リー微分とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 人文 > 高等数学 > 微分 > リー微分の意味・解説 

リー微分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/02 22:43 UTC 版)

数学においてリー微分(リーびぶん、: Lie derivative)は、多様体 M 上のテンソル場全体の成す多元環上に定義される微分(導分とも)の一種である。ソフス・リーにちなんで名づけられた。M 上のリー微分全体の成すベクトル空間は次で定義されるリー括弧積





リー微分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/16 14:37 UTC 版)

一般相対性理論の数学」の記事における「リー微分」の解説

詳細は「リー微分」および「時空対称性英語版)(Spacetime symmetries) 」を参照 もうひとつ重要なテンソル微分は、リー微分である。一般相対性理論では、アフィン接続通して計量依存しているように見え表現使われるが、共変微分とは異なり、リー微分は計量独立微分である。共変微分異なる点でのベクトルどうしの比較が可能であることをアフィン接続要求するが、リー微分は同じ目的達成するためベクトル場から来る合同性を使う。合同沿って函数引き継ぐ (Lie dragging) というアイデアはリー微分を、引き継がれ函数与えられた点での元の函数の値とを比較することで定義する。リー微分はタイプ (r, s) のテンソル場に対して定義することができ、この観点からはタイプ (r, s) からタイプ (r, s) のテンソルへの写像とみなすことができる。 リー微分は通常L X {\displaystyle \scriptstyle {\mathcal {L}}_{X}} と記される。ここに X {\displaystyle \scriptstyle X} はリー微分の取る合同英語版)(congruence) に沿ったベクトル場である。 ベクトル場にそったテンソルのリー微分は、テンソル場ベクトル場共変微分通して表現することができる。スカラーのリー微分は、単に方向微分である。 L X ϕ = X a ∇ a ϕ = X a ∂ ϕ ∂ x a {\displaystyle {\mathcal {L}}_{X}\phi =X^{a}\nabla _{a}\phi =X^{a}{\frac {\partial \phi }{\partial x^{a}}}} リー微分には、高次ランクの項がさらに加えられる例えば、タイプ (0, 2) のテンソルは、 L X T a b = X cc T a b + ( ∇ a X c ) T c b + ( ∇ b X c ) T a c = X c T a b , c + X , a c T c b + X , b c T a c {\displaystyle {\begin{aligned}{\mathcal {L}}_{X}T_{ab}&=X^{c}\nabla _{c}T_{ab}+(\nabla _{a}X^{c})T_{cb}+(\nabla _{b}X^{c})T_{ac}\\&=X^{c}T_{ab,c}+X_{,a}^{c}T_{cb}+X_{,b}^{c}T_{ac}\end{aligned}}} である。 さらに一般的にはL X T a 1 … a r b 1b s = X c ( ∇ c T a 1 … a r b 1b s ) − ( ∇ c X a 1 ) T ca r b 1b s − ⋯ − ( ∇ c X a r ) T a 1 … a r − 1 c b 1b s + ( ∇ b 1 X c ) T a 1 … a r cb s + ⋯ + ( ∇ b s X c ) T a 1 … a r b 1b s − 1 c {\displaystyle {\begin{aligned}{\mathcal {L}}_{X}T^{a_{1}\ldots a_{r}}{}_{b_{1}\ldots b_{s}}=&X^{c}(\nabla _{c}T^{a_{1}\ldots a_{r}}{}_{b_{1}\ldots b_{s}})\\&-(\nabla _{c}X^{a_{1}})T^{c\ldots a_{r}}{}_{b_{1}\ldots b_{s}}-\cdots -(\nabla _{c}X^{a_{r}})T^{a_{1}\ldots a_{r-1}c}{}_{b_{1}\ldots b_{s}}\\&+(\nabla _{b_{1}}X^{c})T^{a_{1}\ldots a_{r}}{}_{c\ldots b_{s}}+\cdots +(\nabla _{b_{s}}X^{c})T^{a_{1}\ldots a_{r}}{}_{b_{1}\ldots b_{s-1}c}\end{aligned}}} である。実際上記表現では、共変微分 ∇ a {\displaystyle \scriptstyle \nabla _{a}} を「任意」の捩れのない接続 ∇ ~ a {\displaystyle \scriptstyle {\tilde {\nabla }}_{a}} 、あるいは、局所的に座標独立微分 ∂ a {\displaystyle \scriptstyle \partial _{a}} と置き換えることができる。このことは、リー微分は計量独立であることを示している。しかし共変微分のほうは添字の上下げ可換である点で便利である。 一般相対性理論においてリー微分の主要な使い方のひとつは、時空対称性研究する場合である。時空対称性があると、テンソルや他の幾何学的な対象保存され る。特に、キリング対称性(リー微分による函数引き継ぎの下での計量対称性)は、時空研究に非常に頻繁に現れてくる。上の公式を使いキリング対称性生成するベクトル場満たす条件書き下すことができる。 L X g a b = 0 ⇔ ∇ a X b + ∇ b X a = 0X c g a b , c + X , a c g b c + X , b c g a c = 0 {\displaystyle {\begin{aligned}{\mathcal {L}}_{X}g_{ab}&=0\\\Leftrightarrow \nabla _{a}X_{b}+\nabla _{b}X_{a}&=0\\\Leftrightarrow X^{c}g_{ab,c}+X_{,a}^{c}g_{bc}+X_{,b}^{c}g_{ac}&=0\end{aligned}}}

※この「リー微分」の解説は、「一般相対性理論の数学」の解説の一部です。
「リー微分」を含む「一般相対性理論の数学」の記事については、「一般相対性理論の数学」の概要を参照ください。


リー微分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 03:09 UTC 版)

可微分多様体」の記事における「リー微分」の解説

ソフス・リー (Sophus Lie) に因んだリー微分は多様体 M 上テンソル場多元環上の微分英語版)である。M 上すべてのリー微分からなるベクトル空間は [ A , B ] := L A B = − L B A {\displaystyle [A,B]:={\mathcal {L}}_{A}B=-{\mathcal {L}}_{B}A} で定義されるリーブラケット英語版に関して無限次元リー環をなす。 リー微分は M 上フローactive英語版微分同相写像)の無限小生成子としてベクトル場によって表現される逆にみると、M の微分同相の群はリー群論の直接類似の方法でリー微分の付随するリー環構造を持つ。

※この「リー微分」の解説は、「可微分多様体」の解説の一部です。
「リー微分」を含む「可微分多様体」の記事については、「可微分多様体」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「リー微分」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



リー微分と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「リー微分」の関連用語

リー微分のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



リー微分のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのリー微分 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの一般相対性理論の数学 (改訂履歴)、可微分多様体 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS