劉邦陣営
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「項羽と劉邦 (横山光輝の漫画)」の記事における「劉邦陣営」の解説
劉邦 本作のもう一人の主人公。酒と美女をこよなく愛する沛県の亭長(小役人)。呂文から股下に古代中国で吉数の72のほくろがあることと優れた人相を気に入られ、呂后を娶ることになる。その後芒碭山(中国語版)の盗賊にまで身を落とすが、やがて秦打倒のために旗揚げし、項梁の軍に加わる。仁徳ある姿勢から人望が厚く、多くの優れた家臣が集まる。咸陽一番乗りを果たすが、項羽との実力差から雌伏を味わう。その後韓信や張良らの活躍により項羽を倒し、漢王朝を確立する。 窮地に陥ると「韓信はどうした、なぜやってこん」などとわめき散らしたり、兵が足らなくなったからと韓信から兵を取り上げたり、自分の優柔不断のせいで項羽が態勢を立て直し逆に漢軍が窮地に陥ったのに、張良らに対し「お前たちがすぐに項羽を討てるように申したからこうなったのじゃぞ」と詰め寄ったりするなど自分勝手な面も目立つが、そういう失敗が逆に人間味に溢れ、助けたくなると有利に働く。寛大な人柄で部下の進言を積極的に取り入れ、天下統一の中で将軍としての礼節を身につけていく。 呂雉 劉邦の妻。当初は沛県の県令に嫁ぐはずであったが、父・呂文が人物を見込んで劉邦に嫁ぐ。 劉盈 劉邦の息子。睢水の合戦で敗れた際、夏侯嬰に楚軍から奪い返される。名前は魯元公主と共に本編で未呼称で、本作では敗走の途中に劉邦に馬車から突き落とされたエピソードは採用されていない。 魯元公主 劉邦の娘。睢水の合戦で敗れた際、夏侯嬰に楚軍から奪い返される。 劉太公 劉邦の父。項羽に捕らえられた後、降伏しなければ煮殺すと劉邦への脅迫に利用される。その後両国が和睦になったことから解放される。 張良 もとは韓の家臣で、始皇帝の暗殺に失敗した後、韓王を擁立する。まもなく酈食其の推挙で劉邦陣営に加わり、漢の軍師となる。同時に説客としても活躍する。 作中では子供達の間で項羽に彭城への遷都を促す歌を流行らせる裏工作を行うなど、謀略を発揮する。 蕭何 漢の丞相。劉邦の旗揚げ当初から従軍する。韓信が脱走した際に必死に連れ戻そうと追いかけ、劉邦に何度も進言して韓信を起用させる。項羽との戦いでは後方に位置し、補給を担当し、漢軍に一度も飢えを覚えさせなかった。作中では楚軍の弱点として「彼のような兵糧を管理する人物がいなかった」ことが挙げられている。 韓信 当初は項梁に仕官を申し出て、才能を見込んだ范増の進言もあって警備兵として召し抱えられる。范増は韓信の才能を見抜き、重用しないのならば殺すように項羽に進言するが、項羽は「股くぐりの臆病者」という噂から重用しない。項羽に愛想をつかし、項羽陣営から劉邦陣営に加わる。本作では有能な人材を探し求める「招賢館」を訪ね、蕭何と夏侯嬰にその才能を認めさせる。しかし劉邦にも過去の噂からやはり重用されなかったため、脱走を図るが蕭何と夏侯嬰に連れ戻される。その後、張良にも認められる人物であったことから大元帥に任命されるが、睢水の合戦の前に任を解かれる。自尊心を傷つけられてしばらく閉居するが、張良の国を挙げた大芝居により復帰する。敗北した劉邦からたびたび軍勢を召し上げられるが、趙、燕、斉を降す。かなりの自信家で、自らの豪語する通り軍事的才能は非常に優秀で、戦闘では無敗を誇るが、政治的な駆け引きには疎く、実直な一面を見せる。 後に劉邦の猜疑心の的となり、追い詰められて謀反を企てて、召使いの密告で呂雉によって誅殺されるが、本作では説明書きなどで何度か暗示されるのみである。 彭越 野盗の出身。何度も楚軍の糧道を断ち、撤退に追いやらせる。 本作では、漢統一後に、謀反の疑いで呂雉に誅殺されることは触れてない。 英布 別名「黥布」。桓楚の旧知でもとは楚の配下であり、尊大な性格で自尊心が強い。項羽の命で20万の秦軍を生き埋めにしたり、義帝を暗殺したりする。しかし、鍾離眛とともに劉太公・呂雉を人質にすることに失敗して項羽に万座で罵倒されたことに不快感を抱き、国に引きこもる。睢水の合戦の前に項羽より出撃するよう命じられるが病気と称して動かない。その後、随何の説得によって、家臣の費赫を従えて劉邦陣営につく決意をするが、龍且の大軍に攻められて妻子を失う。その後は漢における重要な人材の一人となる。 本作では、韓信と彭越が相次いで誅殺されると、反乱を起こして劉邦の親征の軍勢と激戦することは触れていない。 王陵 范増から人物評を聞き、面白そうな男と思った項羽に、母親を捕らえられる。