凝結過程
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/02 06:17 UTC 版)
雲のもととなる水蒸気がどんどんと凝結していき雲粒となる過程を凝結過程(ぎょうけつかてい、condensation process)または拡散過程(かくさんかてい、spreading process)という。簡単に言えば、雲ができる過程である。 一般的に雲は、冷やされるか、水蒸気が供給されて、過飽和に達した(飽和水蒸気量以上の水蒸気が含まれた)空気の中にできる。ただ、雲ができるためには、空気の中に雲核(凝結核、昇華核)がなければいけない。これがなければ、過飽和に達しても水蒸気は凝結せず、雲もできない。地球の多くの地域の大気には少なからず雲核が含まれており、過飽和度1%くらいで雲ができる。 雲核とは、エアロゾルと呼ばれる微粒子のことである。吸湿性のあるエアロゾルは凝結核の役割を果たし、その表面に水滴が凝結する。また、同様に昇華核の役割を果たし、その表面に氷晶が昇華するエアロゾルも存在するが、このエアロゾルに関しては吸湿性はあまり関係がない。こういったエアロゾルは、地域や高度によって濃度に差があるが、地球の大気に広く浮遊している。 雲核に最初の水滴が凝結、または氷晶が昇華した後、しばらくは、さらにほかの水滴や氷晶が凝結や昇華をし続ける。このとき、その空気の気温と雲粒(はじめて水滴が凝結した時点で、あるいは氷晶が昇華した時点で、これを雲粒という。)の状態によって、異なる成長を遂げる。 気温が0度(氷点、凝固点。気圧変化にはほとんど関係なく一定)以上のとき、雲粒はすべて水滴である。このとき、飽和水蒸気圧がどの場所でもほとんど差がない関係で、水滴の成長速度は非常に遅い。このため、水滴がさらに成長するためには、次の併合過程を経る必要がある。併合過程を経ずに空気中を浮遊しているのが雲であり、霧である。 気温が0度以下であっても、0度〜-40度くらいの範囲では、ある条件を満たさなければ水滴は過冷却のままである。ある条件とは、空気や過冷却水滴内に氷晶核が存在することである。氷晶核は4種類存在する。水蒸気がそのまま昇華して氷晶となる昇華核、水滴内に取り込まれて凍結させる非吸湿性の凍結核、凝結核と凍結核の両方の働きを持つ凝結凍結核、水滴に衝突して凍結させる非吸湿性の衝突凝結核、である。 少しでも氷晶があれば、周りに大量の過冷却があっても、あるメカニズムによって氷晶は急速に成長を遂げる。そのメカニズムとは、氷晶のまわりと過冷却水滴のまわりで飽和水蒸気圧に差がある(過冷却水滴の周りのほうが圧が大きい)ことが原因で、過冷却水滴が蒸発しやすくなり、蒸発した水蒸気が氷晶のまわりに昇華してどんどんと成長していくことである。これをライミング(riming)という。この成長時に、氷晶は雪として、独特の形をした結晶を形成していく。 これにより、非常に小さかった雲粒は急速に大きく成長するが、大きくなるにつれて水蒸気の供給が少なくなるので、成長速度も遅くなってくる。しかし、このころには雲粒はある程度の大きさに成長していることが多く、次の併合過程に移る。
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