ゼルダの伝説 時のオカリナ ゼルダの伝説 時のオカリナの概要

ゼルダの伝説 時のオカリナ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/16 23:08 UTC 版)

ゼルダの伝説シリーズ > ゼルダの伝説 時のオカリナ
ゼルダの伝説 時のオカリナ
The Legend of Zelda: Ocarina of Time
ジャンル アクションアドベンチャー
アクションRPG[注 1]
対応機種 NINTENDO64
iQue Player
WiiWii Uバーチャルコンソール
開発元 任天堂
発売元 任天堂
プロデューサー 宮本茂
ディレクター 大澤徹
山田洋一
小野塚(青沼)英二
シナリオ 大澤徹
プログラマー 岩脇敏夫
音楽 近藤浩治
シリーズ ゼルダの伝説シリーズ
人数 1人
メディア 256Mbitロムカセット
発売日
1998年11月21日(N64)
2007年2月27日(Wii・VC)
2015年12月22日(Wii U・VC)

1998年11月23日(N64)
2007年2月26日(VC)

1998年12月11日(N64)
2007年2月23日(VC)

2003年11月(iQue)
対象年齢 CEROA(全年齢対象)
ESRBE(6歳以上)
ELSPA:3+
コンテンツ
アイコン
Animated Violence
デバイス 振動パック対応
売上本数 約145万本[1]
約760万本[2]
その他 品番:NUS-CZLJ-JPN
NUS-CZLE-USA(北米版)
NUS-NZLP-EUR(欧州版)
©1998 Nintendo
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直接の続編に『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』がある。2011年6月には、ニンテンドー3DS用に全面的にリメイクされた『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』が発売された。

概要

ゼルダの伝説シリーズでこれまで用いていた2D見下ろし型視点から転換したシリーズ初の3D作品で、第三者視点と主観視点を併用しながら奥行きのある空間内で戦闘や謎解きを行う。歴代作品に登場した怪物・ガノンの変身前にあたる人間の姿の「ガノンドロフ」や、多様な人種・種族が本作で初登場し、以降のシリーズ作品にも設定が反映されている。

本作では、それまでの3Dゲームで付きものだったカメラワークや操作性の問題の解決策として、第三者視点のまま敵や特定の対象物に自動で照準を合わせながら行動できる「Z注目システム」や、様々な特殊アクションを状況に応じて自動で判別し1つのボタンのみで実行できるシステムなどを搭載している。

本作の革新性は高く評価され、第3回CESA大賞(現・日本ゲーム大賞)大賞や、第2回文化庁メディア芸術祭 デジタルアート〔インタラクティブ〕部門 大賞など数多くの賞を受賞した(詳細は「受賞・評価」を参照)。

神々のトライフォース』の説明書で語られた封印戦争を描いているが、『神々のトライフォース』のメディミックス作品の設定も取り入れているためか内容が異なってしまっている。

開発

他のいくつかのN64用ソフトと同様に、完成までに長期間を要している。当初はN64が発売された1996年内に発売する予定だったが、プロデューサーの宮本茂が作り直しを命じるいわゆる「ちゃぶ台返し」を何度も行い、年単位で発売が延期された。開発体制は「多重構造ディレクター制」を初採用、宮本が定めた大まかな方向性に沿って小野塚(青沼)英二小泉歓晃ら各分野のディレクターがクリエイティブな開発を担当し、出来上がったものに対して宮本が音の注文をつけたり、サブゲームを追加していくというスタイルで進められた[3]。ちなみに、宮本はプロデュースに徹する予定だったが、現場だけで纏め上げることができず、宮本がディレクションも兼ねることで完成をみたことが明かされている[4]

また、本作はN64の周辺機器である64DD(1999年発売)との連動が考慮されており、追加データの入った64DDディスクと同時起動することによってダンジョンマップを一新した「裏ゼルダ」を遊べるように設計されていた[5]。この「裏ゼルダ」は完成したものの発売に至らなかったが、後の2002年発売の『ゼルダの伝説 風のタクト』に予約特典として付属した本作の移植作品『ゼルダの伝説 時のオカリナGC』の中で「ゼルダの伝説 時のオカリナGC 裏」として収録されたほか、本作のリメイク作品『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』にもアレンジバージョンが収録されている。

発売

E3 1997(6月19日 - 21日、アトランタ)において[6]、『Zelda 64』の仮タイトルで映像が初公開された。その後1998年4月発売予定とされたが、4月に入り同年秋へ延期[7]、さらに秋に入ってからも11月14日から21日へと発売日が変更されている[8]

このように発売延期が繰り返された本作だが、E3 1998(5月28日 - 30日、アトランタ)で公開された映像は見る者に衝撃を与え[9]、『週刊ファミ通』1998年11月27日号(通巻519号)のクロスレビューでは史上初となる40点満点を獲得した。日本国内では発売後年末までに約82.5万本を売り上げ、1998年のゲームソフト売上第10位に入った[10]。また海外の販売も好調で、任天堂はクリスマスまでに全世界に約500万本を出荷する計画を発表している[11]。国内累計販売本数は約145万本でシリーズ中第3位[1]。世界全体ではシリーズ中第3位となる約760万本[2](2004年3月時点)を販売した。なお、テレビCMにはBOSEドリアン助川ユースケ・サンタマリア前田日明藤原竜也稲森いずみ深田恭子を起用した。

