量子力学と相対性理論における応用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/12 07:36 UTC 版)
「スカラー場」の記事における「量子力学と相対性理論における応用」の解説
場の量子論におけるスカラー場は中間子やヒッグス粒子といったスピンを持たない粒子を表している。スカラー場は、それが時空上の実関数として、あるいは複素関数として表されるかどうかにより実スカラー場または複素スカラー場と呼ばれる。複素スカラー場は電荷を持った粒子を表しており、これには標準模型のヒッグス場や強い相互作用に介在するパイ中間子などがこれに含まれる。 素粒子に関する標準模型の理論において、スカラー場は湯川相互作用と自発的対称性の破れの組み合わせによりレプトンに質量を付加するメカニズム(ヒッグス機構)として働く。これは、未だ発見されていないスピン0のヒッグス粒子と呼ばれる粒子の存在を仮定したうえで導かれるものである。 スカラー場を用いて重力場を表す一連の理論は重力のスカラー理論と呼ばれる。一方、テンソル場とスカラー場の両方を用いて重力相互作用を記述する理論がスカラー・テンソル理論である。これにはカルツァ=クライン理論を一般化したジョルダン理論や、ブランス=ディッケ理論などが含まれる。スカラー・テンソル理論におけるスカラー場はたとえば標準模型のヒッグス場として現れるが、これは質量を獲得する粒子との間で重力的かつ短距離的(湯川ポテンシャル的)に相互作用する。 超弦理論におけるスカラー場に、テンソルの量子アノマリーを保持しつつひもの共形対称性をやぶる機構であるディラトン場があげられる。 また、スカラー場は地平線問題を解決し宇宙定数の非自明性の仮説的な説明を与えており、宇宙のインフレーションに寄与していると考えられている。この文脈での質量を持たない(遠隔相互作用を表す)スカラー場はインフラトンと呼ばれている。いっぽう、近接相互作用をあらわす質量を持ったスカラー場(例えばヒッグス場の類似)も提唱されている。
※この「量子力学と相対性理論における応用」の解説は、「スカラー場」の解説の一部です。
「量子力学と相対性理論における応用」を含む「スカラー場」の記事については、「スカラー場」の概要を参照ください。
- 量子力学と相対性理論における応用のページへのリンク