ケイ素生物 概要

ケイ素生物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/06 17:13 UTC 版)

概要

地球上の生命炭素を中心として構成されている。これは炭素の持つ原子価が4つであり、多様な結合が可能であるからである。SF世界においては、炭素と同族で原子価が4つであり、『生命のようなもの』が出来有るのではないかという観点から、ケイ素が注目された。実際には地球上のケイ素のほとんどは二酸化ケイ素の形で鉱物質だが、人工的にはシリコンゴムのような有機物的な高分子も作られている。ケイ素生物に対し、地球上の生物のような炭素を中心に構成された生物を「炭素生物」と呼ぶ。

SF作家で生化学者でもあったアイザック・アシモフの短編「もの言う石」(『F&SF』1955年10月号、のち『アシモフのミステリ世界』に収録)に登場する「シリコニー」が有名。卵形で、底面からは放射状に6本の脚が出ており、緩慢に動く。「もの言う石」は日本では『S-Fマガジン』第2号(1960年3月号)に訳載され、多くのSFファンに強い影響を与えた[1]

「ケイ素を中心にできた体は岩石っぽくなるのではないか」「原子量がかなり大きくなるから反応速度も格段に遅くなり、人間が見ていても生命活動していることに気がつかないくらいになる」「だからむしろ高温の惑星上で生活するに違いない」などの想像がなされてきた。

炭素―炭素結合とは違い、常温常圧ではケイ素―ケイ素結合はパイ結合シグマ結合による二重三重結合を作る傾向がほとんどなく極めて不安定である。よって、ケイ素を中心に置いた化合物は、有機炭素化合物のアルカンに相当する有機シランがほとんどであり、少なくとも地球と類似した環境の星ではケイ素生物が存在するとは考えにくい(有機ケイ素化合物を参照)。たとえ環境が異なる場合を想定しても、ケイ素を中心に構成される化合物は、炭素のそれよりも遥かに種類が少ない。カール・セーガンは、地球外生命体が存在するとしても、それは炭素生物であると考えるのが自然であり、ケイ素生物は非現実的であると述べている。

現実の生物にも、多量のケイ素を含むものはあるが、それらは二酸化ケイ素の形で、ガラス質の骨格や殻、あるいは内部にその結晶をふくむなどで、生物学的な活性を持っているわけではない。ケイソウ放散虫海綿動物などの生物のつくる骨格、イネ科植物が細胞内に蓄積するプラント・オパールなどが知られている。

現実世界でのケイ素生命体の予想 最新の研究により、ケイ素生命体が存在する惑星の条件は、水と酸素が存在せず、常に気温が300度以上ある状態で、惑星のほとんどがケイ素で構成される環境でのみ存在すると考えられる。 その姿はSFのような動かない石などでは無く、硬い殻を持ち、長寿で、肺を持たず、主に多足の生命体であり、酸素や水に触れると一瞬で砂になると考えられる。他にも植物タイプのケイ素生命体の場合は地球のシロアリの塚と先カンブリア紀のエディアカラ生物群の一つである葉っぱのような生き物を足して2で割ったような姿であると予想されている。

文明が発展したらどうなるのか この場合は変化がほぼ無いケイ素であるが故の長寿により地球より遙か先の文明を構築し、宇宙空間でも生存可能であると考えられている。だが、ケイ素生命体が地球のような星に生命体が居るとは思わないと思われる。酸素や水が毒なので接触する事も不可能であると考えられている。


  1. ^ 筒井康隆『私説博物誌』新潮社新潮文庫〉、1980年5月25日、65頁。 






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