溶射
溶射とは、溶融状態にした金属材料を、工作物表面に高速度で吹き付けて薄い皮膜をつくる、金属表面処理法の一種でありメタリコンとも呼ばれる。
溶射では、液状もしくは粒子状の材料が皮膜生成を行うので、蒸着やスパッタリングといったプロセスに比べ被膜生成速度が格段に早く、一方で工作物表面は溶融しないので、溶射された材料は工作物に機械的に付着するため、溶射材料、工作物ともに素材の制限がほとんど無いことが特徴である。このため、適切な加工条件を整えさえすれば、金属以外の、紙やプラスチックといった材料に金属やセラミックの被膜を付けることも可能となる。
溶射方法としては、熱源にガスを用いるものと電気を用いるものとがある。ガス式のものはフレーム溶射(flame spraying)または炎めっきと呼ばれ、燃料を燃焼させ、それを熱源として溶射を行う。また、酸素とアセチレンの混合ガスの爆発力を利用する爆発溶射と呼ばれる方法もある。電気式のものは、溶射材料の電極間にアークを発生させ、その熱で溶融させた後、高速ガスで微粒子化して吹き付ける方法(アーク溶射)などがある。
高融点材料 の溶射には、超高温のプラズマを熱源とするプラズマ溶射も行われる。アルゴンなどを作動ガスとして、これを放電によりプラズマ化させてノズルから噴射し、このプラズマジェットに溶射材料を投入して溶融させ工作物に吹き付ける方法である。
溶射は各種電子・機械部品のほか、エンジン内壁など耐久性・耐熱性のコーティングとして、また溶射方法によっては現場での施工も可能なため橋梁など建築物への耐食性加工として行われることもある。
適している分野・使用事例
耐食性を目的とした建築物へのコーティング、耐摩耗性を目的とした圧延ロール・機械部品へのコーティング、耐熱性を目的としたエンジン部品などへのコーティング等。
溶射
溶射
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/25 07:23 UTC 版)
溶射(ようしゃ、Thermal spraying)とは、加熱することで溶融またはそれに近い状態にした粒子を、物体表面に吹き付けて皮膜を形成する表面処理法の一種である。吹き付けられる物質は「溶射材」と、被施工物は「基材」と呼ばれる[1]。
- ^ 日本溶射協会編、『溶射技術入門』、2006年8月1日初版1刷発行、ISBN 4-9903127-0-8
- ^ 仁平宣弘著、『表面処理の本』、日刊工業新聞社、2009年8月30日初版1刷発行、ISBN 9784526063138
- ^ “技術・ソリューション | 株式会社 富士技建”. www.fuji-giken.co.jp. 2021年12月25日閲覧。
- ^ 高速フレーム溶射は本来フレーム溶射の一種であるが、特徴がかなり異なることから、別扱いになっている。
- ^ “溶融アルミニウムめっきの東海アルマ工業 技術紹介”. www.t-aluma.com. 2021年12月25日閲覧。
- ^ “技術・ソリューション | 株式会社 富士技建”. www.fuji-giken.co.jp. 2021年12月25日閲覧。
- ^ 溶射. 48.2.(2011). 72
- ^ 加瀬勉 『腐蝕と防蝕法』p.269-p.277 大倉書店、1929年。
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