タイミングベルト タイミングベルトのメンテナンス

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タイミングベルト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/06 18:19 UTC 版)

タイミングベルトのメンテナンス

タイミングベルトは一般にはエンジン側面のカバーに覆われており、目視による日常点検ができない。エンジンに高度なチューニングを施した場合、高い負荷の掛かるタイミングベルトの管理には非常な厳格さが要求されるため、エンジンカバーを取り外して剥き出しにしているケースも見受けられる。

しかし、一般的な自動車の場合、そこまで厳格にメンテナンスする必要は全くない。日本車の場合、メーカー指定の交換時期は10年・10万キロメートルという場合が多く、それを守っていればまず問題ない。ただし、ベルト以外の部分のメンテナンスを怠るとベルトにかかる張力が大きくなるため、結果的にベルトの劣化が早まることも十分にあり得る。そこでタイミングベルトを長持ちさせるためには、エンジンオイルロングライフクーラントなどのフルード類をこまめに交換することが求められる。さもないとエンジン内部の回転抵抗が増大し、タイミングベルトに余分な負担をかける。エンジンのメンテナンスを怠り続けた車の場合、10万キロメートルを待たずしてタイミングベルトが切れてしまう事例は日常的に確認されているので注意を要する。当然、メーカー側がある程度の安全率を勘案した10年・10万キロメートルという指定である。 油脂類のメンテナンスを日常的に行っている車両でも、静止状態からいきなりアクセルを踏み込む動作(急発進)を行うと、急激なトルク変動によりベルトが引っ張られストレスが掛かり、その寿命を縮めてしまう。低回転からの急激な回転数の上昇は特にタイミングベルトのテンショナーベアリングにも負担を掛けることとなり、異音の原因となる事もある(ファンベルト類も同様である)。

タイミングベルト交換作業

タイミングベルトの交換作業は、整備技術レベルとしては中級に属する。このため、一般ユーザーはディーラーや修理工場に作業を依頼することが多い。

作業は、タイミングベルト交換を行うための作業スペースの確保のために、その他の補機類(インテークダクト、オルタネータなど)を取り外す。そしてエンジンカバーを外し、テンショナーを取り外した後、タイミングベルトを交換する。この時、冷却水を循環させるウォーターポンプはタイミングベルトを外さないと交換できないエンジンが多いこととポンプ交換の追加工数が少ないこと、さらにほぼ同等の時期での故障が見込まれることから、ウォーターポンプも同時に交換することが多い[11]。 他にも、タイミングベルトを取り外した状態でないと交換できない各シャフトのシール類の交換も同時に行われる場合も多い。

高級スポーツカーの代名詞とも云える、フェラーリでは、指定交換サイクルが2年2万キロ(4年3万キロ)と短い。縦置きミッドシップのモデルでは、タイミングベルトプーリがキャビン側に配置されており、ベルト交換のためにエンジンを下ろす必要があることから作業工賃も高額である。この他スバルなど水平対向エンジンを搭載する車もタイミングベルトを交換する際にエンジンを車体から外すか、他の部品を外してタイミングベルトカバーを外せるだけの空間を確保する必要があるため、タイミングベルト交換にかかる工賃は他のエンジンに比べても高額になる。

エンジン横置きミッドシップ車のホンダ・NSXトヨタ・MR2、横置きリアエンジンのスバル・サンバーはエンジン搭載状態で交換可能であるが、他のエンジンレイアウトのタイミングベルト交換作業に比べると比較的長い標準作業時間が設定されていることからも、高難易度の整備とされる。


  1. ^ ピストンの可動域と、バルブの可動域が干渉する構造
  2. ^ ベルトが断裂するとタイミングがずれるため、上昇したピストンヘッドと解放中のバルブ傘部が衝突(バルブクラッシュ)する。逆に、バルブリセスを深く取る事で圧縮比の上昇に制約が生じたり、バルブタイミングの可動範囲が制限されるリスクを取ってでも、干渉を避けた設計のエンジンはノンインターフェアレンスと呼ばれる。
  3. ^ https://xtech.nikkei.com/dm/article/HONSHI/20130125/262367/
  4. ^ http://papers.sae.org/2012-01-1750/
  5. ^ http://www.servicing.peugeot.co.uk/media/deliacms/media/45/4504-09afda.pdf
  6. ^ a b http://www.contitech.de/pages/presse/messen-veranstaltungen/pr-messen/2013/130910_iaa_03/presse_en.html
  7. ^ http://ww2.gates.com/europe/file_save_common.cfm?thispath=Europe/documents_module&file=GATES_HOT_OIL_WET_BELT_SYSTEM_TECHNOLOGY.pdf&location_id=6105
  8. ^ http://www.honda.co.jp/news/2002/p020422-gx25.html
  9. ^ トヨタの例。
  10. ^ グラスファイバー(長繊維)とは”. 硝子繊維協会. 2023年6月7日閲覧。
  11. ^ 【ウォーターポンプ】故障時の症状や原因は?交換時期や費用も解説”. グーネット (2020年7月15日). 2023年6月7日閲覧。





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