世界初、円形脱毛症の原因遺伝子を同定:とは? わかりやすく解説

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世界初、円形脱毛症の原因遺伝子を同定:

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/18 01:48 UTC 版)

円形脱毛症」の記事における「世界初、円形脱毛症の原因遺伝子を同定:」の解説

順天堂大学大学院医学研究科皮膚科学アレルギー学の池田 志斈 教授東海大学総合医学研究所の岡 晃 講師らの共同研究グループは、円形脱毛症(*1)の原因遺伝子1つとしてCCHCR1(*2)を世界で初め同定しました。そして、円形脱毛症患者のCCHCR1遺伝子のリスクアリル(*3)をゲノム編集法(*4)でマウス導入したところ、円形脱毛症患者類似の症状再現することに成功しました。さらに、CCHCR1遺伝子のリスクアリルの有無によって円形脱毛症患者さんの毛髪の状態に差異生じることを確認しました。本成果は、原因不明であった円形脱毛症対し発症機序解明とリスクアリルの有無に基づく新たな診断法タイプ別治療法開発可能性を示すものです。 本研究成果ポイント 円形脱毛症患者ゲノム解析により原因遺伝子としてCCHCR1を同定し、そのリスクアリルを検出 CCHCR1遺伝子のリスクアリルをマウス導入することによりヒト円形脱毛症類似した症状毛髪変化再現成功 リスクアリルの有無に基づく円形脱毛症発症機序解明タイプ別診断法治療法開発期待 背景 円形脱毛症若い女性における発症頻度高く、特に全頭型あるいは汎発性症例では外見の変化により患者QOL著しく低下します。その発症機序としては自己免疫説が唱えられているほか、多く遺伝子要因発症関連する多因子性疾患であるとされていますが、その原因仕組みはよくわかっておらず、世界中で円形脱毛症に関する原因遺伝子解明試みられきましたが、これまで1つ同定されていませんでした。そこで今回研究グループは、原因遺伝子同定目指し患者血液由来DNA用いた遺伝学的解析、さらに遺伝子編集技術用いたモデル動物作製行いました内容研究では、円形脱毛症患者さんと健常者方にご協力戴きました。まず末梢血からゲノムDNA抽出しゲノム領域との関連解析行い、どのゲノム部位疾患関わる遺伝子存在するかを統計学的に推定しましたその結果、HLA-Cという遺伝子近く原因遺伝子存在することをつきとめました。 次に塩基配列解読する次世代シークエンサーという機械用いて原因遺伝子存在する推定される患者染色体HLA(*5)ゲノム領域について健常者塩基配列比較検討したところ、CCHCR1という遺伝子アミノ酸置換塩基配列変わったことにより、あるアミノ酸からほかのアミノ酸置き換わる)が生じており、これが円形脱毛症発症関与するリスクアリルだと分かりました。 そこでゲノム編集法を用いて、このCCHCR1遺伝子のリスクアリルを導入したゲノム編集マウス作成したところ、ヒト円形脱毛症患者さんに類似する脱毛マウス生じました(図1右側)。次に円形脱毛症患者でCCHCR1遺伝子のリスクアリルを持つ方と持たない方、それぞれの毛髪毛包発現している遺伝子パターン毛髪の幹(毛幹)の状態について、ゲノム編集マウス比較しましたその結果、リスクアリルのある円形脱毛症患者遺伝子発現パターンならびに毛幹の状態はゲノム編集マウスとよく似ていました(図1左側)。以上の結果より、円形脱毛症患者検出されたリスクアリルを有するCCHCR1遺伝子円形脱毛症原因遺伝子1つとして同定されました。 比較患者の多いこのような疾患のリスクアリルが、実験動物再現されることはほぼ皆無であることから、この研究世界的に極めて画期的です。 図1: 本研究明らかになったCCHCR1遺伝子におけるリスクアリルの有無円形脱毛症との関連 今後の展開 今回研究グループは、原因不明であった円形脱毛症原因遺伝子1つ同定しました。今後は、CCHCR1遺伝子のリスクアリルによりなぜ円形脱毛症生じるか、発症メカニズム解明進めますまた、 CCHCR1遺伝子のリスクアリルを持つ症例持たない症例との違い明らかにすることで、円形脱毛症タイプ別診断法各タイプ特化した治療法開発可能になる考えられます。 用語解説 *1 円脱毛症人口の1~2%罹患する考えられる多く単発脱毛巣だか、場合により頭部全体全身脱毛生じことがある治療法確立されていない。 *2 CCHCR1: Coiled-coil alpha-herical rod protein 1、中心体構成するタンパク今回毛髪にもあることが判明。 *3 ゲノム編集法: 部位特異的ヌクレアーゼ利用して思い通りに標的遺伝子改変する技術。 *4 リスクアリル: 疾患の発症リスク高め対立遺伝子対立遺伝子アリル)とは、両親からそれぞれ引き継いだ異な遺伝情報有する遺伝子のこと。 *5 HLAHuman Leukocyte Antigenの略でヒト白血球抗原

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