サーモクロミック液晶
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/12 04:21 UTC 版)
「サーモクロミズム」の記事における「サーモクロミック液晶」の解説
液晶は、内部の分子の周期構造に由来して、特定の波長の光を選択的に反射することができるものがある。特にキラルネマチック相(コレステリック液晶)もしくは捩れネマチック相は可視域に反射を持つものがある。その周期構造は温度に依存して変化するため、色調が変化する。これがサーモクロミック液晶の特徴である。 サーモクロミック液晶の色は、反射のない黒から7色に連続的に変化する。通常、低温で赤もしくはオレンジ色、高温で青・紫色となる。これは液晶を加熱することで、周期が短くなることによる。 サーモクロミック液晶の例として、コレステロール誘導体やシアノビフェニルが知られている。炭酸オレイルコレステリル、ノナン酸コレステリル、安息香酸コレステリルを様々な割合で混合することで、多様な温度範囲で色調が変化するサーモクロミック液晶を構成できる。たとえば、65:25:10の質量比では17~23 ℃の変色域が得られ、30:60:10の場合は37~40 ℃の変色域が得られる( http://education.mrsec.wisc.edu/274.htm)。 染料やインクに使用される液晶は、多くの場合、懸濁液の形でマイクロカプセル化されている。 サーモクロミック液晶は、一般的な用途であるムードリングのほか、色の変化を正確に測定する必要がある用途で使用される。例えば部屋、冷蔵庫、水槽、医療用の温度計や、タンク内のプロパンレベルの指標に利用されている。液晶は取り扱いが難しく、特殊な印刷機器が必要となる。材料自体も通常、他の技術よりも高価である。高温、紫外線、一部の化学物質や溶媒により劣化する。
※この「サーモクロミック液晶」の解説は、「サーモクロミズム」の解説の一部です。
「サーモクロミック液晶」を含む「サーモクロミズム」の記事については、「サーモクロミズム」の概要を参照ください。
- サーモクロミック液晶のページへのリンク