さぶら・う〔さぶらふ〕【▽候ふ/▽侍ふ】
読み方:さぶらう
1 身分の高い人や敬うべき人のそばに控える。お仕えする。また、宮中など尊い場所にいる。伺候する。
「御前に—・ふものは、御琴も御笛も、みなめづらしき名つきてぞある」〈枕・九三〉
4 対話や消息に用い、聞き手に対して自己の存在する意をへりくだり、また、言い方を丁重にする語。「ある」「いる」の意の丁寧語。あります。ございます。おります。
「いかなる所にか、この木は—・ひけむ」〈竹取〉
5 (補助動詞)
㋐形容詞の連用形や断定の助動詞「なり」の連用形「に」などに付く。補助動詞「ある」の意の丁寧語。…でございます。
[補説] 丁寧語「さぶらふ」は平安中期ではまだ使用例が少なく、通常は「はべり」が用いられたが、平安後期からその使用が増して「はべり」と交替してゆく。中世になると、「さぶらふ」は「さうらふ」に変化するが、平家物語などでは女性語として用いられる。
さむら・う〔さむらふ〕【▽候ふ/▽侍ふ】
さ‐もら・う〔‐もらふ〕【▽候ふ/▽侍ふ】
読み方:さもらう
[動ハ四]《「さ」は接頭語。「もらふ」は動詞「も(守)る」の未然形「もら」に上代の反復継続の助動詞「ふ」の付いたもの》
1 ようすを見守り、よい機会をうかがい待つ。よい風向きや潮時、また逢瀬などのくるのを待つ。
「夕潮に船を浮け据ゑ朝凪(なぎ)に舳(へ)向け漕がむと—・ふとわが居(を)る時に」〈万・四三九八〉
そうら・う〔さうらふ〕【候ふ】
読み方:そうらう
[動ハ四]⇒そうろう
そうろ・う〔さうらふ〕【候ふ】
読み方:そうろう
「鈴の綱のへんに、布衣(ほうい)の者の—・ふは何者ぞ」〈平家・一〉
2 「ある」「いる」の丁寧語。
㋐対話や消息に用い、聞き手に対し、言葉遣いを丁重・丁寧に表現する。ございます。あります。
「これなる磯(いそ)べに様(やう)ありげなる松の—・ふ」〈謡・松風〉
㋑自己の存在をいう場合に、へりくだる気持ちをこめたり、重々しく表そうとする気持ちを含めたりする。おります。
3 (補助動詞)
㋐形容詞の連用形や断定の助動詞「なり」の連用形「に」などに付く。「…である」の意の丁寧語。後世は候文として、重々しく表現する消息文などに多く用いられた。…でございます。
㋑他の動詞の連用形に付いて、その動作を丁寧に、また、重々しく表現する。これも候文に多用された。…ます。
[補説] (1) 現代でも、時に候文の重々しい口調を利用して、冷やかすような表現として用いることがある。「若い者は、仕事は楽なほうがいいの、転勤はいやでそうろうのと、勝手なことばかり言う」などはこの例。(2) 鎌倉初期ごろ「さぶらふ」から変化したが、平家物語では男性が「さうらふ」を、女性は「さぶらふ」を用いている。
ぞうろ・う〔ざうらふ〕【▽候ふ】
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