眼の進化の各段階
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/29 17:37 UTC 版)
もっとも原始的な眼の先駆体は光に反応する光受容タンパク質だった。これは単細胞でさえ見つかっており、眼点と呼ばれている。眼点は周囲の明るさを感じることしかできない。見るためには不十分であり、形を見分けたり、光が差している方向を特定することができない。それでも光と闇を見分けることができ、光周性の調整や概日リズムの同期のためには十分である。眼点はほぼすべての主要な動物分類群でみつかっており、ミドリムシのような単細胞生物ではありふれている。 ミドリムシの眼点は鞭毛の付け根付近に位置している、光感受性のある結晶構造を被う赤い”しみ”である。眼点は長鞭毛ともに動作することで、光に応じて移動し、概日リズムの主機能である昼と夜を予測するのに役立っている。通常、光の方向へ移動し、ミドリムシは光合成を行う。 視物質はより複雑な生物の頭部に存在し、月の周期に合わせて配偶子の放出を同期させる役割を持っていると考えられる。夜間の光のわずかな変化を感知することで、生物は配偶子の放出を同期させ、受精の可能性を最大化することができる。 視覚そのものはすべての眼に共通する生化学的性質に依存している。しかしその生化学ツールキットがどのように個々の生物の環境を見分けているかはさまざまである。眼の形や構造は様々であるが、そのいずれも眼の基礎となるタンパク質や分子と比べれば進化したのは非常に遅かった。 細胞レベルでは目には二種類の主要な”デザイン”があるように見える。一つは旧口動物(軟体動物、環形動物、節足動物)のもので、もう一つは新口動物(脊索動物と棘皮動物)のものである。 眼の機能ユニットはタンパク質オプシンを含み、光を神経インパルスに変換する受容細胞である。光感受性のオプシンは毛のような層の上に作られ、表面積を最大化する。光受容体の基礎となるこのような「毛」には性質の二つの異なるタイプがある。繊毛と微絨毛である。旧口動物では細胞膜の毛あるいは突起として微絨毛が存在する。新口動物では繊毛に由来し、それぞれ異なる構造を持っている。これらの細胞は光に反応して、神経信号を生み出すために一部はナトリウムを使い、一部はカリウムを利用する。 これは二つの系統が先カンブリア紀に分岐したとき、非常に原始的な光受容体だけを持っていたこと、そしてそれぞれの系統で独立してより複雑な眼に発達したことを示唆している。
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