生活能力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 05:51 UTC 版)
雑草のすむ過酷な生活環境を乗り切るには、特殊な能力が必要である。それぞれの種は、それなりの方法で乗り切る仕組みをもっている。 代表的なのは、次のような能力である。 踏みつけに対する耐性 オオバコ、ギョウギシバなど、踏みつけに対して特に耐久力をもつものは、運動場や道路脇など、特に踏まれることの多い場所を専有する場合がある。 強い繁殖力 スギナ、ドクダミ、チガヤ、セイタカアワダチソウ、カヤツリグサなどは地下茎をもち、地下を広がりながら無性生殖で個体数を増やすだけでなく、種子でも繁殖する。それ以外にも多くの雑草は、小さな種子や栄養繁殖子を多数つける。 一世代の時間や成長に融通が利く 条件が悪ければ、小さな個体のまま、花をつけ、種子を作るものがある。ホウキギクやヒメムカシヨモギは、普通に育てば1mを越えるが、10cmにも満たない株が花をつけることがある。これは、カラスムギやイヌムギでもみられる。 休眠に適する構造 種子や根茎など、休眠に適する構造を持ち、条件が悪い時期をこれで乗り越える。そうして、好適な条件になると発芽するのだが、この時に、全部が発芽せず、休眠を続けるものが一定数残ることがいくつかの植物で知られている。これは、条件が良くて発芽しても、すぐに駆除される危険があるため、それでも休眠しているものを残すことで、全滅の危険を避ける適応であると考えられている。 作物への擬態 田畑など耕地に発生するものでは、作物に擬態するものがある。タイヌビエは、水田でイネの間に生え、イネによく似た株の形を示し、イネと同じくらいの背の高さで、同じ頃に結実し、小さな種子を稲刈りの前に散布して、駆除の目を潜りぬけ、水田の管理に沿って世代を繰り返す。苗のころには、タイヌビエはイネと見分けるのが難しいが、イネにはある葉の付け根の薄い膜がないので、熟練した農民は識別する。イヌビエの仲間ではヒメタイヌビエがイネに擬態するが、タイヌビエほど顕著ではない。また、ライムギやエンバクのように、擬態を推し進めているうちに、本物の穀物になったものもいる。こういった栽培化された雑草は、劣悪な環境の田畑で生息しているうちに、環境に適応できなくなって絶えた本来の作物に取って代わり、有用性に気付いた人間によって利用されるようになったと考えられている。 刈り取りなど 刈り取りを行われ、その土地の植物が無くなった時に、強い日照を得たときに芽吹いて来るパイオニアプランツと云われるタケニグサ等。
※この「生活能力」の解説は、「雑草」の解説の一部です。
「生活能力」を含む「雑草」の記事については、「雑草」の概要を参照ください。
「生活能力」の例文・使い方・用例・文例
- 生活能力のページへのリンク