国民へのビデオメッセージ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 23:06 UTC 版)
「エリザベス2世」の記事における「国民へのビデオメッセージ」の解説
祖父ジョージ5世から、代々の国王がBBCラジオで放送していたクリスマスメッセージを、1957年に初めてBBCテレビで生放送した。現在はBBCが事前録画し、毎年12月25日のクリスマス(GMT)にBBCワールドニュースなどで、英連邦王国国外にもテレビ放送されている。 2018年12月25日朝に放送されたクリスマスメッセージのビデオ(録画:同年12月12日)では、「私たちを分断するものより、結び付ける者のほうがたくさんある」、「違う考え方を持つ人同士が互いを尊重することが大事だ」と強調した。これは当時、テリーザ・メイ政権が欧州連合(EU)と合意したブレグジット(イギリスのEU離脱)協定を巡ってイギリス議会が紛糾していたが、国家元首として女王は政治問題については中立の立場を保っているものの、イギリスが直面する国家にとって重要な課題を意識したとされた(結果的に、ボリス・ジョンソン政権下の2020年2月1日に、イギリスは正式にEUから離脱した)。また、「長寿は人を賢くすると信じる文化もあります。私もそう思いたい」とも話し、イエス・キリストの誕生に触れ、「この知恵には、人生におけるやっかいな矛盾を認めることも入るかもしれません。例えば、人間には善意を求める大きな気持ちと悪意を持つ能力があります」、さらに女王は4月に行われたイギリス連邦首脳会談に触れ、連邦の力は「愛の絆と、より良い平和な世界で暮らしたいという共通の願いにあります」と話した。そして、「どれほど深刻な違いがあっても、相手を尊重し、同じ人間として接することは常に、より良い理解への有効な一歩です」と話しその上で、「何年もの間、さまざまな変化を見てきましたが、私にとって信仰と家族と友情は、ただ不変のよりどころというだけでなく、個人的な安らぎと安心の源でした」と、女王は自らのキリスト教への強い信仰心を強調した。 2019年のクリスマスメッセージのビデオでは、背景にヘンリー王子夫妻の写真が無いことが特に注目され、「国民や王子夫妻に対して何らかのメッセージを送っているのではないか」との憶測を呼んだ。結果的に、翌2020年の年明け早々、王子夫妻の王室離脱(同年3月31日付でのサセックス公爵と公爵夫人の英国王室離脱)が発表された。 その他、エリザベス2世女王のイレギュラーなテレビ放送によるビデオメッセージとしては、1回目が1991年の湾岸戦争勃発に際して、2回目が1997年のダイアナ元王太子妃の死に際して、3回目が2002年の母エリザベス王太后の死に際して、4回目が2012年の自身の即位60周年に際してがある。 2020年4月6日、2019新型コロナウイルスの感染拡大(COVID-19)の局面にて、国民に慰撫と激励のメッセージを送るとともに、最前線で立ち向かう医療従事者たちに謝意を表した。クリスマス以外にビデオメッセージを送ることは稀であり、即位後5回目の出来事であった。第二次世界大戦中に自身が初のラジオスピーチを行ったことにも触れ、メッセージの最後は当時の国民的歌謡曲、ヴェラ・リンの『We will meet again』を引用して、「より良い日は巡ってくる。また会いましょう」と締めくくった。
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