条約型巡洋艦とは? わかりやすく解説

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【条約型巡洋艦】(じょうやくがたじゅんようかん)

1920年代ワシントン海軍軍縮条約締結後英国アメリカ日本など列強各国海軍建造した巡洋艦通称

ワシントン軍縮条約では、それまで海軍主力とされてきた戦艦建造こそ凍結させられたものの、戦艦準ずる主力戦闘艦艇である巡洋艦については「備砲8インチ以下・基準排水量1万トン以下」と定められただけで、その保有数に制限はなかった。
そこで条約参加各国は、条約認められ範囲内巡洋艦戦力増強に走ることになったが、その設計には、各国海軍戦略大きく反映された。
以下にその特徴をあげる。

このように各国条約の「抜け道」をつく形で戦力増強進めていったことで更なる軍拡進行したため、巡洋艦以下の艦種建造制限するロンドン海軍軍縮条約」が後に締結されることとなった

条約型」と呼ばれる艦の代表的なものには、「妙高」級(日本)、「ケント」級(英国)、「ペンサコラ」級(米国)などがある。


ワシントン海軍軍縮条約

(条約型巡洋艦 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/07 13:49 UTC 版)

ワシントン海軍軍縮条約(ワシントンかいぐんぐんしゅくじょうやく)は、1921年大正10年)11月11日から1922年(大正11年)2月6日までアメリカ合衆国ワシントンD.C.で開催されたワシントン会議のうち、海軍軍縮問題についての討議の上で採択された条約


注釈

  1. ^ 事実、陸奥は10月24日完成ということになっているが、実際には突貫工事をしたが間に合わずに一部未完成のまま海軍に引き渡されている。
  2. ^ 合計門数で見ても、アメリカの12インチ砲44門・14インチ砲124門・16インチ砲8門の計176門に対し日本は12インチ砲12門(片舷指向8門・口径不揃い)・14インチ砲80門・16インチ砲8門の100門の対米比約56.8パーセントからアメリカの12インチ砲24門・14インチ砲124門・16インチ砲24門の計172門に対し日本は14インチ砲80門・16インチ砲16門の96門と、対米比55.8パーセントと圧倒的な劣勢となっており、廃艦となった戦艦(アメリカのデラウェア級戦艦2隻、イギリスのサンダラー英語版キング・ジョージ5世級戦艦3隻、日本の摂津)を考慮しても日本が圧倒的に不利になっている。
  3. ^ 条文は「現状維持」であり、禁止されたのは基地機能の「強化」である。
  4. ^ 好評価とも、あるいは戦いのみを意識した、無骨一辺倒な作りに対する揶揄であるとも言われる。
  5. ^ 英国の巡洋艦に比べて、日本の巡洋艦の居住性の悪さを皮肉った発言といわれている。
  6. ^ デモは全米2万5千人が参加したが(ナショナル・ステューデント・リーグ英語版)、日本国内報道は低調だった。すなわち同日には政友会代議士の岡本一巳が小山松吉法相誣告事件(お鯉事件)で逮捕された。スピン (パブリック・リレーションズ)情報統制プロパガンダを参照。
  7. ^ 条約第23条には「notice of termination」とあるが、「条約廃棄」と教えている日本の歴史教科書もある。たとえば、『中学社会 歴史』(教育出版株式会社。文部省検定済教科書。中学校 社会科用。平成8年2月29日文部省検定済。平成10年1月10日印刷。平成10年1月20日発行。教科書番号 17 教出・歴史 762)p.249の脚注には「日本は, さらに, 1934年にはワシントン軍縮条約の廃棄をアメリカに通告し, 1935年にはロンドン軍縮会議から脱退した(←p. 229)。」と書かれている。ただ、この教科書のp.229では、「ロンドン会議」という言葉が使われていて、語句の釣り合いがとれていない教科書である。また、『日本史B 新訂版』(実教出版株式会社。文部科学省検定済教科書。高等学校地理歴史科用。平成9年3月31日検定済。平成14年1月20日印刷。平成14年1月25日発行。)p.317の脚注には「日本は1934年12月, ワシントン条約廃棄を通告し, 第2次ロンドン海軍軍縮会議から1936年1月に脱退して, 同年末, ワシントン・ロンドン両条約は満期失効した。」と書かれている。

出典

  1. ^ 1923年(大正12年)8月17日外務省告示第34号「海軍軍備制限ニ關スル條約竝太平洋方面ニ於ケル島嶼タル屬地及島嶼タル領地ニ關スル四國條約及同條約追加協定ハ全部批准寄託ヲ了ス」
  2. ^ a b c d e f g "ワシントン海軍軍縮条約". 旺文社日本史事典 三訂版. コトバンクより2024年3月6日閲覧
  3. ^ a b 条約24条
  4. ^ グレンフェル 2008, p. 32.
  5. ^ グレンフェル 2008, p. 31.
  6. ^ グレンフェル 2008, pp. 32–33.
  7. ^ グレンフェル 2008, p. 34.
  8. ^ 時事年鑑 昭和10年版
  9. ^ 『正義』1934年9月号.
  10. ^ 1934年(昭和9年)12月30日外務省告示第126号「海軍軍備制限ニ關スル條約廢止通告」


「ワシントン海軍軍縮条約」の続きの解説一覧

条約型巡洋艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 04:56 UTC 版)

ワシントン海軍軍縮条約」の記事における「条約型巡洋艦」の解説

上記あるように、条約締結結果戦艦新造不可能になった各国は、条約抜け道とも言える補助艦、特に戦艦準ずる存在となった重巡洋艦新造進めることとなる。しかし、排水量搭載砲が決められていたので、その範囲内での建造しのぎを削ることとなり、この時期巡洋艦を「条約型巡洋艦(以下条約型)」と呼ばれることとなる。 この条約型を含めた補助艦各国それぞれ特徴がある。 日本出来る限り攻撃力上げるため、魚雷装備充実させた。主砲は、当初重巡洋艦古鷹型同様20センチ(7.9インチ)砲であったが、他国条約型に対抗するために条約定められている8インチ(20.3センチ)砲を装備した一方で居住性犠牲になった。その火力重視設計は、英国観艦式参加した重巡洋艦足柄で「飢えた」、または「我々は初め軍艦(ウォーシップ)を見た今まで我々が乗っていたのは客船ホテルシップ)だった」と評価された。 米国日本異なり砲力を重視し最初制限いっぱい10門の主砲搭載したが、後に防御力とのバランス考慮し9門に減じた(ただし日本以外の国の巡洋艦よりは勝っている)。また航空機装備重視し搭載機数が多い。その一方で魚雷装備切り捨てている。 英国巡洋艦植民地とのシーレーン防衛重視したため、長期航海対応するため居住性重視している。また隻数を増やすため、条約制限よりもかなり小型巡洋艦建造している。その一方で攻撃力日米比べて妥協している。 仏・伊は、まず速力充実させた艦を建造しその後速度落とし攻撃力防御力充実させた艦を建造する。 なお、この時期ソ連条約加盟していなかったこともあり、各国のような8インチではなく18センチ砲という特異な砲を搭載した艦を建造している。 この条約建造結果軍備拡張がかえって激化。そのため、巡洋艦以下の補助艦艇制限加えるためのロンドン海軍軍縮会議開催されることとなる。

※この「条約型巡洋艦」の解説は、「ワシントン海軍軍縮条約」の解説の一部です。
「条約型巡洋艦」を含む「ワシントン海軍軍縮条約」の記事については、「ワシントン海軍軍縮条約」の概要を参照ください。

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