表具用手漉和紙(補修紙)製作
主名称: | 表具用手漉和紙(補修紙)製作 |
ふりがな: | ひょうぐようてすきわし(ほしゅうし)せいさく |
認定区分: | 個人 |
種別: | 美術工芸品 |
選定年月日: | 2007.09.06(平成19.09.06) |
解除年月日: | |
解説文: | 書跡・絵画の伝統的修理(=装〓)【そうこう】には、各時代の多種多様な本紙【ほんし】の欠損部分を補修するいわゆる「繕【つくろ】い紙【がみ】」として、様々な種類の本紙に似寄の和紙が必要不可欠である。現在に至るまで、修理物件の性質を考慮して、多くの場合、江戸時代以降の古い時代紙【じだいがみ】を入手して本紙の繕い紙に充てていたが、その入手にば限界があり、しかも、近年では、古文書など、一時に大量の補修紙を必要とする修理を行わざるを得ない状況にある。 このため、今後は伝統的手漉和紙の製作技法により、多種多様な本紙に合致する種類、厚さ、簀目の細かさ、光沢の有無などの様々な要求に応える繕い紙の復元、製作技術が必要である。 |
表具用手漉和紙(美栖紙)製作
主名称: | 表具用手漉和紙(美栖紙)製作 |
ふりがな: | ひょうぐようてすきわし(みすがみ)せいさく |
認定区分: | 個人 |
種別: | 美術工芸品 |
選定年月日: | 2009.09.02(平成21.09.02) |
解除年月日: | |
解説文: | 書画の掛幅表具は、多年の経験によって定式化し、現在では美濃紙(肌裏【はだうら】)、美栖紙(中裏ときに増裏)、宇陀【うだ】紙(総裏【そううら】)を三度ないし四度重ねて裏打ちするのが一般である。美栖紙は、奈良県吉野地方で古くから漉かれてきた手漉和紙で楮【こうぞ】を原料とし、これに地元産の白土や胡粉【ごふん】を混じて漉く。その製法は宇陀紙と大差ないが、漉いた段階ですぐ干板に貼る(天日乾燥する)ため薄手でざっくりした感じをもち、腰の柔かさと糊のなじみにすぐれており、表具用の和紙(中裏用)としては不可欠のものである。ところが近年上質の美栖紙を製作する手漉和紙業者が極度に減少しており、文化財の表具にも事欠く恐れがあるので美栖紙の製作技術を積極的に保存伝承する必要がある。 |
表具用手漉和紙(宇陀紙)製作
主名称: | 表具用手漉和紙(宇陀紙)製作 |
ふりがな: | ひょうぐようてすきわし(うだがみ)せいさく |
認定区分: | 個人 |
種別: | 美術工芸品 |
選定年月日: | 1978.05.09(昭和53.05.09) |
解除年月日: | |
解説文: | 書画の掛幅【かけふく】の表具は、三度ないし四度裏打【うらう】ちが施されて完成する。裏打ちに用いる紙は美濃紙【みのがみ】(肌裏【はだうら】)、美栖紙【みすがみ】(増裏【ましうら】ときに中裏【なかうら】)、宇陀紙と定まっており、各種の紙の特質を生かし、組み合わされて一体化しているところに我が国の表具の特色がある。宇陀紙は奈良県吉野地方で古くから漉かれてきた手漉和紙で、楮を原料とし、地元特産の白土【はくど】を混入して漉き、強靱であるとともに表具に適した紙の柔軟性や紙に伸縮がこない安定した保存性など表具に適した特性を持つ。 宇陀紙は昭和五十一年五月四日に、選定保存技術として選定され、福西虎一【ふくにしとらいち】が保持者に認定されていたが、昭和五十三年二月二十七日に死去した。福西虎一の技術や知識は、生前すでに長男福西弘行に伝承されていた。 福西弘行は、昭和二十年より父福西虎一を助けながら家業の宇陀紙の製紙に従事してきた。特に父が研究した木灰煮熟【きばいしやじゆく】についてはその後も研鑚を怠らず、また、一時絶えた良質の地元の楮【こうぞ】を自ら栽培して原料を確保したり、困難な条件の中で天日乾燥【てんぴかんそう】など伝統的製法を守るなど、伝統的な宇陀紙の製法の保存に尽力し、その製品の優秀なことは表具関係者の中で高く評価されている。 |
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