阿寒國立公園とは? わかりやすく解説

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あかん‐こくりつこうえん〔‐コクリツコウヱン〕【阿寒国立公園】

読み方:あかんこくりつこうえん

北海道東部にある国立公園旧称阿寒屈斜路(くっしゃろ)・摩周(ましゅう)の三つカルデラ湖や小湖沼群、雌阿寒岳雄阿寒岳等の火山群がある。平成29年2017)に神の子池を含む周辺一部加わり阿寒摩周国立公園となる。

阿寒国立公園の画像
摩周湖撮影・Travel-Picture https://goo.gl/iGlyiy

阿寒国立公園

写真:空から見たペンケトーとパンケトー
[空から見たペンケトーパンケトー

地図

阿寒は、と湖と火山公園である。3つのカルデラ湖は、あるものは火口の底に静まりかえり、あるものはマリモ育みまた、あるものはかつて湖底噴火により失った生命を、今取り戻そうとしている。硫気を激しく噴き出す火山は、地球息吹を見る人に伝える。そして、北方針葉樹林が、それらすべてを深い静寂中に包み込んでいる。

マリモを育む阿寒湖

写真:屈斜路湖の御神渡り
屈斜路湖御神渡り

阿寒屈斜路(くっしゃろ)、摩周3つのカルデラ地形基盤とする公園である。昭和9年指定され52年一部区域追加した

阿寒カルデラは、雄阿寒(おあかん)岳(1,371m)、雌阿寒(めあかん)岳(1,499m)などの山岳と、阿寒湖ペンケトーパンケトーなどの湖沼、及びそれらを囲む深い森からなる

阿寒湖(13km2)は何よりもマリモで有名である。湖中のチウルイ島にはマリモ展示館があり、展示されているマリモ観察することができる。湖岸には小島配し東岸に立つ雄阿寒岳を望む眺望すぐれている雌阿寒岳は、今も噴気上げ火山であり、山頂部荒涼とした荒原である。西麓には針葉樹林中にオンネトーがある。

阿寒湖弟子屈てしかが)を結ぶ阿寒横断道路双湖付近から望む風景は、日本森林景観の中で上位に入るものの一つであろうエゾマツトドマツダケカンバ交えた森林一帯覆い、その中にペンケトー・パンケトーの水面が光る。全体が深い沈黙中に静まりかえっている。少し東寄りの双岳台からは、雄阿寒岳雌阿寒岳同時に望める。

世界的規模の屈斜路カルデラ

写真:硫黄山
硫黄山

屈斜路カルデラ直径が20km以上あり、世界有数の規模である。その中心となるのが屈斜路湖である。面積80km2湖岸延長57kmの、日本第6位の広さを持つ湖であり、湖の東南部から釧路川流出している。

阿寒湖異なり、湖周囲森林には広葉樹も多い。冬季、材の中の水分凍結膨張し立木が音を立てて裂けるほどの厳寒の地であるが、湖岸和琴(わこと)、砂湯池の湯などの温泉湧出するため、小規模な不凍水面残りオオハクチョウ越冬する

昭和6年湖底噴火により、生息する魚類がほぼ全滅したが、最近は再び魚影見られるようになってきている。周辺には北側藻琴(もこと)山、西に大展望得られる美幌(びほろ)峠、南岸には湖中に突き出した和琴半島がある。

カルデラ形成後に噴出した硫黄山アトサヌプリ512m)は、今なお硫気を盛んに噴出している。その影響を受ける山麓平坦地には、広大なイソツツジ群落広がり標高わずか150m低地ながらハイマツ生育している。利用シーズンには、川湯温泉街から歩く自然観察会が早朝行われている。

神秘的な摩周湖

摩周湖面積20km2最大深度212m、流入する川も流れ出す川もない湖であり、昭和6年透明度41.6mを記録している。その後十勝沖地震影響など透明度低下し近年は25m前後である。

摩周カルデラは、屈斜路カルデラ南東壁上形成されたもので、この公園カルデラの中では最も小さい。しかし、外壁上に設けられ展望台から見下ろす湖の神秘性は、ほかでは見られないのである立ち込めるによって湖面隠される日の少なくないことも、神秘性高めている。また、湖面だけでなく、背後広がる風景も、いかにも東北海道らしい雄大なものだ。

公園内には阿寒湖畔、雌阿寒温泉、川湯など各地温泉湧出している。また、阿寒湖畔では泥火山ボッケ)も見られる豊かな森林覆われているこの地方には、鳥類多くシマフクロウクマゲラ生息している。

写真:摩周湖
摩周湖

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阿寒摩周国立公園

(阿寒國立公園 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/25 07:10 UTC 版)

阿寒摩周国立公園(あかんましゅうこくりつこうえん、英称:Akan-Mashu National Park [3])は、北海道にある国立公園。2017年の「阿寒国立公園」からの名称変更に伴い、摩周湖・神の子池周辺まで区域が拡がり、1市10町に跨る総面積9万1000ヘクタールとなった[4][※ 1]。国立公園内のほぼ9割以上が未開発地域として手つかずの自然保護地域として保全された。


