サツマイモの酒への適性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 04:43 UTC 版)
酒の原料として見た時、サツマイモには下記のような難点がある。 穀類原料ではデンプン含量が約70%なのに対してサツマイモは約25-30%と低く、アルコールの生産効率が悪い。 収穫に季節性があり、長期貯蔵が難しい。 生のままではポリフェノールオキシダーゼ(英語版)などの酵素によって変質しやすい。 蒸すと甘くなり雑菌が繁殖しやすい。 仕込みを行うと吸水してドロドロの醪となり、高い粘度で作業性を低下させる。 これに対して、以下のような点が近世の鹿児島における芋焼酎の誕生を支えた。 年貢となる米が貴重な一方、県内の多くの地域がサツマイモの栽培に適した水はけの良いシラス台地であるため、サツマイモを酒の原料とするモチベーションが相対的に高かった。 世界的に珍しい原料を蒸す製造方法が日本では一般的であり、酵素を失活させることができた。 蒸したサツマイモの糖化に適した麹があった。 鹿児島は温暖で醸造酒造りに不向きなため蒸留技術が普及し、高粘性の醪からアルコールを回収できた。 また、クエン酸によって腐敗を防ぐ黒麹、サツマイモ由来の糖分を急速にアルコールに変える二次仕込み法がそれぞれ後に導入され、安定した生産が可能になった。
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