社会学と合理的選択理論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/28 21:07 UTC 版)
「合理的選択理論」の記事における「社会学と合理的選択理論」の解説
行為がしばしば合理的に選択される(少なくとも合理的であるかのように見える)ことは、社会学の成立したころからよく知られていた。ヴィルフレド・パレートは、論理的行為と非論理的行為に行為一般を分類したし、マックス・ヴェーバーは、目的合理的行為、価値合理的行為、伝統的行為、感情的行為の四類型を考案した。 また、1960年代、G.C.ホーマンズが交換という概念を経済的交換から社会的交換へと拡張する理論をつくりだした。G.C.ホーマンズによれば、相互行為とは互いに相手が欲しいと思っているものを与えあう行為としてみることができる。社会的交換に対して、「剥奪−飽和命題」および「合理的命題」をたて、経済的交換における類似の命題体系が社会的交換においても定型化できるとした。さらに、ジェームズ・コールマンはミクロ経済学が経済的交換の分析から一般均衡理論をつくったように、社会的交換の分析から社会システムの理論をつくることを試みた。ジェームズ・コールマンはゴブ・ダグラス型の効用関数やエッジワース型のボックス・ダイヤグラムを適用することによって示そうとしたのは、二人の行為者の間の相互行為としての交換というミクロの事象を、G.C.ホーマンズのようにミクロの事象としてのレベルだけにとどめないで、多数のそのような交換の相互依存からなるシステム全体の中に位置づけるというマクロ視点をとることの有用さを示すことを目的としていた。 しかし、社会学の力点は、一見合理的に見える行為の非合理的な側面におかれることが多い。例えば、個人の予言が集積すると、実現してしまうことがある(予言の自己成就)。例えば、仮に冗談で、ある銀行がつぶれるらしいと言い、その情報を多くが信じて一斉に預金を引き落とすと、取り付け騒ぎとなり銀行が倒産することがある。また、個人の合理的な判断が集積した結果として、社会的によくない結果が起こることを社会的ジレンマ現象という。例えば、多くの個人が便利さを追求して自家用車を使えば、大気汚染や渋滞が起き公共交通システムは衰退する。現実にこのような社会現象はよく起きている。
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