方向微分とは? わかりやすく解説

方向微分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/08 07:13 UTC 版)

数学において、多変数微分可能関数のある与えられた点 x におけるある与えられたベクトル v に沿った方向微分(ほうこうびぶん、: directional derivative)とは、直感的には、v によって特徴づけられた速度で x を通過する時の、その関数の即時的な変化率を意味する。したがって、他のすべての座標は定数として、ある一つの座標曲線英語版に沿った変化率を取るような、偏微分の概念を一般化するものである。


  1. ^ R. Wrede, M.R. Spiegel (2010). Advanced Calculus (3rd edition ed.). Schaum's Outline Series. ISBN 978-0-07-162366-7 
  2. ^ 技術的に言うと、勾配 f余ベクトルであり、ドット積はベクトル v 上のこの余ベクトルの動きである。
  3. ^ J. E. Marsden and T. J. R. Hughes, 2000, Mathematical Foundations of Elasticity, Dover.



方向微分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 04:41 UTC 版)

微分」の記事における「方向微分」の解説

詳細は「方向微分」を参照 関数 f(x1, …, xn) について、偏微分は f の各座標軸方向への変化測る。f の任意の方向への変化測るのが方向微分である。 ベクトル v = (v1, …, vn) に対して関数 f の点 a = (a1, …, an) における v 方向への方向微分係数とは、 lim h → 0 f ( a + h v ) − f ( a ) h {\displaystyle \lim _{h\to 0}{\frac {f(a+hv)-f(a)}{h}}} のことである。xj 軸正の方向単位ベクトルej とするとき、ej 方向への方向微分係数は、xj に関する偏微分係数他ならない。 f が点 a においてすべての変数に関して偏微分可能ならばあらゆるベクトル v について、点 a における v 方向への方向微分係数存在する。またこのとき、方向微分係数は v に関して線型である。特に、v = (v1, …, vn) に対して方向微分係数 Dvf(a)D v f ( a ) = ∑ j = 1 n v j ∂ f ∂ x j ( a ) {\displaystyle D_{v}f(a)=\sum _{j=1}^{n}v_{j}{\frac {\partial f}{\partial x_{j}}}(a)} によって与えられる

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方向微分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/07 06:28 UTC 版)

接ベクトル空間」の記事における「方向微分」の解説

1 ≤ r ≤ ∞ とする。 m 次元 Cr 級多様体 M と、その中の Cr 級曲線 φ :(− ε, ε) → M と M 上任意の Cr 級関数 f : M → R を与えたとき、 t0 ∈ (− ε, ε) に対して v ϕ ; : f ↦ d d t f ∘ ϕ ( t ) | t = t 0 {\displaystyle v_{\phi ;}:f\mapsto {\frac {d}{dt}}f\circ \phi (t)|_{t=t_{0}}} という対応 vφ を曲線 φ の t = t0 における方向微分 (directional derivative) という。 この定義には局所座標系などは全く出てこないので方向微分は座標系依存しない。 φ(t0) = p ∈ M とする。 p の近傍定義され任意の Cr 級関数 f,g 及び任意の実数 a,b に対し vφ(a f + b g) = a vφ(f) + b(g) vφ(f g) = vφ(f) g(p) + f(p)(g)成り立つ。この左辺変数になっている f g は q ∈ M に対して f g : q → f(q) g(q) のように関数の値の(普通の意味での)積とする。 このことから、方向微分 vφ は線型性持ちライプニッツ則積の微分法則)に従う作用素であることが分かる数学においては、このように性質調べた後でその性質をその言葉の定義取り替えて一般化することがよくある。 すなわち m 次元 Cr 級多様体 M の点 p の近傍定義され任意の Cr 級関数 f,g 及び実数 a,b に対し v(a f + b g) = a v(f) + b v(g) v(f g) = v(f) g(p) + f(p) v(g) をみたすような対応 v : f → v(f) ∈ R のことを p における方向微分という。 この定義には曲線 φ すら出てこない。 多様体 M 上の点 p における方向微分の全体Drp(M) と書く。 f = g恒等的に 1 を取る関数であれば、定義より v(1*1) = v(1) * 1 + 1 v(1) v(1) = 0 となる。このことより f が定数 a を取る定数関数であれば v(a) = v(a*1) = a v(1) = 0 となることがわかる。 p の開近傍を十分小さく取ったときに Cr 級関数 f,g の値がその開近傍上で等しいとき v(f) - v(g) = v(f − g) = v(0) = 0 v(f) = v(g) となる。 p ∈ M での方向微分 u,v と Cr 級関数 f 実数 a に対して (u + v)(f) = u(f) + v(f) (a u)(f) = a (u(f)) のように、方向微分の和と定数倍を定義することにより、 Drp(M)ベクトル空間になる。

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方向微分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 03:09 UTC 版)

可微分多様体」の記事における「方向微分」の解説

m 次元可微分多様体 M 上実数値関数 f が与えられると、M の点 p における f の方向微分は以下のように定義される。γ(t) を M 内の曲線で γ(0) = p で、任意の1つチャートのとの合成Rm 内の微分可能曲線であるという意味で微分可能ものとする。すると γ に沿った p での f の方向微分 (directional derivative) は d d t f ( γ ( t ) ) | t = 0 {\displaystyle \left.{\frac {d}{dt}}f(\gamma (t))\right|_{t=0}} である。γ1 と γ2 が2つ曲線で γ1(0) = γ2(0) = p であり任意の座標チャート φ において d d t ϕ ∘ γ 1 ( t ) | t = 0 = d d t ϕ ∘ γ 2 ( t ) | t = 0 {\displaystyle \left.{\frac {d}{dt}}\phi \circ \gamma _{1}(t)\right|_{t=0}=\left.{\frac {d}{dt}}\phi \circ \gamma _{2}(t)\right|_{t=0}} であるとすると、チェーンルールによって、f の p での γ1 に沿った方向微分と γ2 に沿った方向微分は同じである。これは方向微分は p での曲線の接ベクトルのみに依存することを意味する。したがって可微分多様体場合適合した方向微分のより抽象的な定義アフィン空間における方向微分の直感的な性質究極的に捉えている。

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方向微分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/15 04:22 UTC 版)

ナブラ」の記事における「方向微分」の解説

スカラー場 f(x, y, z) の a ( x , y , z ) = a x x ^ + a y y ^ + a z z ^ {\displaystyle {\boldsymbol {a}}(x,y,z)=a_{x}{\hat {\boldsymbol {x}}}+a_{y}{\hat {\boldsymbol {y}}}+a_{z}{\hat {\boldsymbol {z}}}} 方向への方向微分は a ⋅ gradf = a x ∂ f ∂ x + a y ∂ f ∂ y + a z ∂ f ∂ z = ( a ⋅ ∇ ) f {\displaystyle {\boldsymbol {a}}\cdot \operatorname {grad} f=a_{x}{\frac {\partial f}{\partial x}}+a_{y}{\frac {\partial f}{\partial y}}+a_{z}{\frac {\partial f}{\partial z}}=({\boldsymbol {a}}\cdot \nabla )f} で表される。これは場 f の a 方向への変化量与えるものである作用素の記法では、括弧入れた要素一つ一貫した単位考えられ、この規約流体力学では(流体の「動く」微分としての流体微分言葉縦横用いられている。

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