戦国期における武田八陣と兵種別編成とは? わかりやすく解説

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戦国期における武田八陣と兵種別編成

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/23 03:54 UTC 版)

日本の陣形史」の記事における「戦国期における武田八陣と兵種別編成」の解説

戦国期において八陣実戦使用は、天文16年1547年)、武田信玄対し山本勘助が『軍宝鑑』に記される諸葛孔明八陣の図」を工夫し諸人理解できるようにすべきと示し、「唐(中国)の軍法には、魚鱗鶴翼長蛇偃月えんげつ)・鋒矢(ほうや)・方両(ほうよう)・衡軛こうやく)・井雁行があるが、その中身理解している人は日本にいない」ことを説明し作り直すよう提案した(『甲斐志料集成九』202項)ことから始まる。『軍宝鑑』は別名を『軍兵人宝鑑』といい、13世紀成立であり、八陣図はあるものの、魚鱗鶴翼といった名称はなく、勘助参考にした八陣に関しては、まず『鴉鷺合戦物語』(15世紀成立)に記される「三系統八陣概念」を知る必要がある。まず第一に、「天・地風・雲飛龍翔鳥・虎翼・蟠」が紹介され、この系統は『応永記応永6年1399年10月13日条に同様の名称があることから14世紀終わりにはあったものとみられる第二に、李善の『雑兵書』の「方陣円陣・牝陣・牡陣・衝陣・輪陣・浮沮陣・雁行陣」。第三は、張良編み出したとされるもので、「魚鱗鶴翼長蛇偃月等の陣」の4種だけ紹介されている。つまり、勘助信玄上申した八陣とは、以上の系統八陣概念合わせたものと考えられ張良由来と伝わる和風名称の八陣取り入れ独自に編み出したものとみられる。なお、勘助軍学体系的に学んでいないと神前告白している(『甲陽軍鑑』品第二十七)。 同年10月において、武田軍長尾景虎に対して八陣使用したが、これが戦国期八陣使用としては確実なとされる武田八陣の名称は明治期戯作では、「曲・直」などと記され、または「八字丁字」などとも書かれ今日のように魚鱗鶴翼といった名称を用いられておらず、近代初期においては浸透していなかった。武田八陣イメージ確立したのは二次大戦後のこととみられている。実際に定型八陣使用されたのは戦国期では信玄一時期試用しただけで(それも村上義清兵種編隊破られ有用性がないことを証明してしまっている)、『甲陽軍鑑』に記録残されたことで、近世初期軍学者の気を引いたが、後期には忘れ去られのである(それに対し後述村上義清兵種編隊全国へと広がり見せる)。 一方で上杉家陣形由来村上義清武田家戦いきっかけとなる。『妙法寺記天文17年1548年)に記され塩田原の戦いにおいて、義清が追いつめられ時に編成した兵種別による隊形であった。これが本格的な兵種編成による中世初の戦いである。この戦いにおいて信玄本人負傷させるも、敗れた義清は上杉家支援求めることとなる。経済的に豊かだった謙信は、使い捨てとして編み出した義清の隊形戦術取り入れ、これを常備軍隊形とした。鉄砲百・弓百・長手鑓百・総旗・騎馬百の兵種で、順序その時々で変化した旗本同士が戦うための戦法)。この「五段隊形」は上杉軍対抗する形で東国各地広がり西国大名にも伝わることになる。最終的に日本全国広まったこの隊形は、文禄の役において、朝鮮半島にまで使用され朝鮮側官軍文禄5年1596年2月17日に「倭人陣法学習させる」ことになる(『宣祖実録七十二』)。その図には、旗持前列左右に展開し、二列に鉄砲隊、三列に歩兵、その左右に騎兵というもので、かつて古代では大陸側陣形影響されていた日本が、中世戦国期では、大陸側影響与える側となった村上義清生み出した兵種編隊上杉謙信によって常備軍となり、それに対抗する形で、東国に、そして全国へと(海外にも)広がり近世徳川時代)の軍役にまでつながり幕末まで各藩基本隊形となった

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