国際法上の一方的行為とは? わかりやすく解説

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国際法上の一方的行為

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/06 03:50 UTC 版)

一方的行為」の記事における「国際法上の一方的行為」の解説

一般的に国際法上一方的法律行為には、次の5つがあるとされている。 「抗議」(英: protest、仏: la protestation、独: Protest) ある状態、状況行動自国合法受け入れないことを表明し自国法的権利保持する行為をいう。「プレア・ビヘア寺院事件」において、国際司法裁判所は、タイ寺院地図についてフランス当局との交渉中にいくつかの抗議をする機会があったのにしなかったこと、前内務大臣シャム王立協会長にあたる人物寺院訪れた際にもなんら自国権原について行動反応をしなかったことについて、タイ当時寺院描かれている地図を受諾したものと見做した(I.C.J.Reports 1962, pp.29-31.)。 その後2007年から2008年にかけてカンボジアプレア・ビヘア寺院ユネスコ世界文化遺産登録したことを契機両国間で武力衝突発生したため、2011年4月28日カンボジア1962年判決解釈請求訴訟国際司法裁判所起こしたカンボジアは、1962年判決では自国領域主権がプレア・ビヘア岬及びプノン・トラップ丘双方にわたると示されたと主張し、これに対してタイは、1962年判決寺院カンボジア領域主権属すると示したものの、上記地図示され境界線両国間の国境線であるとは示していないと争った裁判所は、2013年11月11日判決において、1962年判決主文第2段落の「寺院ないしカンボジア領土上にあるその付近」(the Temple, or in its vicinity on Cambodian Territory)という文言は、当時タイが軍を駐留させていて同判決でその撤退義務づけられた領域であるプレア・ビヘア岬のことであると判示した(Judgment of the International Court of Justice, 11 November 2013, paras.76-99.)。 「承認」(英: recognition、仏: la reconnaissance、独: Anerkennung) ある状態、状況行動自国対抗力があるものとして受け入れ行為をいう。「東部グリーランドの地位事件」において、常設国際司法裁判所は、ノルウェー外相イーレンが、デンマークとの外交文書交換の中で「当該問題解決いかなる困難ももたらさない」と宣言したことによって、ノルウェーデンマーク東部グリーンランド主権を争うことを控え義務があると判示した(P.C.I.J., Series A/B, No.5, 1927, pp.71-73.) 「通告」(英: notification、仏: la notification、独: Notifikation) ある自国行動事実他国伝え、その他国がそれ以後その事実について知らなかった抗弁することをできなくする行為をいう。「漁業事件」において、国際司法裁判所は、ノルウェーはその領海画定に関する法制度を、国際連盟事務総長への覚書ノルウェー最高裁判所判決フランスとの外交文書交換によって広く知らしめていたのであり、イギリスはこれを無視することができなかったとして、イギリス長期にわたる抗議欠如及び国際共同体の一般的容認根拠に、ノルウェー当該自国法制度イギリス対抗させることを許される、と判示した(C.I.J.Recueil 1951, pp.134-139.)。 「約束」(英: promise、仏: la promesse、独: Versprechen) 自国将来の自らの行動について、拘束される意思表明する行為をいう。国際司法裁判所は、1974年の「核実験事件」において、自国拘束される明確な意思公に表明され場合、その宣言は、信義誠実原則に基づき拘束性有するとした。そして、1974年6月8日フランス大統領府の声明及び1974年6月10日の在ウェリントン・フランス大使館ニュージーランド外務省宛て書簡(「フランス地下核実験段階移行できる状態になる」(la France sera en mesure de passer au stade des tirs souterrains...))、1974年7月25日フランス大統領記者会見における宣言1974年9月25日フランス外務大臣国連総会での演説など、一連の大気圏核実験停止諸表明がフランス自身拘束するとし、これによってオーストラリア及びニュージーランド請求目的失われた判示した(I.C.J.Reports 1974, pp.267-272, pp.473-478.)。これについては、フランスはただ大気圏核実験から地下核実験に移るという政策述べただけだ、という批判もある(「核実験事件判決オニエアマ裁判官、ディラード裁判官ヒメネス=デ・アレチャガ裁判官、ウォルドック裁判官共同反対意見、I.C.J.Reports 1974, p.323; ドゥ・カストロ裁判官反対意見、C.I.J.Recueil 1974, p.375.)。 「放棄」(英: waiver、仏: la renonciation、独: Verzicht) 自国保有する法的権利これ以上行使しないものとして捨て行為をいう。1986年国際司法裁判所における「ニカラグアにおける軍事的、準軍事的行動事件」の後、ニカラグア政府米国政府和解しニカラグア文書によって「ニカラグア政府関連事件を基にした今後全ての訴訟権利放棄することを決定した。」と示した103 I.L.M.105(1992))。

※この「国際法上の一方的行為」の解説は、「一方的行為」の解説の一部です。
「国際法上の一方的行為」を含む「一方的行為」の記事については、「一方的行為」の概要を参照ください。

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