胸骨圧迫
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/05 01:26 UTC 版)
胸骨圧迫(きょうこつあっぱく)とは、一般に心臓マッサージと云われるものである。 心肺蘇生法の中心を成す対処法で、心停止した人の胸の心臓のあたりを両手で圧迫して血液の循環を促す。胸骨の下半分、胸の真ん中に手の付け根を置き両手を重ねて、圧迫する。肘を真っ直ぐ伸ばし、100〜120回/分の速さで継続出来る範囲で強く、圧迫を繰り返す。ガイドラインでは「胸が約5cm沈むように圧迫するが、6cmを超えないようにする」とあるが、その場で測れる訳ではないので、継続出来る範囲で「強く」で良い。押したらしっかりと胸を元に戻す。訓練を受けていない救助者は自動体外式除細動器(AED)、または救急隊到着までハンズオンリーCPR、つまり胸骨圧迫だけを続ける。 極力ほかの人を巻き込む。秒単位で12345と数えてもらうだけでもよい。5秒の間に8回以上なら100回/分以上を満たしている(後述)。数えることに応じてもらえれば、胸骨圧迫を代わってもらえる可能性が高い。疲れてきたらまわりの人に1分間だけでも代わってもらう。「強く早く」を維持するためにも交代は必要である。胸骨圧迫を中断する時間を最小限にする。心肺蘇生の国際ガイドライン(2010年改訂)では、心肺蘇生法の中で胸骨圧迫の迅速な開始と、中断の最小化がもっとも重要視されるようになった。 なお「心臓マッサージ」は外科医が胸を切開し手で直接心臓を揉むという方法であって、胸骨圧迫は心臓マッサージではないという意見もあるが誤解である。胸を切開して行う心肺蘇生法は開胸心(臓)マッサージ、開胸CPRといい、二次救命処置(Advanced Life Support; ALS)に含まれるが、それに対して開胸せずに行う心臓マッサージを閉胸心マッサージということがある。その閉胸心マッサージの中で、医師や看護師、救急隊員以外の一般市民が救急車が来るまでの間に行う一次救命処置(Basic Life Support; BLS)として推奨されている心臓マッサージが、この胸骨圧迫である。
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胸骨圧迫(心臓マッサージ【CPR】)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 06:08 UTC 版)
「一次救命処置」の記事における「胸骨圧迫(心臓マッサージ【CPR】)」の解説
胸の真ん中に手の付け根を置き、肘を真っ直ぐ伸ばし上半身の動きで、5〜6cm程度沈むように、100〜120回/分の速さで圧迫を繰り返す。 旧ガイドライン(2005)では4~5cm程度、100回/分であったが、最新版のガイドライン2015から上記のように改訂されている。衣服の上からでもよい。小児、乳児の場合の圧迫は胸の厚みの1/3とする。 毎回の圧迫解除時には胸が元の位置に戻るよう、完全に力(体重)を抜く。 救助者が複数いる場合には「胸の真ん中か、5〜6cm沈んでいるか、回数は100〜120回/分を満たしているか」を見ていてもらうとよい。例えば時計を見ながら秒単位で12345と数えてもらう。5秒の内に8回以上圧迫ができていれば約100回/分以上、秒単位に2回であれば120回/分である。そうした形ででも参加してもらえれば孤立感はなくなり、疲れた段階で交代してもらえる可能性も増える。 訓練をうけていない救助者は気道確保・人工呼吸を行わずAED到着まで胸骨圧迫を続ける。 十分な訓練をうけている救助者は胸骨圧迫30回のあと人工呼吸を2回行う。 旧ガイドラインでは圧迫の位置は乳頭と乳頭を結んだ線上とも書かれているが、誤差が大きく信頼性に欠ける。正確には胸骨の下半分であるが「胸の真ん中」との指示は衣服の上からでも直感的にすぐ判断がつき、誤差も少ない。 骨折よりも蘇生が優先されるため肋骨が折れても構わない。調査によれば市民救助者のCPRで肋骨が折れることは意外に少なく2%程度であり、それによる内臓の損傷は調査の範囲ではゼロである。 周囲に人がいる場合には1〜2分で交代してもらう。または交代を申し出る。胸骨圧迫だけ2分~3分でも相当に疲れる。1分間だけの交代でも相当に助かる。一人で続けていると極度に疲労し圧迫が弱くなってくる。質の高い胸骨圧迫の継続には共助が必要不可欠である。冒頭の「極力周囲の者を巻き込んで複数で対処」はここで大きな力になる。なお交代は迅速に行い、胸骨圧迫の中断を最小にする。 2005年から2006年の複数の研究によって、AED実施直前の胸骨圧迫の中断が10秒以上、胸骨圧迫の速さが80回/分未満、胸骨圧迫による胸部の沈みが成人の場合4cm以下となると、除細動成功率が低くなることが明らかにされている。2005ガイドライン以前の推奨値ではギリギリであり、より安全幅を大きくとったのが、2015ガイドラインの推奨値である。とはいえ、80回/分、4cmを下回ったとしても、やらないよりもずっと良いのである。
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胸骨圧迫
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 06:08 UTC 版)
呼吸がない場合、熟練救助者が脈拍の確認ができた場合を除き、胸骨圧迫を行う。小児でも体格が成人とさほど変わらなければ成人同様に「少なくとも5cm」の圧迫でよいが、小児・乳児で体格が明らかに成人より小さい場合もあるので、圧迫は胸の厚さの約1/3とする。1分間当たりのテンポは成人のBLSと同じく1分間当たり少なくとも100 回である。小児に対して胸骨圧迫を行う場合には、片手か両手の手技のどちらを使用してもよい。
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