実際のガソリン機関サイクルとの相違
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/10 06:20 UTC 版)
「オットーサイクル」の記事における「実際のガソリン機関サイクルとの相違」の解説
上の説明は、空気標準サイクルを基にしている。諸パラメーターの影響を予測するには有効であるが、定量的には大きく異なる。これを実際のガソリンエンジンのサイクルに近づけるには以下のような補正を要する。 (比熱の相違)実際の作業物質は圧縮時は空気・燃料の混合ガスであり、燃焼後は燃焼ガスが作業物質となるので、熱力学的性質が常温の空気とは大きく異なる。特に比熱が空気より大きくなることで、作業物質の温度と圧力が低くなる。 (熱解離の影響)高温の条件ではCO2、H2O をはじめ、多くの成分が解離する。これは供給熱量の減少、もしくは比熱が見かけ上大きくなることと等価であり、前記事項と同様に作業物質の温度・圧力低下の原因となり、出力および熱効率が大きく低下する。 (残留ガスの影響)排気行程で燃焼ガスをすべて排出できないので、次のサイクルの混合気に混入する。これにより吸気の量、温度、圧力が影響を受ける。 (分子数の変化)燃焼により作業物質の分子数が増減する。成分自体が変わるので一概には言えないが、一般に分子数の増加は圧力の増加をもたらす。 (燃焼時間)燃焼は発火点から未燃部分に伝播するため時間を要し、等積加熱とはならない。このため、最大圧力も低く、衝撃も小さくなるので実用上は好都合となる。 (壁面への放熱)シリンダ、シリンダヘッド、ピストンへの対流・放射による伝熱が生じる。 (ポンプ損失)ガソリン機関は通常絞り運転を行うので、吸気圧力は外気より大幅に低く、排気圧力は高いため、これに伴うポンプ損失が大きくなる(特に軽負荷時)。
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