トーマス・トゥーイ トーマス・トゥーイの概要

トーマス・トゥーイ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/08 10:25 UTC 版)

トーマス・トゥーイ
生誕 (1917-11-07) 1917年11月7日
ウォールズエンド
死没2008年3月12日(2008-03-12)(90歳)
国籍 イギリス
テレビ番組The Men Who Saved Cumbria (2007)
Windscale: Britain's Biggest Nuclear Disaster (2007)
受賞大英帝国勲章

トゥーイはウォールズエンド(en)で生まれ、聖カスバート高等学校(en)ニューカッスル・アポン・タインおよびレディングの大学で教育を受けた。

第二次世界大戦中に彼は化学者としてロイヤル・オードナンスに勤務し、1946年に核燃料産業に就き、1957年にはウィンズケール原子力施設の副所長なった。

1957年10月10日、インフルエンザに罹った家族達の面倒をみるため休暇を取っていたトゥーイは[3]所長からの電話で火災の事を知り、家族に窓を閉め室内に留まるように指示して職場に駆け付けた。火災事故では放射線水素爆発・建屋のコンクリートが高熱に耐えきれずに崩壊する危険を顧みず、防護服と酸素ボンベを身に付けて高さ80フィートの建屋屋上から消火の指揮を執った[4]。火の勢いが衰えたのを見計らい、消火隊の隊長と自分を残して所員を避難させて送風を止め、鎮火を見届けた。こうして火災が後に発生したチェルノブイリ原子力発電所事故に匹敵する大惨事になる事態は食い止められた[4][3]。トゥーイは線量計を意図的に打ち捨てていたので正確な被曝量は不明であるが、この一晩で年間許容限度の4倍の放射線は浴びたものと推定されている[5]

水爆製造のための政府の無謀な増産命令に事故原因があったと知られる事を恐れ、事実は隠蔽され所員の運転ミスという事にされた結果、トゥーイの指揮のもとで命懸けで大事故を防いだ所員達は一転、火災の責任を負わされ、公の非難を浴びた[4]

1964年に所長に昇進しているが、それは火災に立ち向かった功績が認められたためではなく、状況的に昇進するのが当然の人物であったためである[6]

1969年には大英帝国勲章を受章した。

1974年に早期退職するまで原子力産業に身を置いた。

2007年10月11日、彼の業績を称えるために『カンブリアを救った男達』(The Men Who Saved Cumbria) というドキュメンタリー番組が ITV Border(en) で放送された[5]

外部リンク


  1. ^ Thomas Tuohy: Windscale manager who doused the flames of the 1957 fire
  2. ^ Tom Tuohy Telegraph, 2008年3月26日
  3. ^ a b TOM TUOHY, HERO OF THE 1957 WINDSCALE FIRE, DIES AGED 90, 26 March 2008, Whitehaven NewsNews
  4. ^ a b c Windscale: Britain's Biggest Nuclear Disaster (2007) (TV)
  5. ^ a b HERO WHO BATTLED NUKE FIRE TELLS TALE ON TV North West Evening Mail, Monday, 08 October 2007
  6. ^ ジーン・マクソーリ 『シャドウの恐怖―核燃料再処理工場で汚染された人々の運命』 浜谷喜美子訳、ジャプラン出版、1991年 p.14 ISBN 978-4915536144


「トーマス・トゥーイ」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「トーマス・トゥーイ」の関連用語

トーマス・トゥーイのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



トーマス・トゥーイのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのトーマス・トゥーイ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS