住宅防音工事の実際
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 09:39 UTC 版)
「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」の記事における「住宅防音工事の実際」の解説
制度運用の開始から年月を経て、そのストックは着実に蓄積しつつある。中でも住宅防音工事は施策の目玉であり、工事実施件数は40万件、2004年までの助成総額は1兆4000億円を超す(内、12万件以上、5000億以上が厚木飛行場周辺地域への投下であった)。 施策内容も年毎に拡大されていった。例えば、第4条に基づき、新規防音工事を申請する場合、制定当初は1戸につき1室が助成対象とすることが出来たが、その後2室に拡大された。現在では下記のような内容が準備されている。 新規防音工事 住宅防音工事を実施していない住宅を対象とする防音工事。本法制定後1975年頃より騒音測定により作成した分布図(コンター図)を元に、区域指定が実施された。それに伴って指定を実施した飛行場の周辺区域から着手されていった。 追加防音工事 新規防音工事を実施した住宅を対象とする防音工事。工事を未実施の居室が対象。一挙防音工事や既に追加防音工事を実施した住宅は対象にならない。 一挙防音工事 住宅防音工事が未実施の住宅を対象とする防音工事で、世帯人員に応じ(最大5室)を一度に実施する(新規防音工事と追加防音工事を一度で済ます)。新規防音工事の行き渡りを鑑み1992年度開始。 特定住宅防音工事 第1種の区域指定は工事対象となる住宅が膨大であったことから、1970年代末から1980年代前半にかけてWECPNLの閾値を85から5ずつ引き下げ、75まで緩和することなどにより段階的に拡大されていった。一方で、防音工事の条件として、原則としては区域指定を実施した時点で建築済みの住宅が対象となるという条件がある。そのため、後に区域指定を受けた騒音の低い地域で工事対象となるのに、騒音の高い地域では建設時期が同一であっても住宅の防音工事対象とはならないケースが生じた。これをドーナツ現象と言う。この対策として1996年度より最初に1種指定を告示した地域に対して制度化され、その後数年の間を経て2回目、3回目以降の告示地域が追加されていった。 建替防音工事 防音工事が完了してから10年以上経過し、その後建て替えられた住宅、或いは建て替え計画がある住宅を対象とする防音工事。1999年度より開始。 防音区画改善工事 バリアフリー対応住宅、フレックス対応住宅あるいは身体障害者及び要介護者等が居住する住宅を対象とする防音工事。 外郭防音工事 外郭防音工事は、家屋全体を1つの区画とし、外郭について実施する防音工事。2002年度開始。条件としてはWECPNL85以上の区域を対象とする(住み慣れている、交通至便で価値が高い等の理由で第2種、第3種域でも移転を望まない住民に対応)。具体的には下記のような条件となる。それまでに防音工事を実施していない。 新規防音工事を実施済み住宅で、残居室がある。 追加防音工事を実施済み住宅で、防音工事が完了しから10年以上経過しかつ残居室がある。 機能復旧工事 既に防音工事を実施した住宅の防音性能が経年劣化等で低下した場合に実施する。条件としては10年以上の経過が必要で、サッシ交換などに助成する。 なお、これらの防音工事はその期待できる防音性能に応じて等級が設けられている。更に、夏季などに部屋を閉め切った際に必要となる冷房についても電気代の助成制度があるが、工事前に自ら設置した機器など対象にならない場合がある。 申請の際は当該地域を管轄する地方機関(各防衛局)や自治体の担当部署などに確認することが推奨されている。また、工事を実施する業者は申請者が自ら選定する。そのため悪質業者や勧誘などへの注意喚起が実施されている。
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