オノマトペ
英語:onomatopée
オノマトペ(仏: onomatopée)とは、現実の音や声を人間の言語でそれらしく表した言葉や、現実には音の聞こえない状況をあたかもそのような音がしているかのように表したり、音の抱かせる感覚を利用して表現した言葉の総称である。「オノマトペー」とも発音、表記する。英語onomatopeia由来で「オノマトペア」「オノマトピア」「オノマトペイア」「オノマトピーア」ともいう。
用例:「オノマトペを使いこなす」「日本語はオノマトペが多い」「オノマトペの動詞化」
フランス語onomatopée、英語onomatopeiaは、いずれも古代ギリシャ語で造語することを意味するonomatopoiíaに由来する。onomatopoiíaは、名を意味するónomaと、作ることを意味するpoieînを組み合わせた語である。
オノマトペは、擬音語および擬態語の包括的な呼び名であると捉えられる。擬音語は「わんわん」「がさり」のように音や声を表したもの、擬態語は「にっこり」「てきぱき」のように実際には音の聞こえないものを感覚的に表したものであるが、両者の境界は曖昧である。擬音語は「擬声語」ともいう。音や声を表したもののうち、特に人や動物の声を表したものを「擬声語」、その他の音を表したものを「擬音語」と呼び分けることもある。また、擬態語のうち、「ぎくり」など感情を表すものを「擬情語」、「ひらひら」など情景を描写するものを「擬容語」と区別することもあるが、これらも明瞭に区分しがたい。
「オノマトペ」と同じく擬音語と擬態語を総称した言葉に「声喩」「象徴詞」「象徴辞」がある。「声喩」は、それを用いた修辞技法を指していうことも多い。「象徴詞」「象徴辞」はごく専門的な用語で、一般にはほとんど用いられない。また、便宜的に「擬音語」「擬声語」が「オノマトペ」と同義として用いられることもある。
日本語のオノマトペは一定の型を持っている。現代語では、ふつう語根が1拍ないし2拍で、語根を単独で用いたり、語根を繰り返したり、これらの語尾や語中に「っ」「ん」「ー」「り」をつけて表されるものが多い(例、「つ」「ばっ」「ぷい」「さっさ」「がたん」「がーがー」「かきーん」「するり」「どしんどしん」)。「うろちょろ」「がたぴし」のように、複数の語根を組み合わせるものもある。
(執筆:稲川智樹)
擬声語
(オノマトペア から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/07 07:20 UTC 版)
擬声語(ぎせいご)とは、声などを字句で模倣したものである。本稿では便宜上、擬音語(ぎおんご)と擬態語(ぎたいご)の2つの総称として「擬声語」を見出しに使う。一般的に、擬音語と擬態語を総称してオノマトペという。擬音語は人、動物、物が発する音を表現し、擬態語は音がない雰囲気や状態を表現する[1]。
注釈
- ^ 発音:(紀元前5世紀のギリシア) [onomatopo͜ɪ.í.a͜a]、(15世紀のコンスタンティノープル)[onomatopiía]
- ^ 発音:[ˌɒnɵmætəˈpiː.ə] もしくは (主に NZ) [ˌɒnɵmætə-ˈpeɪə]
- ^ 発音:[ɔ.nɔ.ma.tɔ.pe]
- ^ 「ちんちん千鳥」北原白秋作詞・近衛秀麿作曲の歌から。
出典
- ^ 広辞苑、大辞泉。
- ^ 小野正弘編『擬音語擬態語4500 日本語オノマトペ辞典』小学館、2007年、622頁。
- ^ 新村出編 『広辞苑』 第五版、岩波書店、1998年11月11日初刷、392頁。
- ^ 鈴木一彦・林巨樹監修『概説日本語学』明治書院、1995年、112頁。
- ^ 玉村文郎編 『講座日本語と日本語教育7 日本語の語彙と意味』明治書院、1990年、139頁。
- ^ a b 飛田良文他編集 『日本語学研究大事典』明治書院、2007年、145頁。
- ^ 山口仲美『犬は「びよ」と鳴いていた―日本語は擬音語・擬態語が面白い』(光文社新書、2002年)。
- ^ 国語学会編『国語学大事典』東京堂出版、1991年、第7版、214頁。
- ^ 小野正弘編『擬音語擬態語4500 日本語オノマトペ辞典』小学館、2007年、13頁。
- ^ 「擬音語・擬態語」にはどんな種類がある? 国立国語研究所
- ^ 小野正弘編 『擬音語擬態語4500 日本語オノマトペ辞典』 小学館、2007年、12頁。
- ^ 山口仲美 「中古象徴詞の語音構造--清濁に問題のある語例を中心に--」( 『国語学』第93集、1973年)14-17頁。
- ^ 田守育啓・ ローレンス・スコウラップ 『オノマトペ 形態と意味』くろしお出版、1999年、1頁。
- ^ 金田一春彦著・浅野 鶴子編 『擬音語・擬態語辞典』角川小辞典〈12〉、角川書店、1978年
- ^ Dingemanse 2012, p. 656.
- ^ Dingemanse 2012, p. 655.
- ^ Dingemanse 2012, p. 658.
- オノマトペアのページへのリンク