。この映画版の貞子は当時を、ひいては映画史を代表する登場人物として評価されることになる[55][21]。
リング2
1999年1月23日公開。「映画版リングの後日談」を描いた映画オリジナルの続編。「らせん」とは別バージョンの続編という位置づけになっていて、高野舞、岡崎と沢口香苗、山村敬と3つの視点で物語が展開する。山村貞子を中心としたホラー映画としての物語を展開。同時上映は『死国』。
リング0 バースデイ
2000年1月22日公開。PG-12。原作小説『バースデイ』の一編「レモンハート」を基に生前の山村貞子の青春と悲劇の顛末を描く「映画版リングシリーズの完結編」。同時上映は『ISOLA 多重人格少女』。
貞子3D
2012年5月12日公開。3D映画。
貞子3D2
2013年8月30日公開。PG-12。3D映画。『貞子3D』の続編。
貞子vs伽椰子
2016年6月18日公開。貞子と『呪怨』シリーズの伽椰子の共演が実現[56]。
貞子
2019年5月24日公開。
貞子DX
2022年10月28日公開。
韓国映画
1999年6月12日に韓国映画版が『링』(リング)のタイトルで公開された。日本資本で製作された日韓合作作品。1998年の日本映画をリメイクしたもので、韓国で日本映画を上映するためには様々な制約や条件があったという当時の事情の下で製作された[57]。英語題名『The Ring Virus』。108分。日本未公開だが、東京国際映画祭では110分、『リング・ウィルス』というタイトルで上映[57]。『らせん』の要素も盛り込み、基本的に日本の映画版を意識した描写となる。浅川玲子に当たるホン・ソンジュの子供は息子ではなく原作の娘で名前はヘジンであり、解剖医のチェ・ヨルの役割もらせんの安藤満男の設定が組まれ高山竜司と異なる。山村貞子に当たるパク・ウンソは映画版を意識しながら半陰陽者や天然痘感染者の設定が復活し、父親のオ博士の異母兄に殺害される設定になっている。また、日本の単発ドラマのように呪いのビデオの描写が原作に忠実である。
ストーリー
新聞記者のホン・ソンジュは姪のサンミと3人の友人の謎の心臓麻痺による急死の事件をきっかけに調査すると彼らが行き泊まったコンドミニアムで呪いのビデオを見てしまう。サンミらの死体を解剖した解剖医のチェ・ヨルに相談するが彼は最初は相手にしてくれないが後に共に調査を始める。
スタッフ
- 監督:キム・ドンビン
- 脚本:コン・スチャン、シム・ヘウォン
- 音楽:ウォン・イル、チャン・ヨンギュ
- 製作:チョン・テソプ、キム・ヒョンジュン[要曖昧さ回避]
- 助監督:シム・サン
- 撮影:ファン・チョリョン
- 照明:イム・ジェグク
- 製作:AFDF KOREA、韓脈(ハンメク)映画
- 提供:オメガ・プロジェクト、AFDF、BM communication
- 配給:韓脈(ハンメク)映画
キャスト
- ホン・ソンジュ:シン・ウンギョン
- チェ・ヨル:チョン・ジニョン
- パク・ウンソ:ペ・ドゥナ、キム・ジュヨン(幼少期)
- キム記者:キム・チャンワン
- オ・ギョンピル:キム・ジンマン
- サンミ:チョ・ミンギョン
- ヨンミン:カン・ジヌ
- ボラム:キム・ジソン
- サンミの母:クォン・ナミ
- サンミの父:イ・ジサン
- パク・チョンスク:キム・ユンミ
- サーカス長:イ・ヒョンス
- ミョルチ(しらす):イ・サンビン
- ジミン:ナ・ミンジュ
- オ博士:ユ・ヨンス
- キョンア:パク・チャニョン
- チョンス:ヤン・ヒョンテ
- ドンジュン:イ・ナミョン
- サンミの祖母:ソン・ヨンスン
- サンミの祖父:キム・ドシク
- 研究所職員:ウォン・チャンヨン
- ビデオの老婆:キム・エラ
- パク老人:ユン・ジュサン
- ヘジン:キム・コッチ
アメリカ映画
ザ・リング
2002年10月に公開されたアメリカ映画版『ザ・リング』も、1998年の日本映画版をリメイクした作品となっている。この映画もヒット作となり、日本国外でのジャパニーズホラーブームを牽引した[2]。
ザ・リング2
2005年3月18日にアメリカ合衆国で公開された。『ザ・リング』から設定や登場人物を引き継いだ続編で、原作『らせん』とも、1999年の日本映画『リング2』とも異なる独自の展開が描かれた。
ザ・リング/リバース
2017年2月3日に北米公開。2018年1月26日に日本公開[58]。
