トゥモロー・ネバー・ノウズ
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レコーディング
「トゥモロー・ネバー・ノウズ」は、アルバム『リボルバー』のためのセッションで最初にレコーディングされた楽曲で[20]、1966年4月6日にEMIレコーディング・スタジオのスタジオ3でレコーディングが開始された[12]。このセッションからジェフ・エメリックがレコーディング・エンジニアに昇進し、エメリックとプロデューサーのジョージ・マーティンによる後押しも相まって、完成した楽曲は従来の作品とは異なる仕上がりとなった[15]。レノンは、楽曲にチベット仏教の儀式の雰囲気を取り入れることを考え、マーティンに「数千人ものチベットの僧侶が経典を唱えているような感じにしたい」と伝えた[7]。この時トランス状態であったレノンは「天井から自分を吊して周りながら歌ったら、より面白い音が録れるのでは?」と提案し[12][21]、実際に行なったがうまくいかなかった[7]。そこで、エメリックはボーカルをハモンドオルガン用のレズリースピーカーを使ってドップラー効果を出すことで、レノンの要求を実現させた[22][23][7]。
本作のレコ―ディングより、「2度歌わなくてもダブルトラッキングを機械で作り出せるようにしたい」というレノンの意向をもとに、EMIレコーディング・スタジオのテクニカル・エンジニアであるケン・タウンゼントが考案したADTという機能が導入され、以降アルバム『リボルバー』のレコ―ディング全体で楽曲に様々な効果をもたらした[24]。なお、レノンのボーカルは、冒頭の3節がダブルトラッキングされ、レスリースピーカーに通したボーカルは逆回転させたギターソロの後のセクションで聴くことができる[25]。
楽曲には、音を圧縮したドラム、逆回転させたギターやシンバル、ダブルトラッキングなどの音の処理が施されたボーカル、テープ・ループ、シタールとタンブーラのドローンが含まれている[21]。テープ・ループは、カールハインツ・シュトックハウゼンの「少年の歌」に影響を受けたマッカートニーによって導入され[26][27]、これはリズムトラックを再生しながらオーバー・ダビングされた[26]。マッカートニーは他のメンバーにもテープ・ループを作成するように勧め[19]、合計30本のテープ・ループが作成された。マーティンは、作成された30本のテープ・ループから16本を選び、楽曲中で使用した[28]。テープ・ループはそれぞれ6秒ほどの長さだった[28]。
テープ・ループのオーバー・ダビングは、4月7日に行なわれた[21]。テープ・ループは、スタジオでテープ・レコーダーを回しながら、テープを鉛筆で引っ掛けながら再生ヘッドに当てて録音された[28]。マーティンがステレオ・パンニングを変更し、エメリックがメーターを確認している間、メンバー4人はミキシング・コンソールのフェーダーを制御していた[29][30]。
リリースされた音源では、以下のような5種類のテープ・ループが確認できる。
- カモメの鳴き声に似せて回転速度を速めたマッカートニーの笑い声を録音したテープ・ループ(開始から7秒後に聴こえる)[注釈 1]。
- Bメジャーのオーケストラ・コードを録音したテープ・ループ(開始から19秒後に聴こえる)。
- フルートにセッティングしたメロトロンを録音したテープ・ループ(開始から22秒後に聴こえる)。
- B♭とCを交互に繰り返し奏でるメロトロンを録音したテープ・ループ(開始から38秒後に聴こえる)。
- 上昇するフレーズを演奏するシタールを録音したテープ・ループ。テープの回転速度が速められている(開始から55秒後に聴こえる)[32]。
なお、5種類のテープ・ループの内容については、セッション中に行なわれた処理により、実際にどのような音が含まれているのかは不明とされている[33]。ロバート・ロドリゲスは、著書の中で「マッカートニーの笑い声を録音したループとB♭の長三和音を録音したループを除き、2種類のループにはそれぞれ逆回転とテープ回転速度の変更が施されたシタールの音が録音されていて、残りのループにはメロトロンによるストリングスとブラスの音が録音されている」と書いている[34]。ケヴィン・ライアンとブライアン・ケヒューは共著で「2種類のループには、メロトロンではなくシタールが録音されていて、テープエコーがかけられたマンドリンもしくはアコースティック・ギターも含まれている」と書いている[10][35]。曲の途中では、ハリスンが演奏したフレーズ[35]を逆回転させたギターソロ[36]と、マッカートニーが「テープソロ」と称したパート[37]が含まれている。
4月22日の本作では最後のオーバー・ダビング・セッションが行なわれ、ハリスンのシタールとレスリースピーカーを通したレノンのボーカルが加えられた[38]。
注釈
出典
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