dictate

実用日本語表現辞典

dictate

別表記：ディクテート

「dictate」とは、書き取らせる・口述する・命令する・規定するということを意味する英語表現である。

「dictate」とは・「dictate」の意味

「dictate」は、「（手紙などを）書き取らせる」や「（筆記者・秘書に向かって）口述する・口授する」のような使役行為を表す動詞として主に用いられる英単語である。同様の意味合いに基づき、「（条件などを）命令する・指図する」や「要求する」という意味としてもよく用いられる。「（〜を）規定する」・「（〜に）影響する」・「（〜を）決定する」ということを示す表現としても用いられる場合がある。「dictate」は同じ綴りで名詞形としても用いられる。その際は「命令・指図・指令」という意味を表す。

「dictate」に関連する語として、「指令者」や「書き取らせる人」のように、「dictate」を行う人物を指す「dictator」が挙げられる。「指令者」という意味で用いられる際は、「独裁者」や「執権」のように、強力な権力で他人を支配する人物を表すニュアンスとなる。また、「dictate」の行為自体を指す「dictation」という語がある。「dictation」は「口述」や「口授」・「書き取り」・「命令」のように名詞の「dictate」と同様の意味合いを指す場合もあるが、「口述したもの」・「書き取ったもの」のように、「dictate」されたものを示す名詞としても用いられる。

「dictate」の発音・読み方

「dictate」の発音記号は「díkteɪt」ないしは「dɪktéɪt 」と表記される。アクセントは「di」もしくは「ta」の部分に置かれる。カタカナで表記すると「ディクテート」となるが、実際に発音する場合は「ディクテエィト」のように、「-tate（teɪt）」の部分は、唇を横に引く「テ」の形から緩く「イ」の形に移行するような発音となる。なお、名詞の「dictate」の発音記号は「díkteɪt」のみである。動詞と比べるとアクセントの傾向に違いがある。

「dictate」の語源・由来

「dictate」はラテン語の「dictatus」に由来する。「dictatus」には「（指示・指令するために）口述筆記されたもの」という意味合いを持つ。たとえば、11世紀にローマ教皇グレゴリウス7世が教会改革の一環として発令した27か条の命題を「Dictatus papae（ディクタトゥス・パパエ）」という。日本語では『教皇教書』、あるいは『教皇令27カ条』と訳される。

「dictate」のコアイメージ

「dictate」には、「書き取らせる」や「命令する」のように、「他人に対して指図する」というコアイメージがある。語源であるラテン語の「dictatus」も、権力を持つ人物が人々に対して「指示する」・「指令する」という意味合いを持っており、「dictate」も同じ意味合いで用いられている。「dedicate」は名詞として「命令・指図・指令」という意味を表すが、「dedicator」に「独裁者」や「執権」という意味合いがあるように、「（強権的な・頭ごなしの）命令・指図・指令」という意味合いで用いられる。

「dictate」の覚え方

「dictate」は日常における使用例がイメージの把握に繋がる。例えば、英語学習法のひとつに、リスニングで音声を聞きながら発話された内容を書き取る「ディクテーション」という方法がある。これは「〜を書き取らせる」という意味を持つ「dictate」に由来する方法である。また、「dictator」は「独裁者」という意味で、ニュース記事や映画タイトルなどで用いられることがあるため、そこから「命令する」というイメージを把握することも語の理解につながる。

「dictate」の類語

「指図する」や「指示する」という意味を表す「order」や「instruct」・「command」・「direct」が類語として挙げられる。

「dictate」の使い方・例文

「書き取らせる」や「口述する」という意味で用いる場合は、「The president often dictates letters to his secretary（その社長はよく秘書に手紙を口述する）」という表現になる。「命令する」や「指図する」という意味で用いる場合は、「as dictated by the president（社長に命令されたように）」「dictate how the money should be spent（金の使い方を指図する）」という表現になる。また、「The Japanese constitution dictates that the people renounce war（日本の憲法は国民は戦争を放棄すると規定している）」という形で、「規定する」や「決定する」という意味合いでも用いられる。

（2023年3月1日更新）