オクチルフェノールエトキシレート オクチルフェノールエトキシレートの概要

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オクチルフェノールエトキシレート

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/28 09:43 UTC 版)

オクチルフェノールエトキシレート
識別情報
CAS登録番号 9002-93-1
特性
化学式 C14H22O(C2H4O)n
モル質量 647 g mol−1 (n = 10)
外観 無色で粘稠な液体
密度 1.07 g/cm3
融点

°C, 279 K, 43 °F

沸点

270 °C, 543 K, 518 °F

への溶解度 よく溶ける
蒸気圧 < 1 mmHg (20 °C)
屈折率 (nD) 1.490-1.494[1]
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

用途

乳化剤として、医薬品化粧品農薬塗料などに添加されている。ゴム・プラスチック工業では帯電防止などの目的で樹脂に配合する。機械・金属工業では洗剤としての利用が多い。かつては家庭用洗剤にも利用されていた。ただし、環境中で分解されて生じるオクチルフェノールに弱いながらも魚類に対する内分泌かく乱作用が示されていることから、アルコールエトキシレートへの代替が進んでいる。

生化学

生化学分野では、生体膜を可溶化しつつタンパク質を失活させにくいとされ、平均POE鎖長8から10程度の混合物が利用されている。販売されている試薬には夾雑物として過酸化物が含まれていることが知られている[2]

Triton X-100
平均鎖長9.5単位。ベンゼン環に由来する紫外吸光を持っており、275 nmと283 nmに特徴的な2つのピークがある[3]。そのため紫外吸光で生体物質(たとえばタンパク質)の検出や定量をしようとする際に干渉する。ベンゼン環を水素化することで、界面活性剤としての性質を大きく変えることなく紫外吸光を1/1000以下に減らすことができる[4]
Triton X-114
平均鎖長7.5単位。曇点が25°Cと低く、相分離によって膜表在性タンパク質と膜貫通タンパク質を分離する際に用いられる。[5]
Nonidet P-40
平均鎖長9.0単位。しばしばNP-40と省略されるがノニルフェノールエトキシレートTergitol NP-40とは性質が大きく異なる。販売中止となっており、代替品としてIgepal CA-630などが使われている。
Igepal CA-630
平均鎖長9.5単位

製法

tert-ブチルアルコールを50%硫酸で処理して得たイソブチレン、ジイソブチレン、トリイソブチレンの混合物を蒸留し、ジイソブチレンを得る。続いてフェノールと反応させて、オクチルフェノールを得る。さらにエチレンオキシドを作用させてポリオキシエチレン鎖を伸長させると、一連のオクチルフェノールエトキシレートが生じる。そのため副産物としてポリエチレングリコールが含まれている。[6]


  1. ^ Sigma-Aldrich: Triton® X-100 non-ionic detergent. Accessed 2011-12-05, archived by WebCite®
  2. ^ Ashani Y & Catravas GN (1980). “Highly reactive impurities in Triton X-100 and Brij 35: Partial characterization and removal”. Anal. Chem. 109 (1): 55-62. doi:10.1016/0003-2697(80)90009-3. 
  3. ^ Wexler AS (1963). “Determination of Phenolic Substances by Ultraviolet Difference Spectroscopy”. Anal. Chem. 35 (12): 1936-1943. doi:10.1021/ac60205a045. 
  4. ^ Tiller GE, et al. (1984). “Hydrogenation of Triton X-100 eliminates its fluorescence and ultraviolet light absorption while preserving its detergent properties”. Anal. Biochem. 141 (1): 262-266. doi:10.1016/0003-2697(84)90455-X. 
  5. ^ Sánchez-Ferrer ÁL, et al. (1994). “Phase separation of biomolecules in polyoxyethylene glycol nonionic detergents”. Crit. Rev. Biochem. Mol. Biol. 29 (4): 275-313. doi:10.3109/10409239409083483. 
  6. ^ Kamiusuki T, et al. (1999). “Separation and characterization of octylphenol ethoxylate surfactants used by reversed-phase high-performance liquid chromatography on branched fluorinated silica gel columns”. J. Chromatogr. A 852 (2): 475-485. doi:10.1016/S0021-9673(99)00628-7. 


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