製品バリエーション

『ゼルダの伝説 時のオカリナ』
1998年11月21日発売。NINTENDO64用。
ゼルダの伝説 時のオカリナGC
ゼルダの伝説 風のタクト』(2002年12月13日発売)の予約特典。ニンテンドーゲームキューブ用。『裏ゼルダ』バージョンも収録。
ゼルダコレクション
クラブニンテンドーの景品で、2004年3月18日交換開始。『時のオカリナGC』とほぼ同じものが収録されている。
『ゼルダの伝説 時のオカリナ』 (バーチャルコンソール
Wii版が2007年2月27日に、Wii U版が2015年12月22日配信開始。
ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D
2011年6月16日発売。ニンテンドー3DS用。部分的な変更点が多く存在する。
NINTENDO 64 Nintendo Switch Online
2021年10月26日より配信[12]

システム

謎解きとアクションというゲームシステムの根幹はそのままにインターフェースを完全に3Dに置き換え、「草や岩を持ち上げて投げる」「ヒビの入った壁を爆弾で壊して進む」など従来作品同様のアクションを3Dでも実現した。ライフの数は最初は3つで最大20。本作ではハート(体力)が0になるとゲームオーバーとなり、タイトル画面に戻るか、セーブした状態からやり直すことができる。また、デスマウンテン火口の灼熱地帯や水中ではリンクの残りハートの数によって制限時間が決まり[注 2]、時間が切れるとゲームオーバーになる。魔力ゲージはデスマウンテン登山道の大妖精の泉から使用できるようになる。なお、セーブファイルをロードする際に出る数字は、ゲームオーバーの回数を示している[注 3]。通貨単位は「ルピー」。

Z注目システム

プレイヤーが対象となる物体(ナビィが対象に移動、かつマーカーが表示される)を任意にロックオンし、対象物に対して確実に接近や離脱をしたり、矢などの飛び道具を確実に当てることを可能としたシステムである。

従来の3Dアクションゲームでは敵に攻撃を当てるために細かい照準補正を必要とし、正面に向くカメラワークによりプレイヤーキャラクターを適切な位置に動かすことそのものを難しく感じるプレイヤーもいたことから、その対応策として考案されたもので、対象が隠れることが無いようにカメラワークも斜めや横側などに回り込むようにセミオートで補正されるため、プレイヤーキャラクターの位置の把握や敵との間合いを取ることが容易となる。

このシステムによって、3Dアクションの難点とされていたカメラワークと操作性の問題が大きく改善され、以後多くの3Dアクションゲームに類似したシステムが搭載されることとなった。


注釈

  1. ^ N64ソフト ゼルダの伝説時のオカリナのパッケージに1人用3DアクションRPGと記載
  2. ^ 必ず偶数秒であり、残りハート数1つにつき8秒。例えばハート3つなら24秒である。
  3. ^ N64のみ。3DSの場合はセーブした日時を表記する。
  4. ^ ダメージを受けないだけであり、攻撃を受ければ怯んだり突き飛ばされたりする。また、デクの盾を装備中に炎攻撃を受けると、ダメージは受けないが盾は燃えてしまう。
  5. ^ 大人時代には、ゴロンのうでわがなくてもバクダン花などを持ち上げることができる。
  6. ^ 「光のプレリュード」だけは森の神殿をクリアしないと教えてもらえない。
  7. ^ シリーズ第1作『ゼルダの伝説』で、本編クリア後に遊べる高難易度版を「裏ゼルダ」と呼んだことに倣ったものである。
  8. ^ NINTENDO 64 Nintendo Switch Onlineでは「ハートのかけら」および「ハートの器」といった本来のテカり具合が異なるアイテムを除き、オリジナル版同様である。
  9. ^ Wii UおよびNINTENDO 64 Nintendo Switch Onlineではボンゴボンゴの影のノイズだけが正しく描画されている。
  10. ^ 例:振動パック→振動機能、Z注目→L注目
  11. ^ 例:STARTボタン:赤→灰、Bボタン:緑→赤、Aボタン:青→緑

