マトリックス レザレクションズ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/03 17:38 UTC 版)
製作
開発
マトリックス映画を製作している間、ウォシャウスキー姉妹は親しい協力者たちに、当時は『マトリックス レボリューションズ』以降のシリーズ作品を作るつもりはないと語っていた[12]。2012年には、ウォシャウスキー姉妹がシリーズの追加2作品を企画しており、キアヌ・リーブスとネオ役の再演について話し合っていると報じられ、新作の噂がネット上で流れ始めた[13]。2014年には、姉妹がワーナー・ブラザースにマトリックスの新3部作のストーリートリートメントを提出したという噂もあった[14]。2015年2月、『ジュピター』のプロモーションのためのインタビューで、リリー・ウォシャウスキーは、スタジオがオリジナル作品よりも続編やリブート、改作にゴーサインを出すことを好むこの時代において、マトリックスへの復帰は「特に反発を覚えるアイデア」として[15]、ラナ・ウォシャウスキーはリブートの可能性についての噂に触れ、何も聞いていないが、スタジオが自分たちの交代を検討しているのではないかと考えていると語った[16]。
2017年3月、ハリウッド・リポーターは、ワーナー・ブラザースがフランチャイズの再始動の開発の初期段階にあり、ザック・ペンが執筆に向けて交渉中で、マイケル・B・ジョーダンを主演にすることに関心を持っていると報じた。この段階では、ウォシャウスキー姉妹は関与していなかったが、スタジオ側は彼らの支持を期待していた。リブートやリメイクの概念はペンによって否定され、すでに確立されたユニバースを舞台にしたストーリーのアイデアが模索され、若き日のモーフィアスを描いた前日譚(ぜんじつたん)の映画や、彼の子孫による続編の映画などが報じられた[17]。2018年3月、ペンはフランチャイズのリバイバルに取り組んでいると述べ、エクスパンデッド・ユニバースの可能性を示唆した[18]。ペンは2019年10月、ワーナー・ブラザースで2つのマトリックスプロジェクトのうちの1つに取り組んでおり、その仕事は計画中の映画とは別のものであることを明らかにした[19]。
プリプロダクション
2019年8月20日にワーナー・ブラザースから製作が正式に発表された。ラナ・ウォシャウスキーが単独で監督に復帰し、リーブスとモスの再出演が決定した。脚本は、『センス8』の最終シリーズを一緒に書いた、ウォシャウスキー、デイヴィッド・ミッチェル、アレクサンダー・ヘモンの3人が担当した[20][21]。ウォシャウスキー姉妹は、ミッチェルの小説『クラウド・アトラス』の映画化作品でも監督を務めている。リリー・ウォシャウスキーは、ショウタイムのシリーズ『Work in Progress』の仕事をしているため、参加していないが、関係者に「オリジナルよりも良い」ストーリーを作ることを承認した。さらに彼女は、両親の死によって感情的になっていたことに加えて、「アーティストとしての自分を取り戻すために、学校に戻って絵を描いたりすることで、業界から離れる時間が必要だった」と語っている[22]。同月、ジョン・トールが撮影監督として採用された。トールはこれまで、『クラウド・アトラス』、『ジュピター』、『センス8』でウォシャウスキー姉妹の撮影監督を務めていた[23]。
撮影
ワーキングタイトル『Project Ice Cream』のもと、2020年2月4日にサンフランシスコで製作を開始した[24]。また、ドイツのバーベルスベルク・スタジオとシカゴでも撮影が行われた。
2020年3月16日、COVID-19パンデミックにより、映画の製作が中止された[25][26]。2020年8月16日、キアヌ・リーブスがベルリンで撮影を再開したことを確認した[27]。2020年11月11日、プリンシパルフォトグラフィーが終了した[28]。
マーケティング
2021年8月24日、タイトル『The Matrix: Resurrections』が明かされた[29]。同日に開催されたシネマコンでのワーナー・ブラザースのパネルの一部として、ネオとトリニティの出会いを描いた予告編が上映された[29]。
