フォーレ:即興曲 第1番 変ホ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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フォーレ:即興曲 第1番 変ホ長調 | Impromptu No.1 Op.25 | 作曲年: 1881年 出版年: 1881年 初版出版地/出版社: Hamelle |
作品解説
アレグロ・マ・ノン・トロッポの変ホ長調で8分の6拍子。舟歌の性格を帯びた即興曲である。曲全体を通して、左手はうねるような曲線を描く。フォーレの作品の特徴的な手法の1つである上昇と下降の繰り返しが際立つなめらかなアルペジオにより、音楽が進んでいく。また、半音階的な音の動きも特徴的である。終結部分は、見せかけの転調と魅惑的な和声により、巧妙に構成されている。
ショパン:即興曲第1番 変イ長調
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ショパン:即興曲第1番 変イ長調 | Impromptu As-Dur Op.29 CT43 | 作曲年: 1837年 出版年: 1837年 初版出版地/出版社: Wessel, Schlesinger 献呈先: Caroline de Lobau |
作品解説
「Impromptu」とはラテン語に由来し、「準備のできていない」ことを意味する。この言葉は1822年に偶然にも二人の作曲家が同時に自作品に用いたのが最初とされる。音楽ジャンルとしての即興曲は、演奏技術としての即興とはあまり関係がない。それは単に、即興風の雰囲気を反映した楽曲という意味であり、19世紀以降の音楽ジャンルである(なお、即興風の音楽というアイデア自体はけっして19世紀固有のものではないが、それ以前には、トッカータ、カプリッチョなど様々な名称で呼ばれた)。
19世紀前半において、即興曲の伝統は大きく2つの流れがあった。ひとつは、流行しているオペラ・アリアの旋律や民謡旋律などを変奏しながら続けるもので、チェルニー、カルクブレンナーなどの他、リストにも佳作がある。もうひとつが、特定の形式をもたない抒情的な音楽内容のもので、この言葉を最初に用いたというヴォジーシェク、マルシュナーのほか、シューベルトの即興曲がその代表である。ただし、形式が定まらないといっても、多くはA-B-Aのアーチ型をしている。
ショパンは、シューベルトに連なる伝統を継承し、その創作の中期に《幻想即興曲》および3つの《即興曲》を残した。いずれも明確なアーチ型であり、中間部を「ソステヌートsostenuto」と称する。
第1番では、旋律が拍節構造にはまりこんでしまうのをできるだけ避けようと、様々な工夫がなされている。第1番では、右手の旋律が跳躍進行と順次進行を組み合わせて作られるが、跳躍はたいていが弱拍に現われる。旋律上のアクセント位置をずらす手法も多様で、冒頭のトリルがすでにこれに当たる。また、第8小節に登場するシンコペーションの動機や、Sostetuto部でしばしば第2拍に付けられるアクセントはもちろん、第23小節では三連音符を2つずつにまとめるよう指示されている。
こうした実にきめの細かな演奏指示は、即興の雰囲気を演出するためであり、即興曲がきわめて精緻な計算のもとに作曲されていることがよく判る。軽やかな紡ぎだしの旋律や無窮動の左手の伴奏が効果を表わして、即興曲のひとつの典型をなす作品となっている。
即興曲第1番
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