赤軍派とハイジャックの目的
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「よど号ハイジャック事件」の記事における「赤軍派とハイジャックの目的」の解説
1969年(昭和44年)8月に結成された共産主義者同盟赤軍派は、前段階蜂起—世界革命戦争という前段階武装蜂起論を掲げる「戦争宣言」を発し、「大阪戦争」や「東京戦争」と称して交番や警察署への襲撃を繰り返した。 同年の11月5日には、当時の総理大臣官邸襲撃のための軍事訓練を目的に、山梨県塩山市(現・甲州市)の大菩薩峠に結集していたところを摘発され、政治局員数人を含む53人が逮捕された(大菩薩峠事件)。翌年の1970年(昭和45年)3月15日には赤軍派議長の塩見孝也も逮捕される。幹部が逮捕されて組織が弱体化した赤軍派は、1969年(昭和44年)12月から1970年(昭和45年)1月にかけ、「労働者国家に武装根拠地を建設して世界革命根拠地国家に転換させ、後進国における革命戦争と日米の革命戦争を結合して単一の世界革命戦争に推し進める」とする「国際根拠地論」を打ち出す。 これに基づいてアジアにおいては、日本の前段階蜂起 → 北朝鮮の左旋回化革命と革命根拠地化(金体制の変革) → 朝鮮半島の武力統一 → 日本全面武装蜂起と結合 → 毛沢東・林彪派の革命的変革—解体(毛体制の変革) → 中華人民共和国の世界革命根拠地化 → 北ベトナムと結合 → 南ベトナム解放民族戦線のサイゴン攻略 → 東南アジアへの革命戦争拡大という構想を提起した。 北朝鮮が選ばれたのは、北朝鮮の体制を支持していたからではなく、もっとも身近にある「日本帝国主義と敵対関係にある国」だったからにすぎず、赤軍派の意図によると、北朝鮮を赤軍派の軍事基地として変革(北朝鮮革命)するつもりだった。北朝鮮の左旋回と革命根拠地化、つまりは「北朝鮮の“赤軍化=オルグ”」を目的に、北朝鮮派遣部隊(田宮グループ)が北朝鮮に渡ることになった。しかし、すでに逮捕状が出されており合法的な出国は不可能であったため、渡航手段として民間旅客機の乗っ取りが決まった。また、北朝鮮の関係組織である朝鮮総連と連絡を取っていたわけでもなかった。 なお犯人グループは出発時に「われわれは明日、羽田を発(た)たんとしている。われわれは如何なる闘争の前にも、これほどまでに自信と勇気と確信が内から湧き上がってきた事を知らない。……最後に確認しよう。われわれは明日のジョーである」〔ママ〕という声明文を残している。 「明日のジョー」(正しいタイトルは『あしたのジョー』)は、高森朝雄(梶原一騎)原作、ちばてつや画の漫画作品で、1968年(昭和43年)から1973年(昭和48年)まで講談社『週刊少年マガジン』に連載された。犯人グループは自分たちを主人公・矢吹丈になぞらえ、「燃え尽きるまで闘う」ということを主張したといわれる。なお、田宮は乗客との別れの際に別れを主題にした詩吟を謡い、乗客の一人が返歌として『北帰行』を歌った といわれている。
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