ソフトウェア品質の要因
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/17 06:20 UTC 版)
「ソフトウェア品質」の記事における「ソフトウェア品質の要因」の解説
ソフトウェア品質要因は機能面以外の要求仕様と考えられるが、顧客との契約に明記されることは少ない。しかし、ソフトウェアの品質を強化することは望ましい。 以下に主なソフトウェア品質要因を列挙する。 理解可能性(Understandability) 製品の目的が明らかなソフトウェア製品は理解可能である。この要因は単に目的だけではなく、設計文書やユーザー文書が容易に理解可能な形で書かれていることも含む。これは想定されるユーザーによっては重要な要因となる。例えば、ソフトウェア開発者向けのソフトウェア製品なら、素人が理解可能である必要はない。 完全性(Completeness) 製品が単独で機能できること、その機能が目的に対して十分であることを意味する。例えば、外部のライブラリを必要とするなら、少なくともそのライブラリの入手方法を付属文書などで示さなければならないし、バージョンなどの必要な情報も示す必要がある。 簡潔性(Conciseness) 無駄な情報がないことを意味する。メモリ容量が限られている環境では重要である。また、コードの行数を削減することも様々な意味で重要である。同じ機能を実現するコードが繰り返し出現する箇所をサブルーチン化することで改善される。また、文書についても同様のことが言える。 移植性(Portability) 様々なコンピュータ構成で容易に動作することを意味する。ハードウェアの違い(PC と Mac など)に関する移植性と、OSの違い(Mac OS X と GNU/Linux など)に関する移植性がある。 一貫性(Consistency) 記法や用語が一貫していることを意味する。 保守性(Maintainability) 新たな要求を満たすために改良する際の容易さを意味する。保守性の良いソフトウェア製品は、文書が完備されており、複雑でなく、メモリ容量や性能面で余裕がある必要がある。 試験性(Testability) 受け入れ基準が明確で性能評価が可能であることを意味する。設計段階での組み込みが重要となる。また、複雑な設計は試験性の低下を招く。 ユーザビリティ(Usability) ユーザーにとって便利で実用的であることを意味する。特にユーザインタフェースが重要となる。 信頼性(Reliability) ユーザーに影響するエラーを防ぎ、目的の機能が十分に実現されていることを意味する。これには機能をある時間内に実施できるという面も含まれる。また、必要とされたときには、エラーが発生しても停止しないで動作し続けることが要求される。これを堅牢性(ロバストネス(Robustness))とも呼ぶ。 構造化の度合い(Structuredness) 構成部品が一様なパターンとなっていることを意味する。構造化言語(Pascalなど)で書かれたソフトウェアはこの特性を満足する。 効率性(Efficiency) 目的達成の際にリソースを無駄に消費しないことを意味する。この場合のリソースとはメモリ使用量とプロセッサ使用時間である。 セキュリティ(Security) 不正アクセスからデータを守り、悪意ある操作に耐性があることを意味する。認証機構、アクセス制御、暗号化などのコンピュータセキュリティ機構の有無に関係する。
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