パルース (地形) パルース (地形)の概要

パルース (地形)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/11 01:01 UTC 版)

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ワラワラ北東のパルース丘陵
アイダホ州モスコーアイダホ大学樹木園南にあるパルース丘陵
パルース草原生態域の位置図

1890年代初期には公有地供与の制度を元に、アイダホ大学(アイダホ州モスコー)およびワシントン州立大学(ワシントン州プルマン)が州境を挟んで開設された。両校はわずか8マイル (13 km) の距離にあって現代に至るまで交流は深い。

歴史

パルースという言葉の起源は不明である。ある説ではパルース族インディアン(綴りは"Palus"、昔は"Palloatpallah"、"Pelusha"などとも呼ばれた)の名称がフランス系カナダ人の毛皮交易業者によって、より親しみのあるフランス語「ペルース」("pelouse"、「丈の低く密な草あるいは芝のある土地」という意味)に転換されたというものである。時をへて綴りが"Palouse"に変化してきた[2]。別の説では当初その地域を表すフランス語だったものが、土地に住むインディアンの呼称に当てられたというものである。

伝統的にパルース地域は、ワラワラ地方とを分けるスネーク川の北、カマス・プレーリーとを分けるクリアウォーター川の北、ワシントン州とアイダホ州の州境にそって北に伸び、スポケーン市より南で、パルース川を中心とする地域にある肥沃な丘とプレーリー(草原)として定義されてきた。この地域は、当初スネーク川の南のワラワラ地方で開拓されたワシントン州南東部の大規模な小麦栽培地の一部として、1880年代に入植と小麦生産が進んだものである[3]

地理

パルースに関する上の定義が今日も残っているが、小麦生産地域の全体、すなわちワラワラ地方、アイダホ州のカマス・プレーリー、コロンビア川台地中央のビッグベンド地域、その他ワシントン州アソティン郡やオレゴン州ユマティラ郡のような小規模の農業地帯まで含めて使われることがある。このような広義の定義は、パルース草原生態域を広く定義する世界自然保護基金のような団体が使っている[4]

ワシントン州パルースの町はアイダホ州ポトラッチの西7マイル (11 km) のウィットマン郡にある。

それでもパルース地域の伝統的な定義は、スネーク川より南のワラワラ地方とは区別するものである。ワラワラ地方では1860年代に既に小麦の乾燥地農作が可能であることが分かっていた。1870年代にワラワラ地方が急速に農地に転換される一方で、それまで牛や羊の放牧が支配的だったパルース地域でも小麦栽培の実験が始まった。この試みが成功以上のものをもたらすと、1880年代には小規模の土地ブームが来てパルース地域は急速に農場で埋まっていった。同時期に進行した鉄道網の拡大によってパルースの開拓速度を速めた。1890年までにパルースの土地は全てが所有され、小麦栽培地に転換された[5]

ワラワラ市が確固とした中心となっていたワラワラ地方とは異なり、パルース地域は少なくとも4つの中心があり、互いに数マイルを隔てているだけだった。すなわちコルファックス(最古の町)、パルース、プルマン(以上ワシントン州)とアイダホ州のモスコーだった。これら4つの中心に加えて少なくとも10の小さな町があり、ワラワラ地方の中心がはっきりした正確と比べて拡散した都市化の様相になった[6]

パルース地域の境界部にあり定義によってはパルース地域に含まれる都市としては、カマス・プレーリーの農業地帯にあるアイダホ州ルイストン、ビッグベンド地域の東端にあるワシントン州リッツビル、および地域全体の主要都市であるワシントン州スポケーンがある。スポケーン市の位置付けが大きいために小麦生産地域、地域製粉地帯および製材業の行われる森林を含みスポケーンが内陸部(インランド・エンパイアと呼ばれる)の首都と呼ばれるようになってきた。またスポケーンは地域全体にとって鉄道と輸送の中心にもなっている。

1910年までにパルース、ワラワラ地方、ビッグベンド、ユマティラ地方およびカマス・プレーリーというような地元の呼び方が普通になったが、地域の多くの人々はインランド・エンパイア、小麦ベルト、コロンビア盆地あるいは単純にワシントン州やオレゴン州の各東部、アイダホ州北部という呼び方で、そこに住んでいると見なすようになってきた[7]

ワシントン州ステップトー・ビュートから眺めたパルース

パルースのプレーリーを特徴付ける風変わりで絵のような沈泥の小丘は氷期に形成された[8]。氷河のアウトウォッシュ・プレーン(外縁堆積原)から西と南に吹き出されて、不揃いなこぶと窪みの繋がりになっている。最も急な斜面は斜度が50%になるものもあり、北東に面している。非常に肥沃な黄土の深さは5 cm から 130 cmになっている[9]。平らな広い土地はほとんどない。

パルース山脈のようにプレーリー周縁の高地には深い針葉樹の森があることが多い。モスコー山が最高峰であり、海抜4,983 フィート (1,519 m) である。モスコー市の北東8マイル (13 km) にある。

地質




  1. ^ Meinig, pg. 248. The 1880 census recorded 3,588 people living in Walla Walla and 3,533 in Seattle.
  2. ^ Phillips, James W. (1971), Washington State Place Names, University of Washington Press, ISBN 0-295-95158-3 
  3. ^ Meinig, p. 467.
  4. ^ Terrestrial Ecoregions - Palouse grasslands (NA0813)
  5. ^ Meinig, pg. 510.
  6. ^ Meinig, pg. 333.
  7. ^ Meinig, pg. 406.
  8. ^ Alt and Hyndman 1989
  9. ^ a b c d Williams, K.R. 1991. Hills of gold: a history of wheat production technologies in the Palouse region of Washington and Idaho. Ph.D. dissertation, Washington State University, Pullman.
  10. ^ St. George, Donna (1997年9月24日). “National Origins: Washington-Idaho Border; America's Golden Land Of Lentils”. The New York Times (The New York Times Company). http://www.nytimes.com/1997/09/24/dining/national-origins-washington-idaho-border-america-s-golden-land-of-lentils.html?pagewanted=all 2009年8月17日閲覧。 
  11. ^ Noss et al. 1995
  12. ^ Ratti and Scott 1991
  13. ^ Ratti and Scott 1991
  14. ^ a b Victor 1935
  15. ^ Tisdale 1986
  16. ^ Morgan, pers. Comm)


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