九段と十段とは? わかりやすく解説

九段と十段

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 07:56 UTC 版)

将棋の段級」の記事における「九段と十段」の解説

元来将棋界段位は「八段」が最高位であり、「九段」「十段」は存在しなかった。ただし、1902年明治35年)に時の名人であった小野五平作成した相撲の番付模した将棋名鑑』に「取締 京橋築地 日本西洋将棋指南 九段 名人 小野五平」と記載されている事例がある。 1943年将棋大成会名人位とは別に九段位」を設けることを決定し讀賣報知紙上で、全八段・七段が参加する九段設定戦」が開始された。1945年5月新聞発行不能休止に。戦後1945年11月から、讀賣報知紙上で「九段設定戦」が再開。しかし、「九段位」は誕生しなかった。 さらに、1950年には「九段戦」が設けられタイトル獲得者には段位ではなく名人に次ぐ「タイトルとしての九段」が与えられることになったその後1958年に「段位としての九段」への昇段規定定められ大山康晴升田幸三九段昇段している。 しかし「タイトルとしての九段」と「段位としての九段」は、前者失冠すれば名乗れなくなるが後者永久に乗れるという実際上の違いがあるにすぎず、明確に区別されるものではなかったようである。実際にタイトルとしての九段」を三連覇すると「永世称号としての永世九段」が与えられるが、永久に乗れか否かという区別失われることから、「永世称号としての永世九段」と「段位としての九段」とは、ほぼ完全に同一視されていた。 1954年九段タイトル3連覇して永世称号資格得た塚田正夫について、清水孝晏、大山康晴青野照市それぞれ著書次のように述べている。 塚田は、ここを防衛すればタイトル三期獲得となり「永世九段」の称号許されるということ燃えたのか二連勝のあと、昭和二十九年十一月二十七日東京本郷の「竜岡」で行われた第三局にも勝ち、三連勝で「実力九段第1号となった。 — 清水孝晏、 (昭和33年四月十七日、「名人三期上在位した者、在位二期でも順位戦成績抜群の者」という規約により、塚田さんに次いで二人目永世九段資格得た升田さんも該当者であったが、当時名人在位者であり、この日は私だけが永世九段許されたのであった。 — 大山康晴、「(昭和33年)」は引用者が挿入九段元来昭和20年代にあった九段戦4期優勝した塚田正夫九段と、名人位失冠して元の八段ではということで、名人2期升田幸三九段授与され2人だけの段位であった。 — 青野照市三者述べることは一見すると相互に矛盾しているが、 1954年昭和29年11月27日に、九段タイトル3期連続獲得したことにより、塚田正夫が「永世称号としての永世九段」の資格得た当時棋士の間では「永世称号としての九段」と「段位としての九段」は同一視されていたため、塚田段位九段であると認識されていた。 1958年昭和33年4月17日連盟規約改正により、大山康晴升田幸三が「段位としての九段」に昇段した。ただし、升田名人地位にあったため、名人失冠まで免状発行留保された。大山は「塚田永世称号としての九段資格」と「自身段位としての九段資格」は同一資格認識していたため、自身2人目の九段だと語った1958年昭和33年4月17日に、連盟規約改正により、大山康晴升田幸三2人が「段位としての九段となった。しかし、大山その後タイトル保持し続けたため、九段名乗ることはなかった。一方升田は翌1959年タイトル失い無冠となったことから塚田続いて九段」を名乗る2人目の棋士となった。 と整合的に解釈できるまた、大山康晴1960年九段戦三連覇果たし、「永世称号としての永世九段」の条件を満たすが、すでにほぼ同一資格である「段位としての九段」に昇段していたため、新たに永世称号獲得したものとはみなされなかった。 このように当時棋士連盟は「段位としての九段」と「タイトルとしての九段」の区別敏感ではなかったが、これらが混在することにより、例え1958年度から1961年度まではタイトルとしての大山九段への挑戦を争う者の中に塚田九段升田九段含まれるという見る者にとって非常に分かりにくい状況にあった。 そこで、1962年度から九段戦は「十段戦」に移行しタイトル称号は「九段」から「十段」に改められた。1988年度から、十段戦発展解消されて竜王戦となり、「十段」の称号なくなった。ただし、十段タイトル多数獲得した者に「永世十段」の称号与えられ大山康晴中原誠の2名がその該当者となった。 なお、永世九段有資格者である塚田正夫に対しては、没後に「名誉十段」の称号追贈された。また、棋士ではないが、名人400年記念して日本将棋連盟徳川家康十段贈っている。 2001年には加藤一二三が、棋士会において、自身九段昇段後の1,000勝を達成したことを示し、(タイトル称号の「十段ではなく段位としての十段」の新設し自身授与することを提案した

※この「九段と十段」の解説は、「将棋の段級」の解説の一部です。
「九段と十段」を含む「将棋の段級」の記事については、「将棋の段級」の概要を参照ください。

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