寒冬の原因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/28 02:52 UTC 版)
日本では偏西風の蛇行や北極振動が負になって寒気が流れ込みやすい時に寒冬になるとされ、寒冬年は豪雪を伴うこともある。日本では、戦前において寒冬傾向が顕著であった(ただし、暖冬の年がないわけではない)。戦後においては比較的暖冬の年が多かった1948 - 1960年の間を除いては1986年頃まで寒冬となる年が多く、2年以上連続で寒冬になることも少なくなかった。しかし、1987年以降は暖冬傾向が顕著となっており、寒冬年は減少している。特に1990年代は当時の平年値(1961 - 1990年)で1996年を除き一貫して暖冬であった(ただし、現在は平年値が上昇したため、1994年や1995年は平年並みになっている)。2000年代に入ると北日本を中心に並冬や寒冬となる年もみられるようになり、特に北海道では2001年に顕著な寒冬となったものの全体的には暖冬傾向が続いている。しかし、2010年以降は暖冬傾向が弱まっていると見受けられ、同年以降に記録的な高温が続出している夏や秋とは対照的になっている。1987年以降の日本の暖冬傾向の原因として都市化や地球温暖化、地球規模の気候変動が関連すると考えられているが北極振動や太陽活動、大気潮汐などの関連性も指摘されている。またラニーニャ現象の発生年は日本列島では寒冬になりやすい傾向にあり1963年、1984年、1996年、2006年、2012年 - 2014年などはその代表例である。ただし、1977年などエルニーニョ現象の発生年でも寒冬になることもあり、因果関係ははっきり解明されていない。 戦後においては日本列島全体が寒冬となることは少なく北冷西暖型(北日本で低温、西日本や南西諸島で高温)、北暖西冷型(北日本で高温、西日本や南西諸島で低温)に分かれることが多い。近年、特に2000年代後半以降は北暖西冷傾向が顕著であり朝鮮半島や中国大陸部から押し寄せる西日本中心の西回り寒波が主体となる一方、シベリア東部やサハリンなどから北海道以南へ南下する北・東日本中心の北回り寒波は極めて少なくなっている傾向があり、どちらかというと北暖西冷型の冬が多く、特に2011年と2015年はこの傾向が著しかった。しかし、2012年・2013年は2年連続での北冷型(北日本ほど負の偏差が大きかったが、西日本でも平年を下回った)、および3ヶ月を通しての低温になった。 また寒冬年は寒気の強さを反映して春も寒春傾向になりやすく新緑や桜の開花などが遅れることが多い。但し1949年、1993年、2010年など記録的な暖冬の年でも寒春になったこともあれば、1961年、1967年、1982年、1985年、2001年、2003年、2006年のように寒冬年でも暖春になったこともあるので、必ずしも冬の気温が春に直結するとは限らなく、2007年などを筆頭にむしろ大暖冬の年は並春や寒春になりやすい場合がある。寒冬といっても平均気温で扱っているため、毎回極端な最低気温が観測されるとは限らない。 近年の寒冬多発により、2000年代より平年値において冬季の平年値は暖冬だった2006年-2007年、および2009年-2010年、2019年-2020年を除き多くの地域で軒並み下降している。これによって、以前は寒冬とされていた冬が平年並みになったり、平年並みとされていた冬が寒冬として扱われることも決して少なくない。
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