マリリン・ホーン マリリン・ホーンの概要

マリリン・ホーン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/23 22:35 UTC 版)

マリリン・ホーンとヘンリー・ルイス(1961年、カール・ヴァン・ヴェクテン撮影)

略歴

初期の活動

南カリフォルニア大学でウィリアム・ヴェナード(William Vennard)に学んだ後、ロッテ・レーマンに師事した。デビューは、1954年にミュージカル映画「カルメン」(Carmen Jones)の主役カルメンの歌の吹き替えという異色の形となったが、1954年にはロサンゼルス歌劇場で「売られた花嫁」のハタ役で初舞台を踏み、しばらくはコンサートを中心に活躍した。

1956年には初めてヨーロッパにわたり、翌年ドイツのゲルゼンキルヒェン市立歌劇場(Oper Gelsenkirchen)と契約した。1960年まで同歌劇場を中心に、ウィーン国立歌劇場やヴェネツィア音楽祭にも出演した。1960年にはアメリカに戻り、サンフランシスコ歌劇場、シカゴ歌劇場に出演した。1964年にはイギリスロイヤル・オペラ・ハウスで「ヴォツェック」のマリー役を歌い、イギリス・デビューを果たす。

ベルカント歌手として

彼女の転機といえるのは、1961年2月にベッリーニのオペラ「ベアトリーチェ・ディ・テンダ」(Beatrice di Tenda)のニューヨークのカーネギー・ホール公演で、ジョーン・サザーランドの相手役として抜擢されたことである。そこで彼女は、それまでのメゾソプラノ歌手よりも装飾歌唱を駆使した強靭な声で、サザーランドと互角に渡り合った。

そして彼女の名声を確固たるものとしたのは、1964年カーネギー・ホールにおける「セミラーミデ」での、アルサーチェ役によるサザーランドとの競演である。広い音域にわたるむらのない強靭な声で、装飾歌唱を自在に駆使してサザーランドとの緊迫した演技を披露したことにより、ロッシーニ歌手としての名声を受けた。サザーランドとのコンビでは、ベッリーニの「ノルマ」のアダルジーザ役でも競演した。

他にも1969年には、ロッシーニの「コリントの包囲」(Le siège de Corinthe)のネオクレ役を演じ、更には「タンクレーディ」のタイトルロールといった、ロッシーニの男装主役たちを復活させたことが大きな功績となる。

また、ヘンデルの「リナルド」やヴィヴァルディの「オルランド・フリオーゾ」等のバロック・オペラの英雄役の発掘にも成功し、歴史的ベルカントオペラを聴衆に知らしめた功績も大きい。このように、オペラにおけるメゾソプラノ歌手の活躍の舞台を広げたことは、チェチーリア・バルトリヴェッセリーナ・カサロヴァ、ジェニファー・ラーモア(Jennifer Larmore)といった、ロッシーニを得意とするメゾソプラノ歌手を多く輩出する下地ともなった。このため、ホーンの活躍を機にメゾソプラノの歌唱技術が飛躍的に向上したことを指して、「ホーン以前」「ホーン以後」と分ける者もいる。

1970年代にはジャコモ・マイアベーアの『預言者』のフィデス役に登場している。1977年 1月のメトロポリタン歌劇場1979年9月のメトロポリタン歌劇場による再演が代表的な上演となっており、指揮はいずれも夫のヘンリー・ルイスが務めた[1][2][1]

日本における評価

以上のような功績にもかかわらず、遅くとも1990年代までの日本におけるホーンの評価は、サザーランドのそれと同じくお世辞にも高いものとは言えなかった。その理由として、ホーンの声が強靭で野太いものだったこと(それこそがロッシーニのオペラの英雄役としての成功を収めた要因であったが)に対する生理的な嫌悪感を日本の評論家たちが抱いていたことが挙げられる。




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