パフォーマンスとの共演
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アイランド・アイ・アイランド・イア(I.E.I.E.)(1974年) デイヴィッド・チューダーの発案により、島全体を1つの楽器として演奏する企画があり、中谷は霧の彫刻で参加した。チューダー、ジャクリーン・マティス、中谷、クルーヴァーの4名が島で3日間の調査を行った。自然の霧が発生した場合に霧に覆われるであろう場所を選んで発生させた。崖の上から霧を落としたり、地形の特徴を目立たせることも考えた。島には電気や水道がないため、噴霧装置の電力には酸素ボンベ、水は海水を用いた。テストは行われたが、企画そのものは実現はしなかった。 オパール・ループ(1980年、2002年) アメリカでは、初の室内での霧の彫刻も発表された。ダンサーのトリシャ・ブラウンとの共作で、ブラウンのダンス・カンパニーの公演『オパール・ループ/霧』の舞台装置として霧が使われた。ノズルのオン・オフで霧の形・量・動きを制御した。2002年には、『オパール・ループ/霧』の動画をフォグ・スクリーン(英語版)に投影したインスタレーションとして『オパール・ループ/雲』を発表した。 男鹿川 霧の彫刻(1980年) 栃木県の男鹿川沿いにある川治温泉で開催された秋祭りにて、「霧と音と光のフェスティバル」として展示された。ビル・ヴィオラが環境音を編集した音を流した。 ヨハン・ヨハンソンの世界(2007年) 「<東京の夏>音楽祭2007」で、アイスランドのミュージシャンであるヨハン・ヨハンソンが来日公演を行い、霧の彫刻と癒合したパフォーマンスが行われた。日本未来科学館を会場として、演奏の随所でステージが霧に包まれた CLOUD FOREST(2010年) 山口情報芸術センター(YCAM)のインスタレーションでは、前庭の中央公園に装置が置かれ、ダムタイプのメンバーでもある高谷史郎(英語版)が参加した。高谷によるデイヴィッド・チューダーへのオマージュとして、36台のスピーカーによる複雑な音響もあり、霧、光、音による表現をした。 ロンドンフォグ(2017年)、a・form(2017年) ロンドンのテート・モダンで開催されたグループ展「BMW TATE LIVE EXHIBITION: TEN DAYS SIX NIGHTS」で発表された。新館であるスイッチ・ハウスの前に、800個のノズルを設置して噴霧した。ロンドンは「霧の都」のイメージで知られる一方、ロンドンスモッグ(1952年)の大気汚染のイメージもある。中谷は安心して楽しめる霧を作ることで、ネガティブな霧のイメージを払拭する意図があった。本作品は音響・照明・ダンスとの共作であり、霧の動きや濃度によって、坂本龍一による音響や高谷史郎による照明が変化し、霧の中で田中泯がパフォーマンスを行った。好評により、展示は2週間延長された。田中、坂本、高谷との共演は、オスロ新国立美術館で発表された『a・form』でも行われた。 ナイアガラ・リバーブ(2017年) パリで開催された、ポンピドゥー・センターとIRCAMの40周年記念イベントで発表された。霧と電子音楽の共演となり、KTL(英語版)、Alponom、マヌエル・ポレッティと共演した。 霧の街のクロノトープ(2020年) 新型コロナウイルスの影響のなか、2020年12月5日(土)から12月20日(日)にかけて、高谷史郎との共作展覧会『霧の街のクロノトープ』を開催した。高谷がフレームと照明を行い、中谷による霧の彫刻が設置された。会場には、戦前・戦後の混乱や差別、バブル期の地上げや都市開発の影響を受けつつも、多文化共生の文化を育んできた場所として東九条の北河原住宅跡地を選んだ。 会場は直方体のグリッド状に足場が組まれ、高さ約3.6メートルの上下にノズルが設置された。東西の短辺と南北の長辺でノズルの角度や間隔が異なり、東西から密度の濃い霧が噴霧され、南北の霧がそこに覆いかぶさるようになっている。霧の噴霧時間は1回4分間であり、噴霧するタイミングには東西南北でずれがある。ノズルの位置と時間のずれによって対流が起き、霧が動的な塊となるようにデザインされている。住宅街の空き地という生活に密接に関わる場所を会場とした点で、主に美術館や公園で展示されてきた『霧の彫刻』と異なる特徴をもっている。
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