オール讀物 オール讀物の概要

オール讀物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/10 08:54 UTC 版)

オール讀物
(オールよみもの)
1967年6月号の新聞広告
刊行頻度 月刊
発売国 日本
言語 日本語
出版社 株式会社文藝春秋
刊行期間 1930年7月 -
ウェブサイト https://www.bunshun.co.jp/mag/ooruyomimono/
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名称

オール讀物の「讀」は「読」の旧字体で、この雑誌の公式名称である。

戦前

1930年7月、「文藝春秋」の臨時増刊『オール讀物號』として出版されたものが、1931年4月から定期の月刊雑誌となる。

エンターテインメント系の小説が中心だが、随筆・紀行文・対談・漫画なども多い。小説は、時代小説ミステリーが中心で、同じ傾向の雑誌である『小説すばる』『小説新潮』『小説現代』などに比べ、読み切りが多い。その由来として、かつて赤字が嵩み廃刊の危機にあった昭和11年、編集長の永井龍男が「全部読切」を打ち出しV時回復を成し遂げたことがある[1]

丸谷才一は『オール読物』という雑誌名は、アメリカの娯楽小説雑誌「オール・ストーリー」に由来しているのではないかという説をたてている[2]

初代編集長は永井龍男。月刊となった1931年4月号から野村胡堂の「銭形平次捕物控」が人気作品として継続的に掲載された。永井は編集長から退いた後で復帰し、掲載するすべてを読み切りとし、大衆作家の他にも純文学系の新人にも執筆を依頼し、武田麟太郎丹羽文雄高見順林芙美子井伏鱒二尾崎一雄などの作品が掲載された。戦時中は敵性語排斥運動に伴い『文藝讀物』に改題され、1944年には文藝春秋本誌に統合される。

戦後

終戦後の1945年、専務取締役の永井龍男によって『文藝春秋』の翌月の11月号から復刊。表紙は横山隆一で、執筆者は大佛次郎徳川夢声織田作之助玉川一郎、尾崎一雄、藤沢桓夫濱本浩長谷川幸延などだった。しかし用紙難のため翌年2月号で休刊し、永井も退社する。また『文藝讀物』の誌名は、日比谷出版社に引き継がれて1948年1月号から復刊し、直木賞も『文藝讀物』に移った。

1946年3月に文藝春秋社が解散して文藝春秋新社が発足し、同年10月号から『オール讀物』も復刊。「銭形平次」の他、徳川夢声、高田保、玉川一郎、渋沢秀雄鹿島孝二土岐雄三サトウ・ハチローらが小説、随筆、コラムを執筆し、軽妙、洒脱な文章によって「オール調」と呼ばれる雑誌のカラーを生み出した。1947年には源氏鶏太が投稿作「たばこ娘」でデビュー。1949年から舟橋聖一田村泰次郎の連載が始まり、橘外男久生十蘭山田風太郎などが執筆した。1952年にオール新人杯(後のオール讀物新人賞)を創設[3]。この時期には五味康祐柴田錬三郎が人気を集め、『小説新潮』と並ぶ中間小説の代表的な雑誌となる。1962年からはオール讀物推理小説新人賞を開始。1967年から1990年まで池波正太郎鬼平犯科帳」が連載された(池波の死去に伴い打ち切り)。

毎年3月号と9月号に、直木賞の批評と受賞作品(ダイジェスト版のことが多い)が掲載される。読者層は中高年が主体で、掲載内容の傾向もそれに沿っている。

本誌上で受賞作発表が行われる文学賞に、オール讀物新人賞がある[4](2021年からは「オール讀物歴史時代小説新人賞」[5])。

2010年11月18日に増刊誌オールスイリが発売され、同雑誌は若い読者の開拓を図ってiPhone/iPad向け電子書籍としても発売されている。同社における雑誌の電子配信はオールスイリからとなっている。

2019年より3月号、9月号の直木賞発表号を合併号として刊行し、月刊から年間10冊刊行に変更された[6]


  1. ^ 『米澤屋書店』文藝春秋、2021年、114頁。 
  2. ^ 丸谷『軽いつづら』(文芸春秋)P.89
  3. ^ オール讀物新人賞 -情報・知識&オピニオン imidas
  4. ^ 文藝春秋|雑誌|オール讀物新人賞 作品募集
  5. ^ オール讀物歴史時代小説新人賞 作品募集”. 文藝春秋. 2020年10月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月1日閲覧。
  6. ^ 「オール讀物」からのお知らせ”. 文藝春秋 雑誌定期購読サービス. 2019年8月28日閲覧。


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