横軸マスコン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 07:00 UTC 版)
「マスター・コントローラー」の記事における「横軸マスコン」の解説
マスコンとブレーキレバーは別々であるものの、従来型と違い、マスコンレバーの見た目が自動車のATセレクターの様な横軸(水平)型レバー式となっている。 かつてマスコンの操作レバーは伝統的にレバーを横方向に旋回させて操作する縦軸(垂直)方式であった。下部にあるカバー内には、ハンドルと結合されたカム軸と隣に接点部と呼ばれるスイッチを平行に複数設置した構成としており、カム軸で複数のスイッチ接点をオン/オフさせる。熟練者であればブレーキの操作と合わせることで細かい制御が可能で、特に起動時における衝撃を抑制することが可能な反面、一定の技能がないといわゆる“ドン突き”衝動を発生させやすかった。直接制御器時代では架線電源の電気を直接取り入れてコントロールしていたため、マスコン自体は大型であった。 自動進段式の間接式制御器が主流になると、電動発電機(MG)または静止型インバータ(SIV)からの低圧電源(直流100V)を使用してコントロールするようになったため、マスコン本体は小型化された。そのため、必ずしも縦軸である必然性はなくなっていた。そこで非熟練者でも操作の容易な形態として横軸マスコンが考案された。国鉄では新幹線の試作車である1000形で試用され、その量産車である0系で実用化された。また在来線では電車に先んじてキハ181系気動車で初採用された。 視覚的に進段・ノッチオフを意識しやすいよう、国鉄型の横軸マスコンは、“押して力行、引いてノッチオフ(ノッチ戻し・抑速ブレーキ)”であり、後述の民鉄発祥のワンハンドルマスコンとは逆の配置になっている。 国鉄では長らくブレーキ互換性と動作の確実性から、ブレーキについては自動空気ブレーキを採用し、SELD電磁直通ブレーキを採用する電車についてもこれを併設として、自動ブレーキ弁は運転台のブレーキレバーで直接操作するという形態をとった。この為横軸マスコン車でもブレーキは縦軸配置を採った。これはブレーキが電気指令式のみとなった国鉄最末期の量産車である211系や205系でも乗員の慣習の問題から踏襲され、ブレーキ弁直結とならなくなり、運転台コンソールと一体化して小型化はしたものの、ブレーキレバーそのものは縦軸のままであった。
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