出典

  1. ^ a b ゼルダ新作は2D、3D...に続く「第三の波」をゲーム史にもたらすか? ゲームデザインの徹底分析で浮かぶ任天堂の"新境地"【寄稿:元任天堂・岡本基氏】”. ニコニコニュース. ドワンゴ (2017年4月5日). 2023年11月15日閲覧。
  2. ^ a b “March 25, 2004”. The Magic Box. オリジナルの2005年11月26日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20051126100623/http://www.the-magicbox.com/game032504.shtml 2023年11月5日閲覧。 
  3. ^ 樹の上の秘密基地 第1回の21 『宮本茂、ゼルダについてふたたび語る』」 ほぼ日刊イトイ新聞、1999年1月3日。
  4. ^ 『ゼルダの伝説 時のオカリナ百科』 アスペクト、1999年4月 ISBN 4-7572-0396-9
  5. ^ 64DDをセットした本体に、本作のカートリッジと何らかのディスクをセットして起動すると、ディスクが非対応であることを知らせる警告文が表示される。
  6. ^ 特集 E3が見たゲーム業界--巨大見本市を通して振り返る変遷(第1回)」 CNET Japan、2009年07月16日。
  7. ^ 任天堂がN64ソフト発売延期 『ゼルダ』らは秋に登場SOFTBANK GAMES、1998年4月4日。
  8. ^ NINTENDO 64の『ゼルダの伝説』またもや発売日が延期に」 SOFTBANK GAMES、1998年10月1日。
  9. ^ E3:任天堂の戦略発表会に行って来た カラーゲームボーイは今秋発売」 SOFTBANK GAMES、1998年5月28日。
  10. ^ 週刊ファミ通 2002年5月10・17日合併号(通巻700号) 特集「ソフト&ハードランキングスペシャル」 エンターブレイン、2002年4月26日発売、雑誌コード26453-5/17。
  11. ^ 64『ゼルダ』、早くも106万本を出荷 クリスマスまでに世界で500万本狙う」 SOFTBANK GAMES、1998年12月8日。
  12. ^ “Nintendo Switch Online+追加パック”が本日よりサービス開始。ニンテンドウ64やメガドラソフトが楽しめる! 11/5からは『あつ森』DLCも!!” (日本語). ファミ通.com. KADOKAWA (2021年10月26日). 2021年10月31日閲覧。
  13. ^ The Legend of Zelda: Ocarina of Time Reviews”. TopTenREVIEWS. 2010年4月25日閲覧。
  14. ^ The Legend of Zelda: Ocarina of Time reviews”. 2010年4月7日閲覧。
  15. ^ "The Legend of Zelda: Ocarina of Time Master Quest reviews”. 2010年4月7日閲覧。
  16. ^ The Legend of Zelda: Ocarina of Time reviews”. 2010年4月7日閲覧。
  17. ^ The Legend of Zelda: Ocarina of Time / Master Quest reviews”. Metacritic. 2008年3月4日閲覧。
  18. ^ Marriott, Scott Alan. “The Legend of Zelda: Ocarina of Time Review”. Allgame. 2008年6月16日閲覧。
  19. ^ Legend of Zelda: Ocarina of Time review". Edge (Bath: Future Publishing): 84–87. Christmas 1998.
  20. ^ “"Retro Review: Zelda Ocarina of Time”. Electronic Gaming Monthly (Jan 2004). 
  21. ^ The Legend of Zelda: Ocarina of Time review(1998-11-23)”. GameSpot. 2010年4月4日閲覧。
  22. ^ Schneider, Peer (1998年11月25日). “Legend of Zelda: Ocarina of Time review”. IGN. 2009年2月11日閲覧。
  23. ^ Schneider, Peer (2003年2月27日). “Legend of Zelda: Ocarina of Time / Master Quest”. IGN. 2009年2月11日閲覧。
  24. ^ “Now Playing”. Nintendo Power 114:  122. (November 1998). 
  25. ^ 週刊ファミ通クロスレビュープラチナ殿堂入りソフト一覧
  26. ^ 平成10年度(第2回)文化庁メディア芸術祭 受賞作品 文化庁メディア芸術プラザ、1999年。
  27. ^ 「第3回CESA大賞」 受賞作品一覧 一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)、1999年。
  28. ^ ミリアドール受賞者決まる」 coolstates communications、1999年2月8日。
  29. ^ 1999 2nd Annual Interactive Achievement Awards Academy of Interactive Arts & Sciences(AIAS)、1999年。
  30. ^ Archive / 1999 Spotlight Awards International Game Developers Association(IGDA)、1999年。
  31. ^ IGN Top 100 Games 2008 | 1 The Legend of Zelda: Ocarina of Time IGN、2008年。
  32. ^ ゲーム内キャラクターのセリフ(子供時代の城下町)
  33. ^ ゼルダの伝説 風のタクト:裏ゼルダ攻略!”. 任天堂. 2018年7月17日閲覧。
  34. ^ 『ファミ通ゲーム白書2013 補完データ編(分冊版)』エンターブレイン、2013年。 
  35. ^ 2023CESAゲーム白書 (2023 CESA Games White Papers). コンピュータエンターテインメント協会. (2023). ISBN 978-4-902346-47-3 
  36. ^ 社長が訊く『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』開発スタッフ 篇”. 任天堂. 2018年7月17日閲覧。
  37. ^ 『ゼルダの伝説』25周年記念フルオーケストラコンサートが10/10開催」 Gpara.com、2011年6月8日。
  38. ^ 社長が訊く『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』 サウンド篇」 任天堂、2011年5月26日。






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