注釈
- ^ 映画版の山村貞子を題材としたパロディや他作品での言及についての詳細は「山村貞子#評価と大衆文化への影響」を参照。
- ^ 原作『らせん』では、貞子が念写したビデオテープの内容を描写した文章や、復活後の貞子が出演する映画やその他の様々メディアにも、「呪いのビデオ」を見るのと同じ効果があると設定されており、ゲームソフトも同様であると言及されている[62]。
出典
- ^ 田村麻里子 (2005年7月4日). “ヤフー、松嶋菜々子主演「リング」など角川映画10作品を追加”. RBB TODAY. イード. 2011年8月31日閲覧。
- ^ a b 千歳香奈子 (2005年5月10日). “ホラー映画ブームの背景”. nikkansports.com ハリウッド直送便. 日刊スポーツ新聞社. 2011年8月31日閲覧。
- ^ 中田秀夫(インタビュアー:原田優輝、須永貴子)「HIDEO NAKATA」『PUBLIC-IMAGE.ORG』、2009年3月19日 。2011年8月1日閲覧。
- ^ 丸山玄則 (2011年11月3日). “日本政府 ハリウッド進出 60億円出資 新会社設立 アニメ・玩具 映画化狙う”. 朝日新聞13版 (朝日新聞社): p. 1面 2011年11月7日閲覧。
- ^ http://ir.kadokawa.co.jp/ir/houkoku/577/04.php
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- ^ a b c 坂東齢人「解説」『リング』鈴木光司(第27版)、角川書店〈角川ホラー文庫〉、1993年4月24日、327-331頁。ISBN 4-04-188001-7。
- ^ 中田秀夫、リング研究会1998年、76-80頁。
- ^ 『なぜ勉強するのか?』2006年刊行時
- ^ 大森望、リング研究会1998年、134頁。
- ^ a b c d 徳永淳美、リング研究会1998年、140-141頁。
- ^ 『リング』文庫版、§3.2、110頁。
- ^ 小川みどり、リング研究会1998年、122頁。
- ^ 大森望、リング研究会1998年、137頁。
- ^ a b c 大森望、リング研究会1998年、135頁。
- ^ 『らせん』文庫版、§単行本あとがき、401頁。
- ^ 小川みどり、リング研究会1998年、125頁。
- ^ “猛暑を乗り切るオススメのホラー映画、第1位は「リング」”. 映画.com. (2011年6月9日) 2011年8月31日閲覧。
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- ^ “映画評論 リング0 バースデイ”. 映画.com (2000年1月15日). 2011年9月12日閲覧。
- ^ “貞子vs伽椰子、最恐ヒロイン共演!山本美月主演で映画化”. シネマトゥデイ (株式会社シネマトゥデイ). (2015年12月10日) 2015年12月10日閲覧。
- ^ a b “韓国映画情報 リング”. シネマコリア (2000年4月8日). 2010年4月21日閲覧。
- ^ “ハリウッド版「ザ・リング」第3弾、日本公開は18年1月!”. 映画.com. (2017年9月20日) 2017年11月26日閲覧。
- ^ 貞子と歌舞伎がコラボ、新作歌舞伎「時超輪廻古井処」に片岡愛之助・今井翼・中村壱太郎ステージナタリー 2022年6月21日
- ^ a b c d “リング 製品情報”. 家庭用ソフト ソフトデータベース. セガ. 2011年9月20日閲覧。
- ^ a b c 「ドリマガ新着情報 リング」『週刊ドリームキャストマガジン』第17巻第3号、ソフトバンクパブリッシング、2000年2月4日、100-101頁、雑誌26421-2/4。
- ^ 『らせん』文庫版、§エピローグ、393頁。
- ^ a b “リング∞(インフィニティ)”. バンダイナムコゲームス公式サイト. バンダイナムコゲームス. 2011年9月20日閲覧。
- ^ 特集:世界が尊敬する日本人100『ニューズウィーク日本版』2019年4月30日号
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