そして「母親を助けたくば楚に降伏せよ」と促そうとするが、「自分がいると王陵の心が乱れるのではないか」と思った母親は自害して果て、王陵は復讐心に燃える。 張耳 親友だった陳余とのすれ違いで一族を皆殺しにされ、仁徳の誉れ高い劉邦のもとに走る。「北伐」の折はかつての親友であり一族の仇でもある陳余と対峙し、これを討ち取る。 樊噲 劉邦とは兄弟同然の間柄の猛将。彼の旗揚げ当初から従軍する。呂文の見込みにより、その娘呂須(中国語版)(呂雉の妹)を妻にもらう。そのために劉邦の義弟となる。 鴻門の会で劉邦を救うが、新しく大元帥を任命する儀式で韓信が大元帥になることに反発し、それを罪に問われて危うく処刑されそうになるが、蕭何のはからいにより恩赦となる。その後は韓信の指揮のもとで活躍し、楚との最終決戦では優れた視力を活かし、漢軍全体の「目」となる役目を担う。 曹参 蕭何と共に沛県では人望のある役人で、劉邦の旗揚げの際に傘下に加わる。 後に韓信を補佐して、活躍する。 周勃 当初は韓信の大元帥任命に得心できなかったが、壇上での劉邦との対話を聞き、認識を改める。 夏侯嬰 蕭何と共に韓信を強く推挙する。睢水の戦いでは、項羽に撃破された劉邦を懸命に護衛した。 灌嬰 洛川の人(『史記』では梁の睢陽の人)。百人の盗賊を一人で片づけたと言われる豪傑で、名を明かさずに劉邦に面会しようとしたため劉邦の家臣たちと衝突し、樊噲と互角の一騎討ちを繰り広げる。直後に秦打倒に臨む劉邦の家臣となる。 劉賈 劉邦の従兄弟で漢軍の武将の一人。彭越の食料庫襲撃を盧綰とともに援助する。 盧綰 漢軍の武将の一人。韓信の指揮下で項羽の軍勢と戦う。また彭越の食料庫襲撃を劉賈とともに援助する。 柴武 漢軍の武将の一人。韓信の指揮下で項羽の軍勢と戦う。 陳平 もとは魏の家臣だったが、重用されなかったために項羽につく。劉邦に好感を抱き、鴻門の会では彼が九死に一生を得る一因を作る。その後項羽の怒りを買って官位を剥奪されたことから劉邦のもとに走る。天下統一後、蕭何のあとの丞相となる。 酈食其 酒狂人を装って名君を探し求めていたが、高陽太守の王徳の推挙で劉邦に会い、彼に仕官する。さらに知人の陳留太守の陳同を説得して、これを帰順させた功績で、劉邦から「広野君」に封じられる。張良は彼の献策により劉邦に与することとなる。説客として斉王のもとに赴き説得に成功するが、説得工作について功を焦った酈食其からの連絡がなかったことに不審を抱き、また自らも功を焦った韓信の攻撃により騙されたと思った斉王に煮殺される。死に際に「こんなことをしてはお前もろくな死に方はせんぞ」と韓信の末路を予感させるモノローグが入っている。 魏無知 旧知の陳平を劉邦に推薦する。 紀信 脱出する劉邦の身代わりを務め、その心がけを項羽に称賛される。項羽は自分の家臣になるよう誘うが、それをはねつけ、さらに項羽を「猿」と侮辱したため怒りを買い、火あぶりにされる。 樅公 留守の滎陽を守備するも項羽に敗れて、季布からの降伏の誘いをはねつけて打ち首となる。 周苛 留守の滎陽を守備するも項羽に敗れ、降伏の誘いをはねつけて項羽を「猿」と罵倒し、激しい怒りを買って自ら茹でられた釜の中に飛び込む。 靳彊(中国語版) 漢軍の武将の一人。韓信の指揮下で項羽の軍勢と戦う。 陸賈 洛陽の人(『史記』では楚の人)。魏豹や申陽を説得しようとするが、家族の面倒を見てくれた親友の申陽に対し情に流されてしまう。一時は彼のために劉邦を裏切ろうとするも、張良の説得工作の後、劉邦に謝罪して傘下に戻り、韓信の下に配属される。斉王になった韓信が説客の蒯通から劉邦から独立するように促されると突如現れて、それを阻止する。 随何 儒者。英布の説得などに貢献する。 叔孫通 王陵の母が項羽に捕らわれた際に、劉邦から王陵の母を救うべく使者として項羽の陣営に向かう。しかし、王陵の母は息子の項羽への帰順を否定すべく自害する。 その際、叔孫通は項羽に味方するそぶりを見せ、王陵ら楚に味方する気のある者を口説いてくると偽り、さらに「城内には迎撃に十分な兵がおり、韓信は彭城や諸国を蹂躙した後、楚軍を挟撃しようとしている」とでたらめの計略を項羽に告げて戻る。報告を受けた劉邦は、張良の策を採用し、王陵らの謀反が失敗したように見せかけるため、王陵と叔孫通に似た囚人を斬首して城門に晒し項羽を欺く。そして前述の嘘の計略を危惧した項羽は、彭城へと撤退する。 曹無傷 「劉邦が宝庫の財宝を独占した」と項羽に讒訴し、それを聞いた劉邦により打ち首となる。
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