ST-21用新型車体傾斜装置
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/11 22:30 UTC 版)
「WEST-21」の記事における「ST-21用新型車体傾斜装置」の解説
鉄道総研では曲線高速化の第一ステップとして、四国旅客鉄道(JR四国)2000系気動車にて日本国有鉄道(国鉄)時代から開発中であった制御付き自然振子車両を実用化させ、さらに北海道旅客鉄道(JR北海道)キハ281系気動車にてベアリングガイド式振り子装置や、JR四国8000系電車にてワイヤ式パンタグラフ支持装置も実用化させた。第二ステップではJR北海道キハ283系気動車にてボギー角と連動するリンク機構により輪軸を操舵する操舵台車や、振り子装置についてもレール面から2,275 mm - 2,300 mm程度であった車体傾斜中心を1,900 mmに下げ車体傾斜時の重心移動量を減らして走行安定性の向上を図った上、最大車体傾斜角度も従来の5度から6度に向上させた高性能な制御付き自然振子車両を実用化させた。第三ステップでは、自然振り子、制御付き自然振子において欠点とされていた、車体傾斜時における重心の曲線外側への移動による走行安定性の悪化を解消すべく、車体傾斜中心を重心より下げ1,000 mm程度とする強制車体傾斜車両となった。具体的な構造としてはベアリングガイド式の振り子装置を台車上に建てたやぐら上に従来と上下逆向きに配置し、空気ばねもその上に配置して天井付近で車体をぶら下げる構成としており、車体傾斜制御が故障した際はタルゴ客車と同様の空気ばね変位による自然振子作用も得られるよう工夫している。このほか曲線における走行性能向上や低重心化のため連接構造や2軸短軸距とするほか、ボギー角とリンク機構で連動する輪軸操舵機能も備えることとした。 JR西日本と共同開発され、鉄道総研におけるST-21用試作台車の定置試験では良好な結果を得たが、前述の通りWEST-21の実車が製造されることはなかった。2000年以降になると、鉄道総研においては新たにハイスピードカービングビークルの開発が始まったが、ST-21についてはほぼ進展がなく、ハイスピードカービングビークルについても従来の制御付き自然振子式の乗り心地改良等が主な開発内容となっている。
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