日本語吹替版
本作の日本語吹替版の収録は4日間のリハーサルを経た翌日に試写会を行い、後に2日間かけて録音というスケジュールであったため、結果として丸1週間かけて収録したことをネオ役の小山力也が明かしている[30][31]。なお、本作の吹替台本は持出禁止であったという[32]。
本シリーズの劇場公開版でランベール・ウィルソン演ずるメロヴィンジアンの吹き替えを務めていた中村秀利が死去しているため、前作までのフジテレビ放送版の吹き替えで同役を務めていた江原正士が後任となった。
- ^ 本当の所はマトリックスの不完全な挙動や外部からの介入である。
- ^ 青いピルの服用シーンでは後の展開のヒントとして事前説明もなく一瞬だけ年老いた姿が鏡に映る。トーマス・A・アンダーソンからはその姿が見えないが、マトリックスのシステムでデジタル自己イメージ(つまりはアバター)が年老いた姿に設定されているため、他人からは全く別の姿に見えており、モーフィアスら反乱分子によるネオの捜索も困難を極めた。
- ^ 架空のゲーム会社。元ネタはデウス・エクス・マキナという、複雑化した物語を強引に完結させる機械仕掛けの神。古代ギリシアの演劇に始まり、昔から様々な文学作品で用いられて来たが、映画「マトリックス」ではマシン・シティの統治者も指す。
- ^ バイナリーの言葉の意味は、デジタルデータの基本となる2進数や、作中で繰り返される二者択一と関連する。
- ^ マトリックスシリーズとして久々に新作が公開されたため、導入として映画『マトリックス レザレクションズ』の制作の経緯説明(ワーナーからの制作オファーは毎年のように行われていたが、映画制作に至った理由ではない)も兼ねている。トーマス・A・アンダーソンがモーフィアスに再会するまでのシーンは特にメタ発言が多く、過去の3部作の再解釈や、現実の作品制作で突き当たる課題をジョーク交じりに提示している。
- ^ この店は映画全編に渡ってネオとトリニティの関係性を描く場面で使われる。店名は明らかにシミュレート(Simulate)に由来しており、サンフランシスコのシーンが仮想現実であることを暗示している。店のロゴもマトリックスのデジタル雨にマグカップの取っ手を付けたような形である。実際のサンフランシスコもカフェ激戦区として知られており、有名ブランドが凌ぎを削っているが、本作もそれに合わせた形となる。ロケ地はJoe & the Juiceのサンフランシスコ・モンゴメリー通り店である。
- ^ 役者自身の家族構成でもある。
- ^ 作中の日本語字幕では東京ではなくトーキョーと表記されている。短いシーンに様々な日本的な要素を詰め込んでいるため、トーキョーの表現はかなり脚色されている。実際の日本では、新幹線の中に日の丸が大きく描かれることはないし、新幹線が桜並木の間を走り、ビル群が遠方に見え、富士山が大きく見えるという風景も存在しない。富士山の大きさから強引に当てはめるならば静岡県辺りになるが、静岡県からであれば東京のビル群は見えない。
- ^ ナイオビの話から戦後、最高指導者となったモーフィアスと彼を信じる一派はネオが成し遂げたことは覆らないと信じ、預言者の警告を無視したためザイオンと共に滅びたことが示唆されている
- ^ 当初は戦いを拒否し、格闘の速度は常人並みで、空の飛び方も忘れているという状態にあったが、モーフィアスによる道場でのトレーニングや、サンフランシスコにおけるボットとの戦闘などでマトリックスのルールから逸脱する方法を思い出して行く。
- ^ 会議が迷走し、企画がまとまらない状態。愛玩動物の動画シリーズがバズっている事を受けたジョークである。
- ^ 前作まで同役を担当していた中村秀利は2014年に亡くなっているため、本作では同役を『リローデッド』と『レボリューションズ』のフジテレビ放送版で担当していた江原が中村に代わって演じた。
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