正準量子化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/04/16 07:42 UTC 版)
正準量子化(せいじゅんりょうしか、英: canonical quantization)とは、古典力学的な理論から量子力学的な理論を推測する手法(量子化)の一種である。具体的には、ハミルトン力学(ハミルトン形式の古典力学)での正準変数を、正準交換関係をみたすようなエルミート演算子に置き換える。この方法では、ハミルトン力学におけるポアソン括弧が、量子力学での交換関係に対応している。正準量子化により、古典力学では可換であった力学量(c-数、cはclassicalを表す)のなす代数は、量子力学では非可換な力学量(q-数、qはquantumを表す)のなす代数に移行する。
正準量子化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/09 09:24 UTC 版)
詳細は「正準量子化」および「第二量子化」を参照 場の理論の正準量子化は古典力学から量子力学を構築するのと類似した方法である。古典的な場は正準座標と呼ばれる力学変数として扱われ、その時間微分は正準運動量である。これらの間の交換関係は、量子力学における粒子の位置と運動量の間の交換関係と全く同じものである。技術的には、生成消滅演算子 (en) の組み合わせを通して場を演算子へ変換することができる。場の演算子 (en) はその理論の量子状態に作用する。最も低いエネルギー状態は真空状態と呼ばれる。場を演算子へと変換するこの手続きを第二量子化という。 この手続きは、どんな内部対称性を持った場であろうと、フェルミ粒子またはボース粒子の場であろうと、あらゆる場の理論の量子化へと適用することができる。しかしながら、正準量子化が真空状態の記述は非常に単純であり、多くの異なる真空期待値によって特徴付けられる複雑な真空 (en) を持つことで知られる量子色力学のようないくつかの場の量子論においては容易に利用できない。
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正準量子化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 05:29 UTC 版)
古典場から量子場へ理論を移行する方法の1つが正準量子化である。場の古典論における力学変数は、場の量子論において、正準交換関係に従う場の演算子として置き換えられる。場の演算子をφ、共役運動量をπとして空間上の座標を x , y {\displaystyle {\boldsymbol {x}},{\boldsymbol {y}}} とすると、同時刻での正準交換関係は以下のように要請される。 [ ϕ ( x ) , ϕ ( y ) ] = [ π ( x ) , π ( y ) ] = 0 , [ ϕ ( x ) , π ( y ) ] = i δ ( 3 ) ( x − y ) {\displaystyle [\phi ({\boldsymbol {x}}),\phi ({\boldsymbol {y}})]=[\pi ({\boldsymbol {x}}),\pi ({\boldsymbol {y}})]=0,\ \ \ \ [\phi ({\boldsymbol {x}}),\pi ({\boldsymbol {y}})]=i\delta ^{(3)}({\boldsymbol {x}}-{\boldsymbol {y}})} さらに、自由スカラー場のハミルトニアンは以下のよう表記される。 H = ∫ d 3 x [ 1 2 π 2 + 1 2 ( ∇ ϕ ) 2 + 1 2 m 2 ϕ 2 ] {\displaystyle H=\int d^{3}x\left[{\frac {1}{2}}\pi ^{2}+{\frac {1}{2}}(\nabla \phi )^{2}+{\frac {1}{2}}m^{2}\phi ^{2}\right]} 量子力学における調和振動子からの類推によって、生成・消滅演算子を用いて場の演算子と共役運動量を書き直すと ϕ ( x ) = ∫ d 3 p ( 2 π ) 3 1 2 ω p ( a ( p ) e i p ⋅ x + a † ( p ) e − i p ⋅ x ) {\displaystyle \phi ({\boldsymbol {x}})=\int {\frac {d^{3}p}{(2\pi )^{3}}}{\frac {1}{\sqrt {2\omega _{\boldsymbol {p}}}}}(a({\boldsymbol {p}})e^{i{\boldsymbol {p}}\cdot {\boldsymbol {x}}}+a^{\dagger }({\boldsymbol {p}})e^{-i{\boldsymbol {p}}\cdot {\boldsymbol {x}}})} π ( x ) = ∫ d 3 p ( 2 π ) 3 ( − i ) ω p 2 ( a ( p ) e i p ⋅ x − a † ( p ) e − i p ⋅ x ) {\displaystyle \pi ({\boldsymbol {x}})=\int {\frac {d^{3}p}{(2\pi )^{3}}}(-i){\sqrt {\frac {\omega _{\boldsymbol {p}}}{2}}}(a({\boldsymbol {p}})e^{i{\boldsymbol {p}}\cdot {\boldsymbol {x}}}-a^{\dagger }({\boldsymbol {p}})e^{-i{\boldsymbol {p}}\cdot {\boldsymbol {x}}})} となる。ここで、1粒子のエネルギーーは ω p = | p | 2 + m 2 {\displaystyle \omega _{\boldsymbol {p}}={\sqrt {|{\boldsymbol {p}}|^{2}+m^{2}}}} である。これらが正準交換関係を満たすためには生成消滅演算子に対して以下の交換関係が要請される。 [ a ( p 1 ) , a ( p 2 ) ] = [ a † ( p 1 ) , a † ( p 2 ) ] = 0 , [ a ( p 1 ) , a † ( p 2 ) ] = ( 2 π ) 3 δ ( 3 ) ( p 1 − p 2 ) {\displaystyle [a({\boldsymbol {p}}_{1}),a({\boldsymbol {p}}_{2})]=[a^{\dagger }({\boldsymbol {p}}_{1}),a^{\dagger }({\boldsymbol {p}}_{2})]=0,\ \ \ \ [a({\boldsymbol {p}}_{1}),a^{\dagger }({\boldsymbol {p}}_{2})]=(2\pi )^{3}\delta ^{(3)}({\boldsymbol {p}}_{1}-{\boldsymbol {p}}_{2})} 全ての可能な消滅演算子 a を作用させて得られる状態 |0> を真空と定義する。運動量 p {\displaystyle {\boldsymbol {p}}} を持つ粒子は、生成演算子 a † ( p ) {\displaystyle a^{\dagger }({\boldsymbol {p}})} を真空に作用させることによって得られる。真空に生成演算子を作用させて得られる全ての可能な状態ベクトルを基底として、その線形結合によって張られる状態空間をフォック空間と呼ぶ。 ハミルトニアンを生成・消滅演算子によって表記すると、 H = ∫ d 3 p ( 2 π ) 3 ω p 2 ( a † ( p ) a ( p ) + a ( p ) a † ( p ) ) = ∫ d 3 p ( 2 π ) 3 ω p ( a † ( p ) a ( p ) + 1 2 ( 2 π ) 3 δ ( 3 ) ( 0 ) ) {\displaystyle {\begin{aligned}H&=\int {d^{3}p \over (2\pi )^{3}}{\frac {\omega _{\boldsymbol {p}}}{2}}(a^{\dagger }({\boldsymbol {p}})a({\boldsymbol {p}})+a({\boldsymbol {p}})a^{\dagger }({\boldsymbol {p}}))\\&=\int {d^{3}p \over (2\pi )^{3}}\omega _{\boldsymbol {p}}(a^{\dagger }({\boldsymbol {p}})a({\boldsymbol {p}})+{\frac {1}{2}}(2\pi )^{3}\delta ^{(3)}(0))\end{aligned}}} となる。第2項は真空の零点エネルギーによる発散項で、調和振動子各々の零点振動によるエネルギーを無限に足し合わせたものとして解釈される。実際には、このエネルギーは観測にかからず、他の状態との差分が物理的なエネルギーとして観測される。
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