注釈

  1. ^ 名称変更と、区域拡大を環境省中央環境審議会が2017年6月13日に答申しており[5]、2017年8月8日に官報告示された[6]

出典

  1. ^ a b 阿寒国立公園の公園区域及び公園計画変更案の概要” (PDF). 環境省. 2017年9月11日閲覧。
  2. ^ 国立公園の利用者数(公園、年次別)” (PDF). 環境省. 2016年8月24日閲覧。
  3. ^ 阿寒摩周国立公園(英語版)”. 環境省. 2017年11月13日閲覧。
  4. ^ 『クォリティ(2017年9月号)』第52巻第9号、太陽、2017年9月1日、148 - 151頁。 
  5. ^ 「阿寒国立公園」の名称変更等について”. 環境省・釧路環境事務所プレスリリース. 2017年6月16日閲覧。
  6. ^ a b 平成29年環境省告示第61号「阿寒国立公園の公園区域を変更する件」、『平成29年8月8日 官報 第7077号』、p.5
  7. ^ 1934年(昭和9年)12月4日内務省告示第568号「大雪山國立公園指定」
  8. ^ 1934年(昭和9年)12月4日内務省告示第569号「日光國立公園指定」
  9. ^ 1934年(昭和9年)12月4日内務省告示第570号「中部山岳國立公園指定」
  10. ^ 1934年(昭和9年)12月4日内務省告示第571号「阿蘇國立公園指定」
  11. ^ 1934年(昭和9年)12月4日内務省告示第567号「阿寒國立公園指定」
  12. ^ 屈斜路湖の魅力3 日本最大のカルデラ湖、屈斜路湖”. 北のカムイ観光圏 〜釧路湿原・阿寒・摩周〜. 2016年8月28日閲覧。
  13. ^ 阿寒湖のマリモ - 文化遺産オンライン文化庁
  14. ^ 阿寒湖マリモ”. 北海道ファンマガジン. 2016年8月18日閲覧。
  15. ^ a b 阿寒地域管理計画書 2006, p. 2.
  16. ^ a b 阿寒湖” (PDF). 環境省. 2016年8月18日閲覧。
  17. ^ “阿寒国立公園の名称変更要望提出/地元11市町”. 釧路新聞 (釧路新聞社). (2016年5月5日). http://www.news-kushiro.jp/news/20160505/201605054.html 2016年8月18日閲覧。 
  18. ^ 先行的・集中的に取り組む8つの国立公園が決定しました - 第3回国立公園満喫プロジェクト有識者会議の結果発表 -』(プレスリリース)環境省、2016年7月25日https://www.env.go.jp/press/102826.html2016年8月19日閲覧 
  19. ^ a b c 阿寒地域管理計画書 2006, p. 26.
  20. ^ 阿寒湖アイヌコタン”. 阿寒アイヌ工芸協同組合. 2016年8月19日閲覧。
  21. ^ a b c d e f g 川湯地域管理計画書 2006, p. 2.
  22. ^ a b c 梅川智也 (2012年10月12日). “「前田正名」という人〜阿寒湖の人と自然を守ってきた前田一歩園の初代園主とは?”. 日本交通公社. 2016年8月18日閲覧。
  23. ^ 前田一歩園財団”. 2016年8月18日閲覧。
  24. ^ 1950年(昭和25年)7月14日郵政省告示第210号「阿寒国立公園の風景を画題とする二円郵便切手等発売」
  25. ^ a b 阿寒湖・阿寒湖温泉・アイヌコタン”. 北海道ファンマガジン (2009年5月14日). 2016年8月18日閲覧。
  26. ^ 歴史とあゆみ” (PDF). 釧路市 市勢要覧2016. 釧路市. 2016年8月19日閲覧。
  27. ^ 和琴フィールドハウス・キャンプ場 いよいよオープン!”. スタッフブログ. 自然公園財団 (2014年7月16日). 2016年8月19日閲覧。
  28. ^ 阿寒摩周国立公園(阿寒湖温泉)のゼロカーボンパークの登録について”. 環境省釧路自然環境事務所. 2022年3月30日閲覧。
  29. ^ 国立公園集団施設地区” (PDF). 環境省 (2015年). 2016年8月18日閲覧。
  30. ^ a b c 国立公園集団施設地区等利用者数” (PDF). 環境省. 2016年8月18日閲覧。
  31. ^ a b 国立公園内ビジターセンター等利用者数” (PDF). 環境省 (2013年). 2016年8月18日閲覧。
  32. ^ 阿寒湖のマリモを見に来るなら”. マリモWeb. 2016年8月18日閲覧。
  33. ^ 釧路市阿寒湖のマリモ展示観察センター条例”. 釧路市例規類集. 釧路市. 2016年8月18日閲覧。


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