安定した同位体を使用し測定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/17 19:20 UTC 版)
「土壌呼吸」の記事における「安定した同位体を使用し測定」の解説
植物の光合成経路は3種類あり、植物はそのいずれかで二酸化炭素を有機化合物に変換している。最も一般的なのはC3およびC4経路の二つである。C3植物は温暖または寒冷な湿潤環境に、C4植物は暑い乾燥環境に適応している。2つの経路で異なる酵素が関わるため、どちらの経路の産物かは炭素同位体で区別することができる。炭素同位体は質量が異なる。分子式が同じでも、C3経路の産物の総炭素重量はC4経路のそれよりも重い。したがって、C3植物の根滲出物や落枝、落葉はより重い同位体に富む。これら土壌有機物の同位体の比は炭素呼吸による二酸化炭素の同位体の比に近い。C3植物が生育していた土壌でC4植物を栽培する、あるいはその逆を行うとする。土壌呼吸測定で同位体比を分析すると、最近形成された有機物は古い有機物と異なる植物から生じたことを判定することができる。例えば、C3植物の春小麦が以前に生えていた土地にC4植物のトウモロコシが栽培された場合、定植からの40日間はC3 の土壌有機物が検出されるが、その後70日まで重い同位体の比率が日ごとに直線的に増加する。70日目から増加は緩やかとなり、100日目に最大値の増加限界となった。土壌呼吸の炭素安定同位体を分析することにより、異なる経路で合成された土壌呼吸の基質を同定することができる。
※この「安定した同位体を使用し測定」の解説は、「土壌呼吸」の解説の一部です。
「安定した同位体を使用し測定」を含む「土壌呼吸」の記事については、「土壌呼吸」の概要を参照ください。
- 安定した同位体を使用し測定のページへのリンク